中野

【連載】教える技術講座#04:入門期には楽しくやり、熟達期には挑戦させる。

2017年2月3日

(金曜日は現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」をネタにして連載しています)

連載#01「「ダメ」と言う必要はないのです。」で紹介したように、教え方のゴールデンルールは「スモールステップ、即時フィードバック、挑戦/スキルバランス」です。

特に「入門期」においてはスモールステップと即時フィードバックの原則は重要です。具体的には、簡単で単純な課題をこなしてもらって「達成感」や「楽しさ」を味わってもらうことです。

入門期で「楽しい」と思えないようなことは長続きしません。これは当たり前のことですが、教える方になるとなぜかこれを忘れてしまいます。「今は楽しいことばかりだけど、だんだんと厳しく辛いこともあるんだよ」ということは真実かもしれません。しかし、最初から辛いことを味わわせる必要はないのです。入門期には「できる!」という感覚を味わってもらいましょう。

入門期が過ぎて、「熟達期」に入ったら、さまざまなことに挑戦してもらいましょう。その時期になったら少々辛いことがあっても脱落することはなくなっています。

その時にヒントになるのが「挑戦/スキルレベルのバランス」です。

横軸を学習者のスキルレベル、縦軸を課題の難易度(挑戦レベル)に取ると、上の図の右上がりのグレーの領域では挑戦/スキルレベルが釣り合っています。成功するか失敗する確率は半々です。この領域で学習者は集中し、フロー状態(没入状態)に入ります。

しかし、スキルは高いのに課題がやさしすぎると、右下の「退屈」領域になります。また、スキルが低いのに課題が難しすぎると、左上の「不安」領域に入ります。いずれの状態でも学習は進みません。

フロー状態の中で私たちは学びます。主観的には集中し、没入し、高度に研ぎ澄まされた感覚になります。そして終わったあとは、楽しかった、充実していたという感覚が残ります。そしていつのまにか学んでいるのです。

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