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【ニュースレビュー】スエズ座礁事故

皆さんこんにちは。元損害保険会社員のKoh+です。

今回の記事は、今何かと世界を騒がせている「スエズ座礁事故」の損害はどこの会社が引き受けるのか、調べて考えてみました。

どうぞ最後までお楽しみください。


スエズ座礁事故 概要

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国際海運の要衝であるエジプト北東部のスエズ運河で、「正栄汽船」(愛媛県今治市)が所有する大型コンテナ船が座礁した事故で、エジプト運河庁のラビア長官は27日、記者会見で321隻が足止めされていると述べた。事故に伴う損害額は1日当たり推計96億ドル(約1兆500億円)に上り、国際物流への影響が拡大している。

日頃からニュースを見ている方は既にご存知だとは思いますが、概要はこんな感じですね。

おそらく数日以内には離岸することができそうな気配なので、近々通れることにはなりそうなのですが、問題はその止まっていた間に他の船が通れないことによる損害です。

1日あたり96億ドル(約1兆500億円)というもはやよくわからない国家予算レベルの損害が発生していることから、スエズ運河がどれほど重要な流通経路だったのかがわかります。


損害はどこが保証するのか

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おそらく気になるのはここだと思います。

なぜ座礁してしまったかの原因がわからなければ、損害の請求先が判明しないので、具体的な請求先の確定にはまだしばらく掛かりそうです。

しかし、船舶保険を引き受けている会社は、こういう事故のときのための保険なので支払いの義務が出てくることは想像できます。

ニュースによると、【今治造船グループの船主事業会社である正栄汽船】こちらの日本の会社が今回の座礁した船の所有者のようなので、日本の保険会社が損害を保証することになりそうです。


正栄汽船の発表だと

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正栄汽船 檜垣社長が会見。「離礁後に原因究明・損害確定」

こちらの記事の発表によると

 ――どのような保険に入っているのか。

「船体保険は日本の三井住友海上、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパンの3社。油濁事故や人身事故に関わる賠償責任保険は海外のP&I(船主責任保険)クラブを起用している」

といっているので、今回の事故のように大きな損害が発生したときのために、引受の保険会社を1社にせず、3社に割り振って保険をかけていたようです。

船舶保険は保険料も高額ではあるものの、何かあった時の支払い額も天文学的数字になりかねないことからしっかりとリスク分散していたようでした。

調べるまでは、まさか1社が引き受けているのでは。。。と思っていましたがそんな事はありませんでしたね(笑)



保険会社の内情

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私は業界から抜けた人間なので現在の詳細な内情はわかりませんが、過去の経験から予想すると、本社と海上保険部門は騒然としていると思います。

大きな災害が起こるたびに、被害を受けた部門はもうてんやわんやです(笑)
ただ意外と他の部門は「へ〜たいへんだね〜」みたいな感じでドライです←


これだけの損害だと保険会社が傾くかもしれないので、もしかして再保険会社が動くか、日本政府が一部負担する可能性もあります。

【再保険とは】
損害保険会社は、高額の保険金支払いに見舞われた場合に、どの程度までの損害であれば経営に影響がないか判断したうえで、引き受けた保険契約上の責任の一部または全部を他の保険会社に引き受けてもらうことが必要です。
この保険契約が「再保険」です。再保険は、損害保険会社が安定した経営を行っていくうえで、大きな役割を果たしています。

保険会社は国からの認可を受けているので、そう簡単に潰れることは国が許しません。私達の生活に密接に関わっているので、国民生活に大きく関わることは国が介入することが多いのです。



まとめ

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本日のまとめです。

・スエズ座礁事故での損害の補償は日本の保険会社が行う
・保険会社は三井住友海上、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパンの3社
・被害額が大きいため再保険、もしくは国が動く可能性あり


だいぶ駆け足になりましたが本日の記事は以上になります。

再保険という仕組みを初めて聞いたという方もいるかも知れませんが、非常に面白い仕組みなのでまた記事にしたいと思います。

最後までご視聴いただきありがとうございました。

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