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法制審議会家族法制部会第15回会議議事録4~赤石委員・菅原委員・落合委員・手嶋委員

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さて議事録を読んでいく

○赤石委員


 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。発言の機会ありがとうございます。私はまず、5ページの嫡出でない子が、親が婚姻したときの養子縁組、夫婦共同縁組について指摘させていただきたいと思います。書いてあるように、嫡出と嫡出でない子の法定相続分は平等化しております。嫡出でない子の身分を答えさせるというか、合理性乏しいのかなと思っているし、その実子ができたとしたら、そこでの間で養子縁組することにも心理的抵抗感があるというのがあると思うんですけれども、私自身は、嫡出でない子の親ですが、婚姻したことはないのであれなんですが、ひとり親の方たちを見ていると、子どもに嫡出であるという身分を得るために、シングルマザーであったけれども、別の親と婚姻して養子縁組するというような方もいらっしゃったと思います。少しでも子どもの差別をなくしたいというお気持ちは、推し量ることはできるなと思っております。
 ここの問題は、親子法制の方で既に議論されたとお聞きしているんですけれども、やはり根本的に嫡出と嫡出でないという概念を置いていることが、矛盾の原因だなと思っておりまして、いろいろ動かせないような要綱が出たということをお聞きしているので残念には思うんですけれども、やはりここで1回は指摘しておきたいなと思いました。嫡出でない子という概念が、母親にとっては嫡出であると捉えられると思うので、親でありますので、何かそこの、母親にとっては実子であり、嫡出である子と定義できないもなのかなと、素人考えでは思うところであります。今は両方の親から嫡出でない子となってしまうということがありますけれども、産んでいる方の親からは、そういう関係性でもいいのではないかなと思います。ちょっと言わずもがなのことを言ってしまっているのかもしれませんが、一言、親子法制の方でもここは動かなかったと聞いており、残念に思っているところでございます。なので、嫡出子と嫡出でない概念というのは、どこかで書いていくべきだなと思います。
 それから、その代諾縁組のところなんですけれども、私もちょっと、やはり15歳という年齢を基準にするのは大変違和感がございます。やはり中学生ぐらいになれば、本人の考えとか、自分がどんなところで育ちたいのかとか、そういうことについてはある程度意見が述べられてしかるべきだと思います。ただ、では、責任を負わせるのでいいのかとか、いろいろな議論があるんだなと受け止めているんですが、何らかの保障をした上で、やはり意思を聞くということが保障されるべきではないかなと思いました。
 それから、7ページ、父母の関与についてなんですけれども、やはり父母の関与というのは非常に難しいなと、書いてあるとおり私は思っております。今までの議論を聞いておりますと、割と関与の程度によっては、そこに何らかの報告なり通知なりといったものがあってもいいのではないかというような議論もあったかと思います。では、関与の程度というのは、一体どこで誰がどのように判断するのかよく分からなくて、かなり粗い議論になってはいないのでしょうかと思います。では、会っているというのは、どのように証拠を提出するのかとかいうことになりますので、それぞれの主張も違っていたりとかいうこともあるかもしれませんので、すごく難しいところに突入してしまうんだろうなと思います。事前に通知すれば、先ほどから議論になっているように、親権の変更を申し立てることもできるわけで、それが子どもの福祉にとって適当なのかどうかというのは、ちょっと本当によく分からないと思います。ここの辺りで、子どもに無関心な親がどの程度いるのかとか、全く、なかなか分からない数字なわけですけれども、かなりの別れた父親が無関心層になっているような様子がございますので、父母の関与ということを簡単には取り決められないのではないか、また同意とか通知とかいっても重たいものですし、報告義務というのでもかなり大変なのではないかなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からは3点御指摘があったかと思いますが、一つ目は嫡出の用語について考える余地はないかということでしたけれども、具体的な御意見としては、(3)の夫婦共同縁組について、当該保護者の嫡出子であるか否かにかかわらずという提案に賛成されるという御趣旨のこともおっしゃっていましたか。
○赤石委員 ここの問題を解決するには、やはり嫡出、嫡出でないという概念をなくしていくのが、一番すっきりすると思いますということでございます。
○大村部会長 そうですか、分かりました、そのような意見として承りました。
○赤石委員 すみません、願望的なことを言ってしまって、申し訳ございません。
○大村部会長 それから、代諾については、制度的なサポートをした上で意見を聞くという方向を示されたと理解しました。3番目に、父母の関与については、従来の関与の程度ということが皆さんから言われているけれども、その判断が難しいので制度化は難しいのではないかという御意見を頂いたと理解をいたしました。
 菅原委員、落合委員、それから最高裁の木村幹事の手が挙がっていますので、このお三方から御発言を頂いたところで、休憩を挟ませていただこうと思います。

すごく大切なことをおっしゃっていただいた


○菅原委員


 ありがとうございます。白百合女子大学の菅原です。幾つか述べさせていただきます。
 まず、第1の案③ですが、家裁の許可については案③に賛成です。そして、今までの議論にありましたように、養親となろうとする者に養育上の問題となるようなネガティブな要因がないかどうかのチェックが必要であるということと、子どもにとって大事だと思うのは、親講座を受けていただくということで、離婚を経験している子どもたちの心理や行動についての理解を深めていただくために、親講座を必須にしていただけたらよいのではないかと思います。また、養子になることについての子の心情あるいは意見の汲み取りというところも、難しい作業ですけれども、必要な場合にはしっかり家裁に機能していただけたらと思います。
 (4)の代諾縁組の対象年齢を現在の15歳未満から引き下げるべきかどうかという箇所ですが、私も非常に悩んでいたところで、1巡目の審議では、もう少し引き下げるべきではないか、子の人生にとって大変大事なことなので子ども本人の関わりをもう少し低年齢から機能させるべきではないか、そういう意見を申し述べたところでございましたが、本日の議論を伺いましたところ、やはり子どもにとってかなり重たいことになるということと、それから、(5)の必要的聴取とも切り離して考えることもなかなか難しいという点で、代諾縁組の対象年齢は15歳未満と現状のままではありますが、12歳以上は子どもの同意が必要となるというような形に加筆修正することもできるのではないかという先ほどの窪田委員の案に賛成したいと思うに至りました。
 それから、(6)につきまして、養親になる者に意見や心情を聞かれて答えることは子どもにとって重いことになりやはり相当難しいと思われますので、家裁や手続代理人などの第三者が確認すればよいこととし、私も(6)はなくてもよいのではないかと思います。
 それから、最後ですが、(7)の父母の関与ですが、いろいろ難しいとは思いますが、やはり親権を持たない親が自分の子どもの大きな状況変化を知らなかったり居場所などをたどれなくなるというのは親子双方にとって大変なことですし、元の家族がこの変更について事実を知っているということは親子双方の権利にとっても重要なことという気がしておりますので、最低でも事後の通知という線は残していただけるとよいのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。菅原委員からは、家裁の関与については基本的には案③で考えたい、親講座は必要であるし、子の心情についての配慮も必要である、代諾については、本日の窪田案の方向がよいのではないかという御意見を頂きました。また、(6)については不要なのではないか、(7)については通知は必要ではないかという御意見を頂いたかと思います。

子の心情への配慮


○落合委員 


私も、窪田委員の御意見に賛成ですと言っておきたいと思って、手を挙げました。12歳から15歳の間では、代諾は親権者がするにしても、子どもの同意が必要というのがいいだろうなと、いい案だなと思いました。
  ただ、同意をどのように確認するかというのが、余り形式的になってしまうといけないわけですよね。例えば、何か名前を署名すればいいとかですと、親の見ている前では署名をさせられてしまいますよね。ですから、子どもの同意を確認するのに、家裁の関与が必要ということになるのではないかなというような気がします。家裁か、とにかく何か公の機関の関与が必要であろうと。そういうことになりますと、今度、12歳よりも下の子どもの場合も、家裁の関与は必要で、その家裁の見るべきところのやはり第一が、子どもの心情や意見だろうと思うんですね。年齢にもよりますけれども、でも、何歳であっても、どんな様子かは、とにかくしっかり確認することが必要だろうと思います。
 その確認の仕方についても、やはりある程度詳しく決めていくことは必要だろうと思います。親権者が同席しないところで許可を取るとか、何かそのような配慮が必要だと思います。その場に、そこにいるべき専門家が、法律の専門家だけではなくて、心理の方の専門家ですとか、特に子どもの心理に詳しい方とか、そういう方が確認の場にいるべきであろうと。親権者はいない方がいいだろうと考えます。そのように言いますと、家裁が忙しくなるということになると思うんですけれども、ここの会で出せる意見かどうか分からないんですけれども、十分な人員上の配慮をお願いしたいとか、何か一言書いてもいいのではないかなと思います。
 そのようにして、12歳未満の子とか15歳までの子についても判断がされるわけですけれども、やはり先ほど御意見の出ました、例えば15歳より上になったらなど、ある年齢になったら、子ども自身の意見でかつての判断を取り消すことができるというような、それも明記しておいた方がいいだろうと思います。
 それと、ちょっとここでは関係ないことですけれども、先ほどの嫡出子で赤石さんがおっしゃいましたので、嫡出子という概念は、世界的には残っているんですか。illegitimateというのは、どのぐらいの国で使っているんでしょうか。産んだ人にとったら、どう考えてもlegitimateなんですよね。それをillegitimateだと言われてしまうというのは、かなり不思議なことですし、家族研究の世界などでも、できたら使わない方がいいような言葉になっていますよね、illegitimacyみたいなのは。世界の流れも確認して、本当に日本ではこの区別を残すのかというのは、考えておくべきことだと思います。個々の責任ではないにしても。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員からは2点御意見を頂きましたが、1点目は、窪田案をベースにして考えるということだけれども、同意について、これを得るための配慮が必要で、その場合には、やはり家庭裁判所等の関与は必要になるのではないかと御意見、あわせて、同意を要さない年齢の子どもについても、家裁が様子を見るようなことが必要ではないかという御発言もあったように思います。他方で、小粥委員がおっしゃったような、一定の年齢に達した後の解約権のようなものも併せて考えておく必要があり、複合的な制度を考えるべきではないかという御意見だったかと思います。
 あともう一つは、先ほどの赤石委員御指摘の嫡出についての御意見等を頂きました。

ものすごく大事


○手嶋委員


 最高裁家庭局、手嶋でございます。先ほど来、家庭裁判所の関与に対する期待のお声をたくさん頂いておりまして、信頼いただいていることを大変うれしく思うとともに、やはりその要件、それから考慮事情など記載していただいておりますが、どのような考慮事情をどのように判断するのか、できるのかというところは、やはり家裁実務を預かる者としては、非常に関心があり、かつ、心配もするところです。先ほど来の御意見を伺っておりますと、基本的にはネガティブチェックでいいのではないかという御意見を多数頂いているのではないかと思うのですが、その場合のネガティブチェックでいう、子の利益に反することというのが一体どういうことなのかというのも、更に具体的に是非御議論いただきたいと思っておりますし、家裁として、それをきちんと判断できるような手続も、きちっと考えていただきたいと思っております。
 先ほど池田委員からせっかく素材を頂いたので、その点について少しコメントをさせていただければと思うのですが、これも、子の利益に反することというのをどういうふうに見るのかというのが、人それぞれ、いろいろな考え方があるのではないかなとも思っているところでございます。一つ目で御指摘いただいた養子縁組が繰り返されるということが、本当に子の利益に反すると、その時々に分かるのだろうか、初めから離婚、再婚を繰り返すことを考えておられるカップルというのは、そうはおられないのではないかとも思いますので、その点はどういうふうに、皆様お考えなのだろうかということがございます。
 また、二つ目の方で御指摘を頂きました、虐待傾向があって、それを公言してはばからないといったような事案については、比較的裁判所としても調査、判断は容易かと思われるところなのですが、先ほど木村幹事の方からも申し上げましたように、ネガティブな情報を提供してくださる方がいないという手続の中で、それをどうやって把握できるのか。御本人が公言してはばからないというような事案でない場合に、そこら辺が非常に懸念をされるところです。
 もう一つ、子の意思、意向というところについても、御発言が多数出ているところで、その重要性についてはよく認識を共有するところではあるのですけれども、例えば、ほかの条件面では特段問題がないというときに、お子さんが反対をしているという連れ子養子のケースで、それで却下をするのか、はたまた却下しないときには何をどう考慮するのか、これも具体的に考え始めると非常に悩みます。さらに、却下をするという場合については、実態としては、御夫婦プラスお子さんという形の生活が続いてくわけでして、特に、親御さんは真摯に親になりたいという意向をお持ちの場合に、却下という判断がどのように影響するのか、また、子どもさんの意向というのは、何をどこまでどの程度理解をした上での意向であるのかという辺りも非常に気になりまして、家裁の手続だけではなく、事後的なフォローも含めて、何か支えになるような仕組みが考えられるのだろうかといった辺りも、気に掛かるところでございます。
 そのようなことも含めまして、家裁としては、少なくとも要件、効果、きちっと判断できるような、更に具体的な場面というのでしょうか、を想定した御議論を、是非お願いをしたいと思っているところです。
○大村部会長 ありがとうございます。手嶋委員からは、先ほど池田委員が挙げられた事例に触れつつ、要件や、あるいは考慮事情について、更に検討をしていただきたいという御要望を頂きました。子どもの利益をどう判断するのかということと併せて、子どもの意向をどのように扱うのかということについても、御意見を頂きました。その中で、情報の収集をどうするのかと、あるいはサポートシステムを併せて考えてもらえないとなかなかやりにくいといった御指摘も頂いたかと思います。
 手を挙げていただいた方から御意見を頂戴いたしましたが、よろしければ、ここで休憩を挟みまして、10ページの「未成年養子縁組の効果」という部分、それからその後の15ページの「未成年養子縁組の離縁」という部分、休憩後はこれらの部分に入らせていただいて、もし成立要件の部分について、関連して何か御発言があるようでしたら、その中で頂くという形にさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 今、14時57分になりましたので、10分少々休憩しまして、15時10分に再開したいと思います。
  休憩いたします。
 
          (休     憩)
 

やっぱり、別居親の関与が相当大事だと思う
もう一人の親からも信託を得た上での養親であれば、子の福祉への配慮が期待できる

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