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ちはるのファーストコンタクト(2017年)

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2017年に書かれたマガジン「ちはるのファーストコンタクト」の記事をすべて収録しました。300本以上あります。
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2017年2月の記事一覧

書くことはアイデアの地図を作っていくようなものです。

2017年2月28日 (火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています) 本を書き上げて感じることはいろいろありますが、一番大きいのは気持ちがすっきりするということです。それは「書き上げた!」「原稿から解放された!」ということも、もちろんあります。しかし、本当は、頭の中で渦巻いていたさまざまな考え方や概念や事実が文章という形になって整理されるからなのです。それがとても気持ちいいものなのですね。 書いていくと、さまざまな考え方と概念の座標が決まっていきます。

自分のライフスタイル辞書によって感じ方、考え方、行動の仕方を決めている。(ライフスタイル論#02)

2017年2月27日 (月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています) 前回は「ライフスタイル論」の1回目として次のことを書きました。  1. 性格やパーソナリティを捉える方法には、類型論と特性論がある。  2. 類型論の例として「ユングのタイプ論」、特性論の例として「ビッグ・ファイブ」が挙げられる。 こうした特性論的な性格の捉え方は現代心理学が取っている立場ですが、アドラーのライフスタイル論はこれとは一線を画しています。アドラーが考えたライフスタイルとは「その個人に

北播磨総合医療センターの看護部研修として「働くみんなが幸せになる"教える技術"と"勇気づけ"」の研修を実施してきました。

2017年2月26日 2月12日(日)に、北播磨総合医療センターの看護部研修として「働くみんなが幸せになる"教える技術"と"勇気づけ"」の研修を5時間で実施してきました。50人超の方に参加いただきました。みなさんありがとうございました。 この研修は「教える技術=インストラクショナルデザイン」と「生きることの科学=アドラー心理学」を組み合わせたものですが、やるたびにインストラクショナルデザインとアドラー心理学の相性の良さを感じています。 この2つは出自は全く違うものです。

【お題拝借】教授との信頼関係を作る方法

2017年2月26日 日曜日は「お題」の日なのですが、今回は質問がないのでフリーテーマで書きます。 「かやのみ日記帳」というブログで「研究室の教授との付き合い方を変えてうまくいった話。教授を共同研究者に引きずり込む」という記事の中にこんなことが書かれていました。 そして、こんなことも。 そういえば5年前のブログにこんな記事を書いていました。 院ゼミコラム(9):指導教員はあなたの研究を覚えていないあなたの指導教員は、あなたの研究を覚えていない。テーマくらいは覚えてい

学ぶだけでは不十分。何を学ぶべきかということを検討することを学ばなければならない。

2017年2月25日 (土曜日は昔のブログ記事を振り返って書いています) 「週末研究者」というカタチ「博士を増やす施策は間違いだった」の記事を引用したのをきっかけに、muto先生から、「週末研究者」のアイデアをいただいた。 学部からストレートに大学院に来るのではなく、すでに働いている人が、何年か休んで、大学院で学び、再び仕事に戻るようなパターン。あるいは、仕事を辞めずに、週末に研究を続けるパターン。このような人たちが増えれば、日本は文化的に豊かになれる、と。 さらには

【連載】みんなの前で話す技術(第2回):「これについて聞いてほしい!」ということがあれば話すのが楽しくなる

(金曜日は「みんなの前で話す技術」講座を連載しています) 前回はこの連載で「おとなの Show and Tell」をやっていきたいということを言いました。幼稚園の子供が Show and Tell をやっている様子は、YouTubeを検索して見ることができます。みんなすごく楽しそうに話していますね。なぜ楽しそうに話しているのかというと「このお人形について聞いてほしい!」「このオモチャのパトカーについて聞いてほしい!」という気持ちがあって、Show and Tell の時間に

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【本】ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学』→道徳心理学の進展から社会と政治と宗教を見る本としてお勧め

2017年2月23日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) ■要約道徳心理学(Moral Psychology)を知ることで、人間の営為の中でもっとも重要であり論争の対象となる、政治と宗教について新しい見方ができるようになるだろう。 (1) 道徳心理学の第一原理「まず直観、それから戦略的思考」。道徳的な直観はすばやく自動的に起こる。そのあとに起こる道徳的な思考は、戦略的にでっちあげられた正当化であることが多い。自分の意見に賛成しない人は愚かで、偏見に満ち、非合理である

「習作」の意味

2017年2月21日 (火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています) 絵画や作曲で、練習のために作品を作ることを「習作」と呼びます。小説でも習作はあるようです。 習作はあくまでも本番の作品を作る前の練習ですので、プライベートなものとして表に出ることはあまりないのですが、有名な作家であれば、習作も公開されます。絵画の企画展示ではときどきその作家の習作が展示されることがあります。そこには作家の努力の痕跡が見えてきて興味深いものがあります。 本番の作品を作

【お題拝借】ベイトソンの学習3/オープンカレッジ後に学習を続けるには

2017年2月20日 (月曜日はアドラー心理学のトピックで書いているのですが、今日は「お題拝借」で書きます) 今回は「お題」を2ついただいております。 ベイトソン自身の『精神の生態学』を読むのがいいと思います。分厚い本ですが、どこを読んでもワクワクさせてくれるでしょう。 ベイトソンの学習1〜3を運動の比喩で言えば、学習1は「等速度運動」、学習2は「加速度運動」、学習3は「加加速度運動」となります。エンゲストロムは、学習1を「条件づけ」、学習2を「その文脈の学習」、学習

【連載】みんなの前で話す技術(第1回):おとなの"Show and Tell"

(金曜日は「みんなの前で話す技術」講座を連載しています) 今回から毎週金曜日は「みんなの前で話す技術」の講座を連載していきます。ただし、出張のときはお休みになることがありますのでご了承ください。 この連載講座に「みんなの前で話す技術」というタイトルをつけてみました。「みんな」というのはどれくらいの人数なのでしょうか。多いところでは数百人、少ないところでは3人くらいの人数を想定しています。 私は大学の授業で100人とか200人くらいのクラスを持って、その人たちの前で話して

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【本】ユーリア・エンゲストローム『変革を生む研修のデザイン』:活動理論の実践的入門としてお勧め

2017年2月16日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) ■要約古典的なインストラクショナルデザインの限界について2つの批判をしてそれを拡張しようとする。(1) テキストは学習の対象ではなく道具に過ぎない。教室や研修所という文脈を超えた拡張的学習を目指す(ベイトソンの「学習の型」由来)。(2) 教育の目標は観察可能な行動リストではなく、態度、戦略、メンタルなどの認知的方向づけであるべきだ(ガルウェイの「インナーゲーム」由来)。 ■ポイントベイトソンの「学習の型」とい

出張中は文章は書けないのですが、逆にネタはたくさん浮かんできます

2017年2月15日 (水曜日はフリーテーマのコラムを書いています) 先週末は出張で講演をしてきました。このnoteの記事は毎日出したいという気持ちはあるのですが、出張中にも書き続けるのはなかなか難しいですね。もちろん、記事を書きためておいて、日付を指定して自動的に公開するという手段はあります。 自動公開という方法があることは知っているのですが、長年ブログを書き続けて、その機能を使ったことはありません。なんというかあまり使いたくない。書き溜めておいて順次出していくという

「体験中心」が意味すること

2017年2月14日 (火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています) これからのビジネスは顧客にどのような「体験」をさせるのかが鍵を握っているといわれています。 たとえばコーヒーショップでは、コーヒーという商品そのものをどのようなソファで飲んでもらうかという体験が売りになります。確かに同じコーヒーを飲むのであれば、眺めがいいところや、落ち着くところ、座り心地がいいところで飲みたいと思います。これがライバルとの差別化につながるというわけです。 書店でも

カスタマーレビューには、その本が「どのように読まれたか」ということが端的に反映されます。

2017年2月11日 (土曜日は昔のブログ記事を振り返って書いています)  「認知科学」誌から書評を依頼された。それで東京に行っている間にその2冊の本を全部読んだ。考えてみれば、本全体に目を通すということはあまりない。ほとんどの本は流し読みであり、本当に読んだといえるところは自分の興味のあるところだけである。通常はそれで不都合はない。しかし、書評を書くとなると、始めから終わりまで読むのがマナーである。取り上げるところはそのごく一部であるとしても。  書評を書くのはこれが