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工場型モデル 仕組み化による再現性

  昭和の時代、税理士事務所は工場だった

昭和の時代、私の記憶にある税理士事務所は、駐輪場にスーパーカブや自転車が並び、職員が顧問先を回って資料を回収し試算表を納品するというスタイルでした。

まだパソコンが世の中に普及する前、税理士事務所では、顧問先企業の振替伝票を、ベテランキーパンチャーがものすごい勢いでオフコンに入力していました。税理士事務所の前を通るとバチバチとキーボードをたたく音が響いていました。

高度成長期の名残のある規格大量生産の時代、税理士事務所はまさに工場でした。

工場型モデルのKPI

工場のKPI(重要達成度指標)はQCD(品質、コスト、納期)ですが、工場型モデルの税理士事務所のKPIも同様と言えるでしょう。この、KPIを目標にして達成すると、当時は高収益のビジネスとなりました。

その後パソコンが急速に普及し顧問先で会計入力を行う自計化の波がやってきます。顧問先企業側もこれまでの伝票の手書きから解放されるために歓迎しました。

自計化時代のKPIは、(品質、コスト、納期)から(品質、コスト、付加価値)に変わります。訪問による月次巡回監査によって付加価値を担保しました。

クラウド会計登場により工場型に回帰?

時代が移り、中小企業に経理専属の社員を置く余裕がなくなってきました。そこにクラウド会計が登場します。これによって、会計入力がAI任せになり品質が低下し、訪問もしないため付加価値を担保しにくくなりました。これにより自計化時代のKPIが機能しなくなってきています。

現在、新たなKPIを、模索しているのが税理士業界の現場です。そこで、見直されているのが工場型モデルです。テクノロジーの進化で会計入力の効率化が劇的に進みかつてよりも、QCD(品質、コスト、納期)のKPIを達成しやすくなっているからです。

工場型モデルでは、スチール周波数が力を発揮する

工場型モデルでは、物事を単純化し仕組みにするのが得意な ※メカニックやロードのスチール周波数が強みを発揮します。専門特化型に求められるものが職人芸による特注品なのに対し、工場型では、大量生産が可能な汎用品が求められます。工場型税理士事務所の新規顧客のターゲットは、小規模な事業者か、新規開業の個人・法人であることが多いです。税理士事務所の生産性を下げる最たるものが税務調査対応ですが、小規模事業者の場合、税務調査の頻度が低いということもメリットになります。

※ウェルスダイナミクスで単純化して仕組み化することが得意なタイプ

工場型モデルとインターネット広告

2014年に日本政策金融公庫の新創業融資制度が始まったことも追い風になっています。

税理士事務所は、「創業融資」を検索キーワードに、インターネット広告を出し、融資のお手伝いと税理士の顧問契約をセットにすることで新規顧問先を獲得しています。初年度の顧問料を無料にする税理士事務所もあるようです。

工場型モデルで成功しているところは、インターネット集客を得意としています。ロードなどのスチール周波数の持ち主は、データ分析が大得意で、ABテストを繰り返し、インターネット広告の成約率をあげていきます。

担当者ひとり当たり100件の担当

また、仕組み化による生産性向上にも熱心で、担当者ひとり当たり100件以上の担当を可能にしているところもあります。理論的には200件も可能らしく、通常の一人あたりの担当件数が20件から30件であることを考えると驚異的な数字です。

低単価✕多顧客の収益モデルで、顧客に密着した高度なサービスを提供したい人には向きません。ビジネスとしての割り切りが重要です。

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