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ホルモン注射のやめ時から考える老後の生活

昔、まことしやかに「手術したら早死にするよ」と言われていた。元気な体から生殖機能をとってしまうのだから、手術後20年は生きれるか?とか、そんな話を聞いていた。

まあ、僕もだが僕の周りの人は生きてる。

性別適合手術をしたという事は、体から性ホルモンが生成されないという事。人によるが更年期症状から始まり、ひどい症状に悩まされる人もいる。
ただ、男性ホルモン補充療法を続ければ、たまの更年期症状が現れても、体力気力で乗り切れる様にはなる。

僕は18歳から43歳の今まで、手術の前後以外は必ず定期的に男性ホルモン補充をしている。

40代を過ぎたあたりから体に不調が出始めた。僕は多分タフな方で48時間は寝ずに仕事ができる。最近もイベント出店や店の忙しさから仕込みなどで丸2日寝られない日があった。

年齢的なものももちろんあるんだが、明らかに体力気力は落ちていて、蕁麻疹、帯状疱疹、円形脱毛に悩まされている。働き方を変える歳になったのかと、老後を含め考え始めた。

その時にふと子宮卵巣摘出後の体調を思い出そうとした。摘出したのは23歳だった。多分、若さもあったのか気になる体調不良もなかったはずで、20代までは一応骨密度検査もうけていた。
その後30代に入り、ホルモン治療自体を総合病院から個人病院へ転院して骨密度検査も受けなくなった。

先日、40代後半のトランス男性の友人が骨粗鬆症になってたくさんの薬を飲んでいると話をされた。彼も子宮卵巣摘出して20年くらいだろうか。だから僕にも気をつけるように、早めに骨密度も検査するようにという優しさから教えてくれた。

もう10年ばかり受けてないから一度受けて現状をみていた方がいいんだけど、整形外科で骨密度調べたいと40代が希望するのは早すぎるんじゃないか?と思ってしまう。
だが、最終的に人に迷惑かけてしまうから、死ぬ前までは元気にいないといけないから何食わぬ顔で受けようかとも思う。

そのように友人の話や主治医の話を聞いたり、自分の体に聞くと、まだホルモン治療はやめられないなと思う。
先生も60歳を目処に考えましょうと言われている。あと17年、確かに今からまだしっかり働かないといけないから必要ではある。

僕たちは僕たちのコミュニティの中で人体実験のように未来を見ている。ロールモデルに出会えてないから、似たような時期に体に負担をかけている手術をした者同士、どういった変化があったかと話をする。

僕たちの老後があるかどうかはわからない。ただ、他人にできるだけ迷惑かけないように、死ぬまでは健康に気をつけて行こうか!という、そのくらいの気持ちで生活している。

若い当事者がその年齢を通る時のデータの一つになれたらそれで僕のトランス人生も少しは人の役に立てたんだなと、ちょっと救われる。


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