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藍羽の異世界旅行記

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#藍羽放浪記

藍羽放浪記・・・17ページ目

藍羽放浪記・・・17ページ目

大蛇は頭が切断されたものの、気がついたら切断された頭部共々どこかへ去って消えてしまった。
倒せたということにはなっていないだろう。

昏睡状態の古雅崎藍羽(こがさき あいは)を店のソファに置いて、恭赤藍羽(うやらか あいは)と小鳥遊夏希(たかなし なつき)は現状の不明瞭な点について話をしていた。

「沢山聞かなきゃいけないことがあるけど…まずは助けてくれて.…ありがとう.…」

「別に助けたわけじ

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藍羽放浪記・・・16ページ目

藍羽放浪記・・・16ページ目

紫の炎に包まれ現れたその男は、僕を冷たい視線で見つめている。

「うや..…らか?」

彼の両の手には2本の刀が握られている。
いわゆる臨戦態勢というやつだ。

「まって!!違う!ボクジャないンだ!」

「分かってる。黙ってろ。」

恭赤はそう言うと腰を低くかがめてこちらに突進してきた。
思わず両腕で目の前を覆う。

こういう戦いの時どう動くべきかなんてものを妄想していた時もある。
腕を掴む。足を

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藍羽放浪記・・・15ページ目

藍羽放浪記・・・15ページ目

「七月がどこにいるかは知ってる?」

夏希から投げかけられた質問に対して
僕は頭の中で出せる情報を精査しながらゆっくりと口を開いていくことにした。

「…七月はこの世界じゃない別の世界にいる」

「どういう事?」

「パラレルワールドって分かりますか?」

「分かるよ。この世界にも異世界人って呼ばれる人達たくさん来るし。」

「そう…なら話が早いですね。」

「…七月は異世界にいる?」

「そうで

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藍羽放浪記・・・14ページ目

藍羽放浪記・・・14ページ目

再び星の街で調べ事をしようと考えて、僕はこの街を散策していた。

相変わらず街並みは寂れていて、人通りも少なければ動物の1匹も見当たらない。
(とりあえず、宛もないし気になった店に入ってみることにしよう。)
そう考えた僕は、その時すぐ右手にあった店の看板にふと目をやった。

【Takanashi magic props】

たかなし.…小鳥遊?
名前につられて店の扉を開く。

(チリーーーン…)

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藍羽放浪記・・・13ページ目

あれから僕は夏希と連絡先だけ交換して、喫茶店を出た。
交換したとて、環境どころか世界が違うなら通信なんてできないだろうと思っていたけど…
元の世界の僕のスマホにLI〇Nが来た。
いったいどんな理屈で届いているんだとびっくりした。

僕の向こうの体は今、あのあと見つけた宿に泊まっている。無論、動くことは無い。

思えばこっちの世界でちゃんと日記を書くのは初めてだろうか。
向こうの話ばかりでいいからま

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藍羽放浪記・・・12ページ目【小説】

あれから、20分くらい経っただろうか。
少し落ち着いた僕は、ゆっくりと顔を上げる。
どうやらカウンターに突っ伏してしまっていたらしい。
辺りを見回すと、先程まではカウンターに置いていなかったアロマキャンドルとグラスに入った水が、僕の近くに置かれていた。

(そうだ。夏希は…)

探そうとした僕だったが、探すまでもなく1つ席を開けた隣の席で袋を片付けていた。僕のこの症状自体も慣れたものではあるけど、

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藍羽放浪記・・・11ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・11ページ目【小説】

星の都のとある喫茶店に入った僕は、自分の書きかけの小説に登場する「小鳥遊夏希」(たかなし なつき)に出会った。
口ぶりから、この喫茶店のマスターなのだろうか。

小鳥遊夏希は僕が彼女の名前を言い当てたことから、僕を怪しい者と認識したようで険しい表情で僕を見ていた。

「なんで…私の名前を知っているんですか?」

「あ、え…っと」

適当な言い訳が見つからず、どうすべきか必死に思考をめぐらせた。

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藍羽放浪記・・・10ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・10ページ目【小説】

星の都、アルカ・ナハトにしばらく滞在することにした僕は、宿屋を探しながら先程の老父の言葉の意味を考えていた。

「あの人には、僕の何が見えていたんだろう…」

そんなことをポツリとつぶやきつつ、歩く。
ここは繁華街のようだけど、噴水のあった広場よりも人が少ないと感じる。
1本の道の両側に様々な店が並んでいる。
魔法を売っているお店や占いのお店が多い印象を受ける。
これだけ同じようなお店があれば、

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藍羽放浪記・・・9ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・9ページ目【小説】

星の都、「アルカ・ナハト」にやってきた僕は町の広場にやってきた。
広場は環状になっていて中心には星が映し出された大きな噴水があり
その周りのベンチに多くの人が腰かけて談笑している。

噴水の周り、少し歩いて人や建物の様子を観察してみようか。

街ゆく人たちの服装は様々で、目に付くだけで
星の黒いローブに魔女帽子の男女。
ロングコートの怪しげな雰囲気の男性。
指にはめるには大きすぎる宝石の付いた指輪

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藍羽放浪記7ページ目

藍羽放浪記7ページ目

2024年4月8日

僕は自信を持って好きだと言えるものが幾つかある。

水族館、音楽、ゲーム。
そして星。

今日はかなりひらけた丘の上の草のクッションの上で日記を書く。
夜だから当たり前だが、辺りは暗い。
恭赤(うやらか)が夜でも動けるようにと、狐火の明かりを旅に出る前に用意してくれたからそれを使って手元と辺りを明るくする。

海の中であったことを思い出すと早く恭赤(うやらか)の所に戻らなけれ

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藍羽放浪記5ページ目・・・【小説】

藍羽放浪記5ページ目・・・【小説】

海に沈む自分の知る街と瓜二つの街を後にした僕は情報を集める為にここから数十キロ離れた位置にあるであろう街に向かった。

バス?タクシー?なのか分からないけど、ここでは「イルカ」に乗って移動するのがメジャーらしい。
幸い、こちらの世界と元の世界の通貨は同じらしく、料金は支払うことが出来た。

目的地に到着して「イルカ」に料金を支払い、「イルカ」が遠くなっていくのを確認して僕は辺りを見渡した。

「や

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藍羽放浪記 4ページ目

藍羽放浪記 4ページ目

2024年3月18日

今日は海の中に入った。
こちらの世界の海は場所によっては海底を歩くことができるらしい。
水中でも呼吸ができるのはとても不思議な感覚がする。

海の中独自の文明あるようで、龍宮城?のようなものや地上と同じように街や村があったりする。

そして一つ気になった街?があった。

それは、僕が向こうの世界で過ごした街と瓜二つの街があったこと。僕の家ももちろんあったよ。

何より奇妙

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藍羽放浪記  3ページ目

藍羽放浪記 3ページ目

2024年3月12日

今日は大きな街の一角にあるこのレストランで日記を書くことにする。

街の名前は「eòlas」
調べてみたら元の世界のスコットランド・ゲール語で「知識」という意味の言葉らしい。読み方は分からん。なんでも「創作者の知識と夢が創り出した街」ということらしくて、物書きやイラストレーターが好きそうな「ファンタジー感」が街全体に現れている。
そのせいか、街ゆく人々は知ってる単語で言うな

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藍羽放浪記2ページ目

藍羽放浪記2ページ目

2024年3月3日
こちらの気候と元の世界の気候は連動してることに気がついた。

そして「魔界」だったり「天界」だったり「魔法の森」やら「海底神殿」があるような世界だが、それ以外は元の世界とほとんど変わりがないようだ。

どこに行ってもだいたい生きているのは、この体が作り物だからなのか、はたまたそういう環境なのか…考察してみるのも面白そうだ。

そして今日は「魔法の森」でこんな植物を見つけた。

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