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愛情の重さとエンゲル係数

────エッセイ

ひたすらに食材を買うために働いてる気がする ── と思うくらいに子どもたちがよく食べる。

子どもたちが保育園に通っている頃は、お米を5合炊けば一週間はもった。それが今ではもって一日。この前、下の子の友だちが晩御飯を食べに来たときは、5合が一食で消えた。なんなら足りなくて、さとうのごはんを温めたほどだ。

当然だけどお金がかかる。エンゲル係数の理想は20~25%といわれるが、とてもとても。そんな数字で育ち盛りの胃袋たちは満たされるわけがない。もちろん、安い食材を求めて東奔西走すれば節約できる部分はある。でも、仕事帰りの疲れた体を自転車にあずけ、商店街を爆走するのは少々キツイ。駅前のちょっとおしゃれなスーパーでパパっと買い物を済ませたい日もある。そんな日が、月火水木と続く日だってある。なんなら金曜日は、せっかくだからと外食する日だってある。

中学生の頃、「エンゲル係数が低いのは、豊かな証し」という言葉を教科書で読んだことがある。当時は、なるほどなと思ったけれど、いまは違う見方もできるようになった。

次から次へ、子どもたちが吸い込むようにご飯を食べる様は見ていて気持ちがいい。しかも成長期だから背がぐんぐん伸びる。自分が一生懸命働いて稼いだお金が、目の前の子どもたちの血肉になってるのかと思うとなんともいえない充実感がある。

豊さの定義なんて人それぞれ。美味しそうに食べる姿を見ることも豊かな時間。多分、ここまで無尽蔵に食べられるのもこの時期だけだろう。いまはエンゲル係数なんて気にしないようにしよう。スーパーのかごいっぱいに入った肉と牛乳、その重さも忘れないようにしよう。数年したら、「あのときは凄かったねぇ」なんて、懐メロを聴くように懐かしむのかもしれない。そのとき、子どもたちの背がどこまで伸びているのか、とても楽しみだ。


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