2-教える技術ヘッダ

50年前に提唱されたPSI(個別化教授システム)が現代の教育を改革する。

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。ここしばらくは、授業や研修の設計と実施について書いています。

前回は、新しい知識を仕入れるという視点からは「講師の話を聞く」という方法はあまり効率の良い方法ではないことを書きました。もちろんその話が最先端の情報であれば、話を聞く以外の方法はありません。しかし、そうでない場合は、話のスピードが自分に最適なものでない限り、効率は落ちてしまいます。

新しい知識を自分にあったスピードで、しかも完全に理解する方法があれば良いのです。実は、これは1960年代にすでに提唱されていました。「個別化教授システム」(PSI, Personalized System of Instruction)という方法です。

PSIの教え方の特徴は次の4点にまとめられます。

(1) 講師は講義をしません。学習者は用意された独習教材を使って、自分のペースで学習を進めます。周到に書かれた独習用教材を、自分のペースで読みながら理解を進めていきます。もしわからない部分があれば、プロクター(Proctor)と呼ばれる学習補助員に説明を求めることができます。

(2) 1つの学習ユニットが完全に理解できたかどうかは、通過テストに合格することで保証されます。通過テストは、学習者の好きなときにプロクターを呼んで、個別に何回でも受けることができます。通過テストに合格することで学習者は次のユニットに進むことができます。これによって完全習得学習が保証され、以前のユニットのつまづきによって次のユニットがわからなくなってしまうということを防ぎます。

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