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(101) 全国的に過半数の学生がオンライン授業の継続を望んでいる

2020年12月26日(土)

文科省は10月に行った「大学等における後期等の授業の実施状況に関する調査」の結果を公開しています。

その概要は以下の通りです。

・調査対象校(377校)のうち約半数(190校/50.4%)は、授業全体の半分以上を対面授業で実施。
・残りの大学(187校/49.6%)は、対面授業の実施割合は半分未満となっているが、このうち、 「ほぼ全ての学生が、授業の形態等について理解・納得している」と回答しているのは18校(9.6%)、 「大多数の学生が、授業の形態等について理解・納得している」と回答しているのは140校(74.9%)。

文科省「大学等における後期等の授業の実施状況に関する調査」
https://www.mext.go.jp/content/20201223-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf

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この結果について、室橋祐貴は「各大学の調査で見えてきた学生によるオンライン授業への高い評価。政府・政治家はEBPMの意識を」(2020/12/26)の記事で、次のように書いています。

萩生田光一文科大臣としては、対面授業を促す意図があったと思われるが、各大学による学生調査の結果を見ると、逆に過半数の学生がオンライン授業の継続を望んでいる様子が明らかになった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/murohashiyuki/20201226-00214359/

上記の文科省の資料では、対面授業の実施割合が半分未満の大学からの回答文を読むことができます。一方で、授業全体の半分以上を対面授業で実施している大学からの回答文は伏せられています。これにより両者を比較することができないので、調査の意義が半減しています。

たとえば、早稲田大学からの回答文は以下のようです。これもなぜかテキストレベルのコピーができないのでスクショを貼っておきます(コピー不可にする意図がわかりません)。

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注目すべきポイントは、次の点です。

・コロナリスク下では、全授業がオンラインが望ましいと答える学生が最も多い。また、全授業の100%から70%がオンラインが望ましいと答える学生を累積すると68.6%にのぼる。

・40%以上の学生が、3つ以上の科目がオンライン授業で有効だったと回答した。

・コロナ後に対面授業ができるようになったとしても、対面授業が7割、オンライン授業が3割と答える学生が最も多かった。

他の大学の回答でも、同じような傾向です。つまり、オンライン授業をポジティブに感じている学生が多いということです。もちろん、対面授業のない大学に意味を見出せない学生は一定の割合でいます。しかし、そうした声をあげていない過半数の学生はオンライン授業に一定の満足を示しているということです。

そして、コロナが収束したあとでも、オンライン授業が3割程度残るだろうと望んでいるのです。

私は、8年前(2012年)に出版された論文「大学におけるeラーニングとグループワークを組み合わせたブレンド型授業の設定と実践」の考察で次のようなことを書きました。

抽象的な概念を提示し、獲得させることを最終目的とするレクチャー型の授業は、積極的にeラーニングの形式に移行させたほうが良いだろう。こうすることにより、ただ出席要件を満たすためだけに来るという、無意味な行為を減らし、自分のスケジュールにあわせて勉強時間を確保し、最終的には、成果をあげるためにeラーニングを利用するという適切な行動を増やすことになるだろう。


この予測は、コロナ収束後に、現実のものになっている可能性が高いでしょう。

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