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【伊香保滞在記②】厳しい寒さと、優しい静けさ(1/6-1/7)

はじめに:伊香保滞在記について

渋川アートリラ2022 in伊香保 アーティスト・イン・レジデンス(AIR)の述懐です。滞在中の体験から作品が生まれる過程を共有します。
【伊香保滞在記①】はこちら
12/31-1/20に渋川・伊香保のあらゆる場所で採取した“音声”を再構築したサウンドインスタレーション《Great Good Journey》は12/24~12/30にホテル木暮様にて展示 → 渋川アートリラ2022 in伊香保

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1月6日

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榛名湖の氷上に乗っ・・・てみようかと踏み出したが、足がすくんでしまった。向こう側で子どもたちが湖面を渡り歩いているのが見えた。その昔、真冬の榛名湖でアイススケートができたという。氷に閉じ込められ、まるで時間が止まっているような草木のうら寂しさも感じたが、この日は鋭く冷たい風のない穏やかな空で、湖にはやわらかな陽が射し、暖かい春の訪れがすぐそこまで来ているように思えた。氷のひび割れる音、その下で水の跳ねる音に耳を澄ますと、それがよくわかる。
地元の方に伺った「箱島の湧水」は榛名湖の伏流水。この滞在では行けなかったのだが、別のときに必ず行きたいと思っている。

巌山境内地に御鎮座の榛名神社。その歴史は『延喜式神名帳』(延長5年)にはじめて記録されたといわれ、上野国十二社のひとつに数えられた由緒ある神社である。
ところで、ここまで来るともう文字通り“段違い”の寒さ。「瓶子瀧(みすずのたき)」も凍っていた。

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1月7日

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再び石段街。
元旦に訪れたときとは打って変わって人の姿はまばらで寂しい(コロナ禍ということもあっただろう)。正月の賑わいはどこへやら。
石段のはじめにある「アヒル神社」。神社といっても、なにかを祀っているわけではなくて、旅客が射的ゲームで当てた景品のアヒルを旅の記念に置いているのだとか(誰がいつはじめたかも定かではなく、よくよく中を覗いてみると・・・どうやら正体はゴミステーション)。静かな石段街では、アヒルたちが代わって囃してくれているようにもみえた。

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三つ並んだ嶺。
左から、十二ヶ岳、中ノ岳、小野子山。
山に囲まれた群馬ならではの景色。伊香保では、ずっと向こうまで裾野をひくパノラマを眺望できる。滞在中はほぼ毎日、いくつかの決まった場所で景色を観測していたのだが、そのひとつからの眺めだ。
山肌の険しさと、吹き下ろすからっ風の厳しい地。かと思えば風はぴたりと止み、遠くの鳥のさえずりすら聴こえてくる穏やかな日もある。自然の気まぐれによる動と静の対比が、平野の町で暮らしてきた私が過ごすための心構えを叩き込んでくれた。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。
伊香保滞在記③もぜひご覧ください

★★★ Special thanks to

いかほ秀水園
(12/31〜1/13まで滞在)

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