11-アドラー

【アドラー心理学入門】#11 アドラー心理学のユニークな人間観は多くの心理学領域に影響を与えた

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。表紙画像はShiraishi Kohkiさんのものです。

4月12日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で開講する「アドラー心理学入門」(全8回)に向けて、アドラー心理学の全体像について連載しています。

アドラー心理学にアプローチする道のりとして次の5つの種類を提示しています。

(1) 5つの基本前提
(2) 3つのキー概念
(3) 治療技法
(4) 応用領域
(5) 現代心理学へのつながり

今回は最後の、 (5) 現代心理学へのつながりについて見ていきましょう。

アドラー心理学は19世紀の終わりから20世紀初頭に作られた心理学です。ちょうどそのときに、実験心理学を中心にして実証科学としての科学的心理学の基礎が作られました。初めは物理学をお手本として、人間の感覚・知覚のしくみを明らかにするところからスタートしました。そのため心理学の初期には「精神物理学 psychophysics」と呼ばれる領域もありました。

しかし、心理学はそれだけにとどまることなく、さまざまな領域に発展していきました。たとえば、発達心理学、性格心理学、社会心理学、教育心理学、臨床心理学などと呼ばれる領域です。20世紀の前半は、科学として独立した心理学が、人が関わるさまざまな領域へと一気に展開した時代だといえます。

そうした中で、アルフレッド・アドラーは人間の思考・感情・行動についての細やかな観察から独自の心理学理論を形作っていきました。上の図に示すように、その後の現代心理学につながっていく中核的なアイデアをいくつかはアドラーが提示したものといえます。

ここから先は

594字
この記事のみ ¥ 100

ご愛読ありがとうございます。もしお気に召しましたらマガジン「ちはるのファーストコンタクト」をご購読ください(月500円)。また、メンバーシップではマガジン購読に加え、掲示板に短い記事を投稿していますのでお得です(月300円)。記事は一週間は全文無料公開しています。