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共同親権関連文献紹介3

悲報へのリアクションに多謝

リロケーション問題という切り口

山口亮子先生の文献はどれも読み解きたい


今日は、こちらを読んでみたい

子の監護権と転居-アメリカにおけるRelocation問題-

2015年の論文である

ちょっと引用してみる

 今日、別居・離婚後に子が双方の親と交流することは子の利益に適うと
いう考え方が全米において浸透している。離婚は親同士の問題であり、親
は離婚による子への影響を最小限に抑えるよう、子と親のそれぞれとの関
係を継続させる努力を取るべきことが、親としての責任と捉えられている。
Joint custody (共同監護) の形態は、主に法的共同監護を意味しており、
子は主に一方の親と共に住み、他方の親の家に隔週末泊まりに行くのがア
メリカの標準的な離婚後の親子の生活となっている。他方、同居親が転職、
再婚、進学、里帰り等を理由に子どもを連れて転居を希望することも、離
婚後には生じうることであり、そこで、子と非同居親との交流の権利と利
益とのバランスをとるように、“relocation”のルールが確立してきた。
 従来は無断転居も行われていたが、立法化が進んでいる今日では、当事
者は別居および離婚時に養育計画を作成するときに、無断で転居ができな
いことを知ることになる。既にフォーマット化されている養育計画を見る
ときに、また離婚前にカウンセリングや親教育を受けたり弁護士に相談し
たりするときに、そのような法情報を知らされる。離婚後の生活変更がい
ちいち裁判所の承認を得なければならないということは、わが国の観点か
らは法の過度の介入に思われるかもしれない。しかし、そこには双方の親、
および子の権利と利益の衝突があるからである。裁判所は子の利益を守る
使命があるとともに、親双方の権利に対し手続きを保障する必要がある

いうアメリカの法システムの中で理解されることになろう。
  転居する側に転居について正当な理由があることと、転居が子にとって
最善の利益に適うという証明責任は、本稿で検討してきた様々な要件を示
すことで認められる。しかし、これらは、転居が認められるかあるいは監
護権の変更理由になるかという最終的な裁判事項である。全てのケースに
おいて高葛藤事例が生じる訳ではない。立法上の詳細な規定は裁判規範で
あるとともに、一般の人々の行為規範にも影響する
ものであるから、子と
非同居親との関係を重んじ、転居後の子の養育計画を再度構築し直すこと
が、relocation 規定の目指すところ
であろう。別居・離婚時の養育計画が
多くは合意により作成されているという現状において、その変更も合意に
よる調整が求められていることを理解する必要がある。
 また、DV から逃れるために本人は転居を選択する必要はない。DV か
ら保護されることは個人の当然の権利
であり、それを守ることが法や社会
の使命であるから、アメリカは被害者を公的に救済し、個人の自力救済に
頼らない社会を作ろう
としている。それは、人的資源と多大の費用をかけ
ても作り上げる価値のあるものだからである。

おわりに、より

連れ去り規制よりも、リロケーションの権利実現のための手続き保障っていう切り込みが突破口になるかしら?

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