中国の社会主義:資本主義のストッパー

中国は資本主義なのに建て前だけ社会主義というというのは事実だし、それで社会が面倒になっている面は確かにある。しかし本質的に資本主義だが建前上は社会主義というのは、中国社会においてある種のストッパーとして機能しているという一面がある。



資本主義というのは、まさにむき出しの資本主義社会で生きている我々がよく知っているように、なんらかのストッパーが必要だ。車にはアクセルだけでなく、ブレーキも必要なわけだ。中国にとって、資本主義がアクセルだとすれば社会主義はストッパーだ。資本主義が行きすぎたとき、社会主義がストップを掛ける。



戦後日本はかなり長い間「世界で最も成功した社会主義国」という皮肉を言われた。それはある意味正解だったのだ。その当時は、資本主義でありながら一定のストッパーがあった。戦争を経験した人々が社会の中心にいた。彼らが「金儲けは大事だが、戦争はダメだ」という意識を共有していた。



しかし今、日本社会にはストッパーがない。弱肉強食が資本主義の本質なのだが、それに歯止めを掛けるものが何も無い。儲かれば戦争だってやれば良い、という意見が堂々とまかり通る。



中国の矛盾を嗤うより、自国の問題に目を向けた方が良いと思う。

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