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幸せそうな、黄色いハンカチ(エッセイ・ペットロスガーデン④)

秋に植えたダイヤーズカモミールは、その場所がよく合ったのか、びっくりするくらいに大きくなっていた。

6月に入ると黄色い花を次々に咲かせ、その花は、摘んでも摘んでも尽きそうにないくらいに咲いて、部屋に飾るにも限界があるほどだった。
なんでこんなに咲くのか、どうしろというのか、と思った時、幸せの黄色いハンカチを染めてみようと思いついた。
自分の分と、大好きな友達にも贈ったら楽しそうだ。

ダイヤーズカモミールは、そもそも染料に使われるハーブなのだけれど、植えた時はただ、犬たちのお墓周りに明るい黄色の花がほしかっただけで、染め物をしようなどとは考えていなかった。

黄色は、今は亡きパグ、「なこさん」のイメージカラーだ。


というわけで、人生初のハーブ染めに挑戦した。

染める前日に、2種類の素材が違う白い布をダイソーで買って、ミシンで四角に縫っておいた。
近頃は、内職で複雑なぬいぐるみを縫っていたので、このくらい、ちょちょいのちょいだと思ったけれど、アイロンをかけたりと、これが一番大変だった。(後から知ったが、自動的に折り目を付けることのできる、ミシンの押え金があり、それを使えば端の処理は簡単だったようだ。)

ネットで絞り染めを調べ、丸い模様が出るように、布の数か所を輪ゴムで縛っていく。
当日花を摘み、足りないので茎も入れて、きれいに洗ったパスタ用の鍋で20分、グツグツ煮る。

全盛期のお花を摘んでしまいます。
ハンカチに、生まれ変われ~

そこに洗っておいたハンカチを入れ、さらに10分煮る。
そこから出して、流水でジャバジャバ洗って、ミョウバン(これもダイソーにあった)を入れた水に5分浸ける。
黄色が薄いので、煮るところからもう一回繰り返すと、鮮やかな、なかなかよい色になった。幸せそうな黄色だ。

淡くて優しい、たまご色になった。


煮汁が少しだけ余っているのがもったいなく、夫に下着を染めてもいいかと聞くと、下着でもカッターシャツでも染めていいと言われた。カッターシャツもいいのか。黄色が優し気に見えそう。
しかし液の量が足りないので、Tシャツを1枚薄く染めた。今、干しているところだ。ハンカチに、ちゃんと模様が出るか楽しみだ。


庭にはこの11年、沢山の花を植えたけれど、うまく育たなかったりして、その多くが消えていった。それでも、枯れて土になったのだから、いのちの循環の中に取り込まれたのだから、それでいいのだ、と思うようにしていたのだけれど・・。
こうやって、途中で何かの形に変えて身に付けたり、お茶にして身体に取り込んだり。ハーブを植えて、使うことって、とても素敵だ。
私の一部になったり、傍にいてくれるなんて、とても素敵だ。
いつか、ダイヤーズカモミールもまた、この庭から消える日が来たとしても。

そんな、ハーブ染めの1日だった。

幸せの黄色いハンカチ。友人もとても喜んでくれた。



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