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【本】リッチ・カールガード『グレートカンパニー』

2017年1月20日

(木曜日はお勧めの本を紹介しています)

リッチ・カールガード『グレートカンパニー』(ダイヤモンド社, 2015)

■要約

会社が存続し続けるためには、戦略とハードエッジとソフトエッジの3側面で優位に立つ必要がある。システムとプロセスであるハードエッジは『イノベーションのジレンマ』で示されたように、優位性は長くは続かない。人間らしい価値としなやかさであるソフトエッジが鍵である。ソフトエッジとは、信頼、知性、チーム、テイスト、ストーリーである。

■ポイント

信頼とは、企業の外の市場や顧客から信頼されていることと、企業の中の従業員に信頼されているかということである。雑談しにくい職場に創造性は生まれない。評判は顧客からの信頼を表すバロメーターである。

知性とは、企業全体として学び続けることができるかどうかということである。IQテストで測られるような知能はビジネスでは重要ではない。粘り強さや仕事をやり遂げる力こそが知性である。

チームとは、柔軟でスピードのある小さな組織をどう作るかということである。人類の歴史は「協力」の歴史である。10人前後のチームが最も良い。価値観の違いを超えて共通するものを探す。

テイストとは、データでは測れない人の感性とそこにフォーカスすることである。商品ではなく「経験」を売ること。馴染み深いものを進化させること。そして、自分が欲しいものを作ること。

ストーリーとは、企業の「物語」のことである。データとストーリーは互いに補完する。

■感想

「信頼」や「協力」や「チームワーク」や「ストーリー」といった、これまでデータとして取り上げにくかった質的なものにフォーカスした本として面白い。数字で語りにくいこれらのソフトエッジこそがこれから研究されていくものになるだろう。

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