動機づけされたあとは「意志の力」が必要です。
2017年3月21日
火曜日は「教えること」のトピックで書いています。
前回は、教えたり指導する人が相手にやる気を持って欲しいときに、次のことをアピールするといいことを書きました。
A. 相手の知識とギャップのあることをデモンストレーションして好奇心を喚起する
R. これから学ぶことが相手の個人的目標にも十分関係があることを説明する
C. これから取り組んでいく課題は相手にも十分達成できるものであることをいう
S. このコースが終えるとその後どのようないいことが起こるかを説明する
これはジョン・ケラーの「ARCS動機づけモデル」に基づいています(ケラー『学習意欲をデザインする』)。
このARCSモデルは、2004年に改訂・拡張されて「ARCS-Vモデル」となりました(鈴木克明「ARCSモデルからARCS-Vモデルへの拡張」)。この「V」とは「意志(Volition)」のことです。それは「目標を達成するために努力し続けることに関連する行動と態度全般を示す概念」と定義され、自己制御(Self regulation)や自制心(Self control)に近いものです。
動機づけと意志との関係は次のように説明できます。動機づけというのは、その人が成し遂げたいと思うことの「方向づけ」とその強さ「エネルギー」からなっています。動機づけがされると、その人はゴールに向かって行動をスタートすることになります。しかし、そのゴールが困難であり、時間がかかるものであればあるほど、ゴールの途中で挫折してしまう確率が高くなります。成し遂げるまでの道のりには、時間が取れなかったり、肉体的に疲れてしまったり、さまざまな邪魔や気をそらすものが降りかかってきたりします。そうした困難を打ち破るのが「意志」であり「自己制御」なのです(次の図を参照)。
意志の力は、いったん動機づけされた自分に降りかかってくるさまざまな困難を、どのようにコントロールして努力を続けるかということにかかわってきます。「ARCS-V」モデルのVは、努力をどのように続けるかという視点を加えたものと言えます。
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