Rentioデットファイナンスの舞台裏‗2019to2020

はじめましてレンティオの管理部門を担当している小松と申します。
今回は理論的な話というよりかは、およそ2年間で5億円超のデットファイナンスを進めるにあたり、実際の現場でどのような交渉やロジ葛藤が生じるのか、反省点の振返り含めてレポートしていきたいと思います。
※理論や新型コロナ支援制度については、有益な情報発信がありますので、本文中でリンクを張っております。
 なお、Rentioをご存知のない方、弊社サービスサイトと資金調達のプレスリリースをご覧ください!


Step1前提と事前準備

 やや教科書的なことを書いてしまいますが、
レンタルサービスの財務イシューについて簡単な説明をいたします。
 ITど真ん中の企業とは違い、多くの在庫を扱うレンティオはレンタル商品の仕入と物流+IT投資を行わなければならず、十分な在庫投資を続けられる資金(内部収益等含む)をいかに調達するかが常につきまとう課題でした。
 故に、成長投資による赤字が続く中で、エクイティに一定頼らなければならないのは致し方ないですが、それもいつまでも頼るわけにはいきません。
 デットファイナンス等を活かした財務戦略を推進することは中長期的な成長を成し遂げるために重要なテーマで、以下のタスクに着手しました。

・財務構造の理解
・会計処理の整理とどのようなPL・BSが本質的かを経営陣と徹底議論
・資金調達の目的と使途(エクイティとデットの住み分け)の明確化
・金融機関向け事業説明に必要な事業計画等の資料入手・追加作成

これから先何度も問われ続けることになるのですが、
お金の色を意識したコミュニケーションをしないといけません。
・なぜ、赤字なのにエクイティではなくDebtで資金調達するのか?
・そもそも返済できる根拠はあるのか?(エクイティ返済は基本的にダメ)
・Debtのみでいくら必要なのか?その使途は?


 例えば、テクニカルな話になりますが融資制度(コロナ支援の制度融資や政策公庫の資本制ローンと通常のプロパー融資ではややロジックが変わります)や金融機関の方針に合わせたトーンの話し方と資金計画を考慮しないといけません。
 そのような中で当初のスタンスは、会計上の利益こそ赤字ではあるものの事業のキャッシュベースでは黒字にあり、急成長で投資を加速しているが故に表面上赤字になっているだけであり、返済能力については十分あるため問題ないとストーリーを作りました。

参考:デットファイナンスの理解と実践-銀行のベンチャー融資の論理を理解する

今回は理論についてさほど触れませんが、キャディ柿澤さんのスライドが非常にわかりやすいので是非ご覧ください!

Step2融資実行に向けた営業活動開始

 当初はすでにお付き合いのある金融機関中心(主に信金・中小企業に前向きな地銀)に融資を進めて、さらには都銀地銀信金のバンクフォーメーションを作る中で3億円ぐらいいけるのではと考えていましたが、まったくそんなことはありません笑。それは長い営業活動の始まりでした。
(当時、ベンチャーファイナンスに詳しい周囲の方へ相談すると、「2億いけたらいい方じゃないですか。そんな簡単じゃないですよ」と言われてましたw)
 「なんらかの担保や保証協会付きではないと融資は難しい」、「そもそも融資は出来ない」、さらには僕からすれば本質的ではない理由でのお断り等が続き、通常のロジックだけでは無理だと理解し、方針を変えました。

Step2-2方針変更 

財務スコアリングが厳しい中で通常の審査手続きではうまくいかないことがわかり、デットファイナンスの調達活動方針を以下のように変えました。

①新規金融機関への営業・提案数を増やす‗20行以上
②他ベンチャーで積極的に動いていただける担当者様を紹介いただく(自分も積極的に紹介する)
③一定程度経験を積み、レンティオに可能性を感じていただける金融機関担当者様との関係構築に絞りこむ
④赤字は続くが向こう数年間で億円単位の資金需要がある当社のメインバンクとなることに興味があるならお願いしたいとスタンスを明確に伝える
⑤前向きな金融機関は、営業担当者とのヒヤリングの中で一番刺さるポイントを明確にし、トラックレコードを作り、資料作成と事業説明を行い行内起案の援護射撃をする

 なお、当社ビジネスに強く関心を持っていただけるも、今は融資実行が難しいという時は、次のステップに向けて何を実現すればよいかを必ず明確にし、それがリーズナブルであれば、その目標達成までにしっかりと関係性を構築することを進めるよう意識しています。
書いていて思いましたけど、わりと気の長い話で大変ですね笑

Step3新型コロナ情勢下におけるデットファイナンス

 新型コロナの影響がではじめた2020年の年初、デットファイナンスについても大きな案件が数件ほど最終段階に入っていました。そのような状況での非常事態宣言。大きく状況が変わり金融機関の方針は厳しいスタンスとなるものの、政府主導の金融支援策の登場により、言葉を選ばずに言えば、上手に活用することでより良い金融商品を採用できる機会が生じています。

参考:新型コロナ対策融資・保証ガイド

日々、状況が変わっていますが、スタートアップ融資サポートのINQ(インク)代表の若林さんより、とてもわかりやすくまとめられている資料がアップデートしていただけているので、参考としてご覧くださいませ。

このような状況下で弊社の業績にも少なからず影響があり、
主要な金融機関担当者様に対して、丁寧かつ迅速に事業の状況を説明しながら、最新の情報をアップデートしています。
 そして、当初予定していたいわゆるプロパー融資とは別に新型コロナ制度融資を活用した調達も検討しながら、財務基盤をもう一段強化することに一定成果を上げることが出来たと考えております。

おわりに

 非常事態宣言が延長となり先行きが不透明な中にありますが、それでも事業成長に向けた活動は終わらないですしむしろダイナミックに変えていかなければなりません。その兵站となる資金を調達し続けるために、次のステップとしてコーポレートファイナンスだけではなく、アセットをベースとしたファイナンス等へステージを進めるべく議論を進めております。
 次のステップへと歩みを進められた時にはシェアしたいと思います!

あと、最後に弊社の求人情報をちょっとだけ宣伝させてくださいませ。


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