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偉大なる日本人指揮者の系譜5(た〜ふ)

高関健

高関さんについては独立したトピックで書きました。

寺神戸亮

あのクイケンに学んだ

寺神戸さんが結成したレ・ボレアードという古楽器オーケストラ(現在は活動休止中?)で、アンドレアス・シュタイアーのモーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」(大好きな曲!)を聴いた。

鬼才シュタイアーらしく、溌剌とした瑞々しい自由自在な演奏だった。
寺神戸さんのオケもぴったり寄り添っていた。

大昔なのでメインが何かは忘れてしまった(モーツァルトの交響曲第33番?)

北とぴあ国際音楽祭でバロックオペラを指揮するなど、指揮活動は古楽にとどまっているが、マニアックな曲を取り上げることが多い。

鈴木雅明、鈴木優人両氏のようにやがてモダンの曲も振るようになるのだろうか?

寺神戸さんはそこまでの欲求はないのかもしれない😅

沼尻竜典

近年は八面六臂

最近はN響にも呼ばれたり、活躍の場が増えている。

びわ湖ホールの第2代芸術監督。初代が若杉弘で、来年阪哲朗にバトンタッチするようだ。
本場ドイツの歌劇場で研鑽を積んだ日本人のオペラ指揮者はほとんどいない。

6年間もリューベック歌劇場音楽総監督及び首席客演指揮者の任にあったので、オペラもシンフォニーに劣らず得意なのだろう。

カラヤンが小澤征爾に「オペラとコンサートは車の両輪」と言ったそうだが、日本が活動拠点の指揮者はどうしてもオペラを振る機会が少なくなってしまう。
川瀬賢太郎や下野竜也なんかそうだろう。

沼尻さんは知人に誘われてトウキョウ・モーツァルトプレイヤーズで一度聴いた。1999年ごろである。

それも何の曲か忘れてしまった。際立った個性がなく、あまり好みに合わなかった。

そのときは全然主要なポストに就いていなかったので、今と比べようもない。

今年4月から神奈川フィルの音楽監督に就任した。
常任指揮者を経ずにいきなりの音楽監督である。信頼の厚さが窺える。

ショスタコーヴィチが十八番というのも知らなかった。いずれまた聴いてみたい。
ピアニスト並みにピアノが達者な指揮者である。

阪哲朗

日本で有数のオペラ指揮者

ドイツの歌劇場で主要ポストを歴任した阪哲朗は現在、山形交響楽団の首席指揮者。

国内での活躍は出遅れたのかもしれないが、何せオペラ経験値の貯金がある。ぜひこの人のオペラを聴いてみたい。

一度聴いたのは日本フィルで、ベートーヴェンの交響曲第7番だった(サントリーホール)。

このコンサートに行ったのは、ベテランの女流イダ・ヘンデルがブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いたからだった(シベリウスだったかな?)

イダ・ヘンデルの老熟もさることながら、阪が指揮する日本フィルがいつになく重厚なサウンドで、ドイツで長く活躍した指揮者ならではの厚みかと感嘆した。

広上淳一

とにかくキャラが濃い

先日、藤岡幸夫がMCの「エンター・ザ・ミュージック」で、広上さんが「この年になって自分に大した才能がないとわかってきてから、後身の指導に力を入れるようになった」と言ってたのを聞いて切なくなった。

たしかにノールショピング交響楽団やコロンバス交響楽団のシェフを務めた広上が今後海外のメジャーオーケストラから頻繁に声がかかるかどうかは不明だが、自分の才能の限界を受け入れるのは芸術家にとって耐え難いつらさだろう。

現在は東京音楽大学の指揮科で教鞭をとる。先日リハーサル風景をテレビで見た。

すごく真面目そうな(生徒会長をやりそうな)4年生の女性にドヴォルザークの交響曲第8番を教えていた。
音大の指揮科で実際のオケ(学生オケ)を振らせるのは異例らしい。
だいたいはピアノを相手に指揮の練習だろう。これも広上さんの発案らしい。

「そこは好きな男性の胸に飛び込んでいくように!」という地上波だと物議を醸しそうな😅ダメ出しが飛んでいた。
生真面目な女性に「殻を破ってもっと生々しい感情を出せ!」と言いたかったのだろう。
とても真摯な指導だった。

「指揮台は死刑台」という話を聞いたことがある。
それぞれの楽器を長年演奏してきた強者相手に音楽のダメ出しをするのである。
初対面の指揮者をオーケストラは品定めする。一回の共演でダメ指揮者の烙印を押されると二度と呼ばれないらしい。
逆に一、二回の共演で相性のよさを発揮し、音楽監督に招かれる例もある。東京交響楽団のジョナサン・ノットなんかその例だろう。

広上さんは昔に日本フィルでオール・ショスタコーヴィチ、ボリス・ベルキンとのヴァイオリン協奏曲第1番と交響曲第5番を聴いた。

これも相当昔だから細かくは覚えていない。広上さんとボリス・ベルキンは長年の盟友らしく、共演も多いようだ。

近年はブルックナーにも取り組んでいる。京都市交響楽団と黄金時代を築いた。
退任コンサートの東京公演で、「運命」とマーラーの5番をやった。
興味はあったが、余裕がなく行けなかった。

「エンター・ザ・ミュージック」で、藤岡幸夫が「ラ・ヴァルス」での広上の細かいバトンテクニックを褒めていた。
そういうのは同業者でないとわかりづらいから、指揮者同士の赤裸々トークをもっと聞きたいものだ。

藤岡幸夫

熱い男

シティフィルが高関健を常任指揮者に呼んだのに続き、藤岡幸夫を首席客演指揮者に招いたのは慧眼だった。

関西フィルの首席指揮者を務めていたが、東京での活動は限られていた。
最近は冠番組のおかげでお茶の間の認知度も上がっただろうし、何より一つ一つの演奏会が確かな評判を呼んでいるのだろう。

藤岡さんはシティフィルでショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番(木嶋真優)とエルガーの交響曲第1番を聴いた。

木嶋さんはバラエティー番組への出演も多く、高嶋ちさ子なみにトークもうまい。
とはいえ、ロストロポーヴィチの世界ツアーに指名されるなど、業界での評価は高い。以前から聴いてみたかった。

「恋するフォーチュンクッキー」のCDも出している

これが壮絶な出来だった。

ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は完成度が高いので、大抵の演奏で感動できそうだが、派手な効果を狙っただけの演奏では困る。
木嶋真優は尋常ならざるテンションとパッションを終始絶やさずに全曲弾ききった。
息をするのも忘れるほど、引き込まれた音楽だった。

後半のエルガーは会場がオペラシティだったせいもあるのか、ところどころオケの音響が飽和状態で銭湯で聴くみたいに音のカオス状態だった😅

残り2(3?)名でこのシリーズも終了です。
まだ聴けてない指揮者も多いですね。飯守泰次郎、秋山和慶、小泉和裕とか。
なんか後回しになっちゃうんですよね😅 まずは飯守さんから聴いてみたいです😅

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