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土足で踏み込まれないHappyMarriage

憲法19条は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と定めている。前回と同じです。

 前回は、「好き」って気持ち自体は誰にも脅かされず、自由である、と、想う限りの恋の自由を発信しました。心には「好き」もあれば、「嫌い」もあります。「嫌い」という想いも、実は、同じように自由です。ただ、表現の自由(憲法21条)が、「保障する」とあっても、内在的制約があると言われているとおり、「嫌い」という想いを表現する際には気を付けなければなりません。誰しも、誰かを傷つけることは許されません。「嫌い」というメッセージの矛先が誰かを攻撃するものになってはいけません。そうはいっても、心の中で「嫌い」という想う限りは、それは誰にも止められないものだし、「嫌い」のために不作為でいることを改めることを強要されるものではないです。

 誰しも、踏み込まれたくないプライベートな領域が心の中にあるでしょう。それを頭ごなしに否定されるべきではないということです。私の場合、家制度や「嫁」、結婚に伴う氏の改姓などなど、大嫌いなものがあります。大嫌いを強調するあまり、それらを選択する方々をいたずらに傷つけてしまうことは不本意ですが、かといって、私だって、嫌いなものを受け入れなければならないものでもないのだと、憲法が支えてくれているのだという理解のおかげで自信を守っています。

 私が結婚するとき、まだ、嫡出子差別規定が残存していたため、法律婚を選択しないことへの躊躇がありました。すでに違憲判決を経て撤廃されていたとはいえ、国民の差別意識の問題ではなく、法律自体が差別していたわけですから、そこは重く考えていました。家制度も嫁も、改姓も嫌いだけど、子の嫡出子性を優先する価値と比べたとき、法律婚を選択しながら、極力、家制度・嫁・改姓と距離を置く生き方を実現することに挑戦しました。戸籍氏は筆頭者のものに変わり、健康保険も変わりますが、私は、生来の氏名で名乗り続けました。当時在籍していたロースクールでは通称使用がしやすかったし、卒業時も生来の氏名で修了証を授与しました。司法試験の受験も通称使用で出願しましたが、戸籍の添付が必要な点は、たしかに一手間ではあったけども、耐え難いものではなく受け流すことで、私は、結婚しても改正しない生活を貫いていました。保育園の連絡帳でも、母欄は生来の氏名を記入します。あまり問題になりません。ママ友との間でも、とかく私は、「○○くんのママ」なので、生来の氏名を名乗っていて戸籍の氏名と異なることが問題となることはほとんどないです。親子別姓を指摘することもないものです。

 家制度や嫁という問題は夫婦の合意で克服するものだから、結婚によって、どちらかが、どちらかの家に入るという発想もないし、嫁として嫁ぐという発想もなく、対等に心地よい家族の関係を選択する間柄を実践していたのです。

 結婚式も、披露宴も興味がないのでしないのですが、子どもが生まれた報告から何かを察して、わざわざ戸籍氏名での年賀状を送ってくる方もいました。親戚には、私の戸籍氏名を読み上げて、素敵だから名乗ればいいという方もました。いずれにしても、その方たちとの関係性を吟味して、華麗にスルーしたり、あえて、強く事情を説明したりしながら、私のスタイルを貫くものでした。

 普段一番関わりのあった学校生活で、戸籍氏名をいう人もいなかったし(そもそも公表されていない)、他人ってそういうものだと思います。私が、なぜ、生来の氏名であることにこだわるかってことをわざわざ語る場面も限られます。それでも十分、多様な価値観の人々が共存して暮らすことができるのだとよくわかりました。

 私が、私について何と名乗るか。それは私が決めることであって、誰かが勝手に異名で呼んだら違和感を覚えるし、嫌悪すらあふれます。病院では、健康保険証に沿って呼ばれる分は、機械的な処理だと割り切ると、不愉快も少ないです。ただ、体調不良で意識が朦朧としていると、つい、生来の氏名を受け付け欄に記名してしまって保険証の氏名と異なってしまって混乱を招いたことがありました。やっぱり通称名は不便だと思うのでした。

 そういう経験もしながら、私は、改姓することの抵抗感は一貫しています。病院で通称名を間違えて使ったときに不便に感じた思い出は、改姓すればよかったという想いにはなりません。戸籍も改姓しないで済むのが一番いいのだと。

 人には、曲げられないものがあるのです。みんながやっている。そういうものよ、といって受け入れられるものばかりではない。まして、まだ学生で何のキャリアもなかったから、生来の氏名に付加価値があるわけでもないけども、生まれたときから悲喜こもごも愛着のある氏名をどうして結婚によって変える理由があるのか、しかも、夫婦の一方だけが変えるという違和感は一度気づくと払拭できません。

 たかが氏されど氏。

 改姓しないという思想は、誰にも脅かされません。

 時代は、その後、違憲判決に伴い嫡出子差別を撤廃しました。

 今、まだ、「婚外子」という言葉が残っていますが、法律上の差別は克服されたので、意識レベルの印象にすぎません。直に克服されると思います。婚内子の方が、無戸籍になるリスクがあると思えば、出産期の限界とあいまって、婚外子は増えていくかもしれません。フランスなど諸外国ではすでに珍しいことではないという位置づけのようです。そういう経過をたどって、家制度の呪縛もようやくほぐれるような気がします。

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