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法制審議会家族法制部会第33回会議議事録読む6~赤石委員・向井幹事・棚村委員

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議事録読んでいこう

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。
 まず、第4の1なのですけれども、ここについてはやはりこどもの意思の尊重というのを入れておいた方がいいと思っております。私どもがこの間頂いているお子さんの意見でも、親子交流、面会交流で大変苦しんでいるというようなお声も頂いております。別居している父親に間接交流で写真を送るということがとても嫌でたまらないのであると、心理的虐待を受けて、専門家の先生にも間接交流も含めてストップするように言われても、裁判所で高校生以上でないと意見が通らないと言われて、僕の人権はないのでしょうかと、僕も妹も、中3と中1であるということなのですけれども、意見が通らなくて、こども家庭庁もできてこどもの意見表明をやれるはずなのに、どうして僕の意見は聞いてもらえないのでしょう、みたいな意見を頂きました。
 なので、先ほど武田委員の御意見もありましたけれども、やはりこどもの意思をどう尊重するのか、それはプラスに働くのか、マイナスに働くのかを含めて、両方とも意思を尊重することによって、こどもの社会に対する信頼というのが生まれるのではないかと思っております。裁判所ですとやはり、交流できないなら間接交流だねという、何か少し定番みたいになっているところがあって、多分聞いてもらえなかったのだろうなと思うので、あえてお伝えいたしました。
 親子交流、少し見え方が違うのだなというのは、武田委員に少しだけお伝えしておきたいというか、私どものデータも御覧になられていると思うのですけれども、親子交流が裁判所で決まった後に半数の別居親から何も言ってこなくなったので、取決めが実現されておりませんというふうなデータが上がっておりますので、そこの背景がどうなのかというのは分からないのですけれども、見えてくるものというのは随分、どこからお聞きするかによって違っていて、多分同じ方の思いの中にそういうのもあるのか、分かりかねるのですけれども、違う見え方もありますねということは少しお伝えしておいた方がいいかなと。
 要するに、実際の面会の手続の約束のところになると何もおっしゃってこないということだと、実現に至らないということが、こどもにとってもかわいそうだと思っているお母さん、同居親も必ずいらっしゃるのです。なので、本当にそこについてはそういうことがありますということと、それから一言言っておくと、間接強制の額というのがうなぎ登りになっていると聞いておりまして、名古屋高裁判決平成29年3月17日のですと、5回分で172万円とか、ひとり親の生活を圧迫して、もっと100万円ぐらいとかいうのも聞いたことがございますので、やはり実効性を持たせるとはいえ、こどもの利益になることを決めるときに、ここまで高額にするというのが果たして認められ得るのかというのは、一言言っておきたいと思いました。
 第2に行きます。こちらについても、試行的面会に関して、まずこどもの意思の尊重というのはやはり書き込まれるべきであると思うのと、この第4の2は一体何が目的なのか、原田委員もおっしゃっていたので、判然としないというか、試行的面会をすることによって親子の実態をもし調査するのであれば、やはり私は調査官の立会いであるべきであると思います。これは第三者の立会いというのが書いてあるのですが、前回も言いましたが、インフラというのはなく、家裁の支部というのはいろいろな、例えば宮古島にも、佐渡島にも、石垣島にもあると聞いているのですが、こういったところで第三者機関の面会交流支援というのは使えないわけでございますので、調査官がやっていただくしかないわけですので、やはり調査官の立会いと決めるか、第三者機関のインフラ整備を待ってするか、そこがないとここは実効性、目的がきちんと把握するということでありましたら、その目的に合致しないと思うところでございます。
 あと、2の(注1)です。(注1)は大変重要なことが書かれたと思っております。DVがある事案において、親子交流の試行的な実施の機会に父母の一方の安全・安心が脅かされる結果、つまり、お子さんというところではなくて、まずその一方の安全・安心を脅かされる結果として子に対しても悪影響があるという、これが非常に、特にこどもさんが小さいとき、乳幼児とか、連れていかなければいけないようなこどもたちの場合には、必ず附帯しているわけですので、ここはもう少し、ゴシックにしていただくとか、先ほど戒能委員もおっしゃっていたかと思いますが、ここについてはきちんと補足説明の(注)ではないところに書き込まれるべきかと思います。
 あと、同じページの(注2)なのですけれども、ここも、子の意思の把握というような言い方をされているかと思います。把握してどうされるのかが少し分からなくて、把握という言葉を使っていらっしゃるのが少し何か、これは子の意思の尊重という言葉に直していただいた方がよろしいのではないかと思いました。
 親以外の第三者、3のところに行きます。私は前回も言ったとおり、基本的にここには消極的です。今でも紛争があるところが、更に紛争が増えてしまい、濫用の事例があるだろうということ、また、祖父母がこどもに関心を持つときにある程度聞くのが、家制度的な、後継ぎが欲しいので長男だけは交流したいとか、男の子2人いたら長男だけを優遇して、いろいろ食べさせたり何か買ってあげて、二男は冷遇するとか、面会交流のときの祖父母の対応というのでもいろいろなお話を聞いているところでございます。
 ですので、この3の(注1)で親族を広げるということに関しては、広すぎると思いますし、非常に限定的にしないといけなくて、限定的にするような、補足資料でいろいろ書かれているのですけれども、20ページのところで、こういう場合には申立ては却下できるというようなことが書いてあるのですが、ここは裁判所の方の御意見を待ちたいとは思いますけれども、やはり要件の審査をしないといけなくて、形式的な判断だけで却下ができないのではないかと見受けられたので、非常に濫用が増えてしまうという危険があると思っております。
○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員からは、御意見いただきましたが、一つは戒能委員の御指摘のあったこどもの利益、それからこどもの意思、資料でいうと補足説明の17ページの(注1)、(注2)について御意見を頂戴し、必要な部分をゴシックに書き込むべきではないかといった御意見、併せて、調査官の立会いが目的との関係でやはり必須ではないかという御意見を頂戴いたしました。それから、第三者との交流については消極的な意見だということで、認めるならば限定的に考える必要があるという御意見、あとは、先ほど武田委員から御指摘があった調停審判の実現について、別の観点からの御意見ないし実態についての御披露というのがあったと受け止めました。ありがとうございます。

こうやって、子の意思の尊重については慎重に扱われることになった

○向井幹事

 幹事の向井でございます。裁判所からは、第4の2(2)の家裁調査官その他第三者の立会いの部分について、現状の実務なども少し御紹介しながら意見を述べたいと思います。
 今日何名かの方から家裁調査官による立会いに限定すべきであるというような意見を頂いておりますが、我々としましても父母間の葛藤が非常に高い事案では、やはり家裁調査官の立会いは必要だと思っております。ただ、反対に実際の事件ではそこまで対立が激しくないような事案もちろんございまして、そのような事案では、例えば、スムーズに調停での話がうまくいっているので、次回期日までの期日間に試行的に面会をしてみたらどうかということで裁判所からお勧めをし、実際に代理人弁護士が立ち会ったりですとか、あとは父母双方から同意のある親族の方に立ち会っていただいたりしながら実際に面会をしていただいていて、次回期日において代理人弁護士からその面会の模様について書面で報告を頂き、その報告内容を基に裁判所でも調停の内容なり審判の内容なりを考えるという、そういったような実務もあると承知しております。
 今回の2(2)の第三者の立会いの部分に関する御提案については、今のような現状の運用を明文化いただくものなのではないかと受け止めておりまして、今まで事実上というか、明文の根拠なくそういうふうに促しをしていたものが、ある意味、法的根拠をもって促すことができ、当事者に対して結果の報告を求めることができるという意味では、意味のある制度に十分なり得るのかなとは思っておりまして、その部分についてはプラスに受け止めていたところでございます。
○大村部会長 ありがとうございます。最高裁、向井幹事からは、2(2)の調査官立会いについて、必要な場合があるということは確かであるということを踏まえて、現状についてどうなっているのかということについて御披露があり、そして、ここの提案というのはそれを受けて、それを明確にするものとして積極的に評価したいという御意見を頂戴いたしました。
 棚村委員と石綿幹事、それからオンラインで、武田委員。

親子交流することがかえって葛藤を回避したりして

○棚村委員

 早稲田大学の棚村です。先ほど言い忘れた点があったので発言します。試行的な親子交流の実施については、向井幹事の方から裁判所の実務について御説明があったとおりです。私も調停委員をさせていただいて、一つは弁護士さんとか適当な親族とか知人でできたケースももちろんあるという御紹介がありました。
 それから、私も経験をしたのですけれども、結局、民間の機関、支援団体との接触とか御相談があって、特に、FPICのように正に元の家裁の調査官のOG、OBがおられて、そういう専門的な知見や経験のある方の助言や援助を受けられるところでは、お子さんも慣れているということなので、家裁の調査官が全く関与しないのではなくて、正に連携をとりながらやるというようなケースもあります。もちろん、家裁の調査官が、父母の葛藤が高かったりいろいろ問題があるときには、共同で計画を立てたり、双方との調整をしたり、いろいろなお膳立てをして、やっているのですが、他方で、葛藤が低く、弁護士さんや親族等が間に入って試行的な実施ができるケースもあるというのが現状だと思うのです。
 今の日本の現状としても、弁護士さんとか一定の民間機関とか、これは法務省の方でも今、民間の支援団体の認証をしたり、リストを掲げたりというのがあって、親子交流の支援団体の連絡先や情報提供をしたりしております。私も2019年に厚労省の、こども家庭局の方で面会交流の相談支援事業の実態調査みたいなのをさせてもらったときに、2019年の段階で御協力いただいたのも55ぐらいの団体がありました。今、様子を見ますと、大分またいろいろ増えてきているようなことで、赤石委員がおっしゃったようにインフラの整備というのは非常に大事で、ほかと比べても数がまだまだ少ないという実情はあると思うのですが、今後家裁が関与しながら、民間の機関とか信頼できる専門家の協力を得ながら試行的な面会交流の実施をできるような形の条文というのは、将来に向かってというか、現状も踏まえても適当なのかと思います。ただ、赤石委員、戒能委員、原田委員がおっしゃったように、家裁調査官の立会いを必須というよりは、必要なケースではそうだと思うのですが、調査官の立会いまでも必要ないとか、民間の専門家や第三者の立会いでもよいようなケースもありますし、その場合にこういうような条文の立て付けでよいと考えています。私も向井幹事と同じような考えを持っております。
 それから、最初に事務当局から、離婚調停の事件にも、財産開示や情報提供を広げてはどうかということの当否についての意見ということもありましたので、私も財産開示についても基本的には、広げておいていいのではないかということも思っています。また、離婚調停の場合には、かなり広い範囲でいろいろなことを話合いの対象にしたりします。その場合にこの親子交流の試行的実施というのも、そういう意味では、どのタイミングでやるかというのは、原田委員がおっしゃったように、早ければいいとか、後の方だとよくないとかということよりは、タイミングを見計らいながら実施をするということが重要だと考えています。しかも手続も適切なところでやれないと、ある意味では紛争がエスカレートしたり、不信感が増幅したり、こどもがどういうふうに巻き込まれるかという実態の把握ということもありますので、そういう意味では、離婚調停みたいな手続にも少し広げて、せっかくの制度の明文化ということなので、対象の範囲は少し広げてもいいかなと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員は1点目は、調査官立会いについて必要な場合が多いという認識に立ちつつ、規定の書き方としてはこの提案でよいのではないかということだったかと思います。2点目は、その範囲については離婚調停等も含めて広く考えるという方向でよいのではないかという御意見として承りました。

調査官立会必須ではないよね、と

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