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法制審議会家族法制部会第28回会議議事録読む3~戒能委員・武田委員・石綿幹事

Coそだてメソッドがやっぱりいい!

共同親権どんどん

長い夏休み(?)を経て、ちょっと復活してきたかも?!
体調不良だったこととか振り返り、咳はほんとにちょっとだけ残っているけど、いい感じに

議事録読んでいく

○戒能委員

 ありがとうございます。委員の戒能です。一つは、真摯な合意について実はまだ十分に議論されていないという感触を持っております。それで、その中身というよりも、これはもう既に御発言があったところですが、単に合意があるというだけではもちろん駄目であって、真摯な合意があるかという判断基準が、裁判所が判断するにせよ、きちんと明確に示されているべきだというのが一つ目の意見です。
 それで、これは適格性とかコミュニケーション能力とか、それから、これが一番難しいところでありますが、共通の子育てに関する価値観とか、そういうことがいわれておりますが、その中に、単に脅迫や欺罔があったかどうか、それは事務局の補足説明にある文言でありますが、それだけではなくて、暴力、DV、児童虐待の問題、それだけにとどまらないわけです。暴力がなくても、こどもに無関心であるとか、家庭破壊とか、それから浪費とか、いろいろな点があると思います。そういうことがこどもに悪影響を与えるということで、そういう親が共同親権をやりたいと言っても、それは適格性がないだろうとか、そういう判断の基準を明確に示す、検討するということも、この部会としては非常に重要なのではないかと思っております。
 それで、2番目なのですが、子の利益あるいは子の福祉というのが判断の、どういう場面でも、事前でも、それから途中の変更の場合でも、出てくると思うわけですが、その基準についても実は考え方がここでは必ずしも十分に審議されているわけではない。そこで出てくるのが、チャイルドアビューズやDVからこどもを守るということが重要であるという考え方をこの部会が明確に示すことができるかどうかということが、これは赤石委員とか大石委員の発言にもつながることだと思っています。
 ですから、そこが現状では、今後の期待としてはこども家庭庁とか、期待はしたいとは思うのですが、例えば、今国会でDV法の改正が行われましたが、そこで、必ずしも被害者支援の体制が世界的に見ても極めて脆弱であるという状況は前進できなかったわけです。そういう現状で共同親権を制度化していいものかどうかというのは、私は大変、逆に危惧をしております。もちろんそういう方向に進むということは大事なことなのですけれども、まずそういう現状からきちんと見ていく必要があると思います。
 それから、子の福祉の問題も、これはもう既に前に養育費との関連で、家族法という基本法の議論だから、限定されているのは承知の上ですけれども、やはり社会保障、社会福祉の分野との協働というのでしょうか、そういう議論が同時にないと、多くの人が持っている危惧を解消するということにはならないのではないか、そういうふうに考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、非常に幅の広い御意見を頂きましたけれども、今、裁判上の離婚の際の親権者の定めということについて御意見を伺っていますが、御指摘があった合意の存在をどのように考えるのか、あるいは子の利益というものの中身をどう考えるのかということは、裁判上の離婚の際の親権者の定めについても問題になりますので、そこについて問題提起を頂いている、そして、それについて議論すると、派生してほかのところにも及ぶことがあるだろうという形で受け止めさせていただきたいと思います。合意や子の利益について、もっと立ち入った形で考えていく必要があるのではないかという御指摘を頂き、先ほどから出ている支援の問題についても、ここだけでない部分も含めて考える必要があるのではないかという御指摘を頂きました。
 それで、ほかには御発言はいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、裁判離婚について一通り御意見を頂いたと思います。父母双方を親権者とするか、一方を親権者とするかということについて父母の間で合意がされたという場合、この場合について裁判所はそのことを踏まえて判断するという考え方については、多くの委員、幹事からおおむね賛成の方向の御意見を頂戴したように思います。もちろん合意があるとしても子の利益の観点から見て望ましくない場合もあるという御指摘もありましたけれども、その御指摘も前提としては、合意がある場合にはそれを尊重するということを踏まえておられたのだろうと思いますので、以上のように受け止めさせていただきたいと思います。
 合意がなされていない場合については、様々な御意見を頂戴いたしました。子の利益というものを前提にして、これに照らして判断をするという点については、おおむね御異論はなかったのだろうと思いますけれども、直前の戒能委員の御発言にもありましたが、子の利益というものについてどう捉えるのかということにつきましては、様々な御意見を頂いたと理解をしております。
 差し当たり以上のように受け止めさせていただいて、先に進ませていただきたいと思います。
 それで、次が部会資料28ということになります。先ほど申し上げましたように、「第1 父母の離婚後等の親権者に関する規律の見直し」と、「第2 未成年者を養子とする普通養子縁組に関する規律の見直し」、この二つは分けて御意見を頂戴したいと思っております。
 まず、ゴシックの第1の方について御意見を頂戴したいと思いますけれども、監護者が定められる場面といたしまして、今回の資料のゴシックの第1の1にありますように、父母の一方を親権者とし、他方を監護者とするという場合があるわけですが、他方、父母の双方を親権者とし、その一方を監護者とするという場合、これは以前に議論したところですが、そういう場合もあります。皆さんの中には、このどちらか、あるいは双方について御発言されたいという方がいらっしゃると思いますけれども、どちらについての御発言であるかということを可能な限りで明示していただけますと、議論が整理されるのではないかと思います。ということで、ゴシックの第1の部分につきまして、御意見があれば頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いをいたします。

けっこう、激しくバトルしているようで、子どものことについては価値観が合致するケースってのも意外にあるのよね~
それぞれが、お子さんのことを大切にしていたりっていう

何が、夫婦を解消するだけの争点だったか、って多様なわけで、もちろん、教育方針で揉めることもあるのだけども

○武田委員

 親子ネット、武田でございます。部会資料28、第1に関してということで、発言をさせていただきます。私がイメージしているのは今、部会長がおっしゃった、親権と監護者の分属のケースを想定しております。改めて考えてみたのですが、親権者と監護者が分属するケース、大きくは、父母の一方が身上監護は他方親に任せる、こういうケースであるとか、あともう1点、他方親が財産管理が非常に苦手だ、多分こういうところが中心になってくるかなという想定の下、発言をさせていただきたいと思います。
 部会資料28の4ページに注が2点あります。(注5)と(注6)、(注5)が我妻先生、(注6)は常岡先生、個人的には(注5)側ではなくて(注6)の常岡先生の学説に賛同するものでございます。具体的には、部会資料3ページに記載があります、例えば親子交流の場面などを念頭に置けば、監護者でない親権者が子の身の回りの世話をすることも想定され得る、少なくともこのような場面に対応するため、親権者が日常的な行為や緊急の行為など一定の範囲での身上監護に関する権利義務を有するものと解すべき、3ページの後段に書いてあります、監護者でない親権者は監護者による身上監護を妨げない限度で子の身上監護を行うという考え方を基本として、まとめていただくことがよいと思っております。
 続きまして、部会資料4ページ、2の居所指定に関してです。これも、5ページ記載の(注2)の考え方ですかね、本文の(3)にございます、他方の考え方の方に記載がされております。他方の考え方、監護者の指定がされた場合であっても、居所指定権が親権者に留保されるべきであるとの考え方、こちらに賛同するものでございます。
 先ほどの裁判離婚のケースでも出ておりましたが、当然、DVや児童虐待は例外とする、そもそもDVや虐待案件での親権の共同行使や、今回テーマになっております親権、監護権分属を指向しているわけではないということをお伝えさせていただきたいと思います。
 あと、この考え方といたしましては、先ほど、父母の一方を親権者と定めた場合の親権行使の在り方でも述べさせていただきましたが、監護者でない親権者は監護者による身上監護を妨げない、これと同様に、監護者である親権者は監護者でない親権者の親権行使を妨げない、このように定義付けることが合理的なのではなかろうかと、こんなふうに考えております。
 このような考え方を採用することにより、親権行使のところでも述べました、親権者相互の、我々は相互不可侵という呼び方をしておりますが、こういう考え方を規律化することと同様に、親権、監護権分属の場合も、無用な葛藤を生まない効果が期待できるのではなかろうかと、こんなふうに考えております。
 認知もこのタイミングで続けた方がいいですか。
○大村部会長 そうですね、どうぞ。
○武田委員
 認知も簡単にお話をさせていただきます。認知の場合です。認知後の父母双方が親権者となること、これを要望する声、これが多いか少ないかは別にしまして、一定数存在することは明らかかと思います。パブコメでも示されているところかと思います。
 あと、事実婚で国賠を提起している当事者も実態としております。このような前提に立てば、離婚後の父母双方が親権を持つことと同様、一律に父母の一方のみを親権者と定めなければならない現行法、これに関しては硬直的だと感じざるを得ません。民法819条、認知の場合も見直すことが相当ではないかと、このように考えます。
○大村部会長 ありがとうございます。武田委員の御発言の順序と少し違うかもしれませんけれども、まず一つ、親権者の身上監護については一定の限度で関与が認められるべきであると、その一定の限度でというのは、監護者の監護を妨げないという限度でだという御意見がありました。それとの関係で、双方の親は、親権者にせよ監護者にせよ、他方の権限の行使を妨げないということを明らかにした方がよいのではないかということをおっしゃっていたかと思いますので、これはセットとしてまとめさせていただきます。それ以外には、居所指定権について、親権者に帰属させるべきだという御意見と、認知については、一律にその一方を親権者であるとする現行の規律は硬直的なので改める方がよいという御意見だったかと思います。
○武田委員 おっしゃるとおりです。
○大村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。

もしかして、単独親権・共同監護の意味の監護者指定という選択肢ってあるのかな???
監護者指定廃止論はパブコメであって、だいぶ貢献したはずだけど、結局中の人が、監護者指定を容認してしまっている

ここは粘ってほしかったな~

はっきり言って、残念!!

○石綿幹事

 幹事の石綿でございますと、まず、第1の1についてなのですが、離婚後の親権者と監護者が分属する場合について、現状では学説等で1(1)のように考えられているというところもあるかと思いますが、資料で(注6)の常岡先生の文献等も紹介していただいておりますが、(2)のような考え方もあるかと思います。その考え方が児童福祉法の考え方とも共通する点があり、一定の検討の余地があるのではないかと思いますので、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 1(2)の方向で考えていく際に、児童福祉法の33条の2や47条という条文の構造が参考になるのではないかと思います。一時保護中、あるいは施設入所をしている際に、保護される子に親権者がいたとしても、実際に子を保護し監護をしている方たち、施設の長、児童相談所長といった方たちがこどもの監護を実質的に担うわけですから、その方々に何らかの権限が必要だということで、条文上、児童相談所長等が監護、教育に関し必要な措置をとることができるとされています。したがいまして、ここでの児童相談所長の立場というのは、今回の資料でいいますと、親権はないけれども監護権を有している者と一定程度類似するものなのだと整理することができるかと思います。他方、本親権者の方は依然、親権は残っているという状況であり、その際の親権者が何ができるかということについて、児童福祉法の33条の2の第3項や47条の4項では、親権者は相手の措置を不当に妨げてはならないという規定が設けられております。したがいまして、正に第1の1(2)の場合であるように、監護権はないけれども親権を有している親というのは、監護者の親権行使を不当に妨げてはならないというような規定になっているということになります。
 児童福祉法のコンメンタール等を見ますと、このような規定が定められている背景には、親権者や、監護をする人が何をできるのかという権限を具体的に明らかにするということを制度化するということも考えられたけれども、具体的な事項を列挙して明示するということは難しいというようなこともあったので、包括的にまず一定の権限を与えて、その後、監護をする人と親権者側の権利行使の優劣のような形を決めるということでルールを作ったといったような説明がされています。
 そういたしますと、正に、まずはこの第1の1で問題になっているような、離婚後の親権者と監護者が分属するような場合というのも、それぞれがどのような権限を持っているかという権限の範囲を決めていくという形ではなく、権限の行使の在り方の優劣というか、どちらがまずメインなのかというようなことを決めるという形で議論をするということというのは、一定の考える方向性として意義はあるのだろうと思います。そのような考え方は、親権者と監護者の分属のみならず、双方を親権者とした上で監護者を定めた場合の議論にも参考にし得るということになるのかなと思います。
 このように考えることの理論的な意味といたしましては、第1の1(1)のように考えていく場合、親権を有している親が面会交流をしている際に、一体どういう権限で、例えばこどもに食事を与えているかということが、自分の身上監護が残っているのか、あるいは相手方の監護権が委託されているのかというところを考えていくということが必要になっていくかと思いますし、あるいは、親権を持っている人が、なぜ監護者指定があっただけで監護権を行使できないのかというところも論理的に説明していかなくてはいけないということを考えると、第1の1(2)だけではなく、(2)で資料の(注6)を付けた形で、常岡先生の文献を紹介されながら紹介されている考え方というのは、理論面でも検討に値すると思いますし、繰り返しになりますが、現行ある他の法令との関係でも十分に説得的な見解なのではないかと思う次第です。
 長くなってしまいましたが、第1の1については以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事から、結論としては先ほどの武田委員と共通の方向に向かう御意見を頂いたかと思いますけれども、親権と監護の関係については、その議論の仕方として、児童福祉法に採用されている考え方が参照に値するのではないかということで、条文上の仕組みについて御紹介を頂くとともに、そのような規律がなぜされているのかという点についての御指摘もあったかと思います。項目ごとに切り分けるというのではない形での整理がむしろ望ましいのではないかという御意見として伺いました。どうもありがとうございました。

さすがの研究者からのアプローチ
それにしても、単独親権前提の監護者概念を共同親権(婚姻中)に適用してしまった歪みで、
グチャグチャに

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