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❝飲食店×サブスクリプション❞のジレンマ

「サブスクリプション化はどこまで進む?」


 サブスクリプション=定額制
(以下:サブスク)

 昔から月額制が一般的な、塾やスポーツジムのような業種。
 気付けば、月額制が主流となっている音楽や映像の配信サービス。

 「時代はサブスクだ!」
 なんて叫ばれ、それに伸るか反るか。
 すべての業界が今、試されているように思います。

 そんな中で飲食店も、全国の店が、大手が、個人店が。
 試行錯誤を、あちこちで繰り返しています。

 消費者の観点からすれば、間違いなくサブスクはお得で安心のサービスでしょう。
 けれど、はたして提供する側からはどうでしょうか。

 抑えておかなければならない大事なことが、ここで1つあります。
 サブスク化には、圧倒的に向いている業界と、向いていない業界がある。
 ということです。

 飲食店はその点、もともと向いていない業界だと僕は考えています。
 理由をいくつか説明していきます。


「サブスクに向いてるかどうか」を判別する3つの視点


▽1つ目は、ニーズかウォンツが継続的に発生するものかどうか

・ニーズ=必要性のあるもの
・ウォンツ=欲求のあるもの

 このどちらかが一定期間、もしくは永続的に発生していること。
 これがないと、消費者からのサブスク需要が発生しないので大前提と言えるでしょう。

・ニーズ⇒痛みから逃れるためのもの
・ウォンツ⇒快楽を求めるためのもの

といった所でしょうか。

(例えばダイエットのためのジム通いは、人によっては「不健康になりたくない」から逃れるための、『必要性に迫られたもの』かもしれませんし。
 人によっては、「運動が気持ちいい」という快楽になっている場合もあるでしょう)

 問題はそれが継続的に、または永続的に発生するかどうかです。

 例えば、自動車免許の取得や、結婚式、お葬式など、偶発的または単発で発生するものに関する業界はサブスクとは縁遠いと言えるでしょう。


▽2つ目は、『不特定多数に提供しやすいか』~サブスク利用者数と業務量やコストが比例しにくいこと~

 いきなりわかりづらい話になってすみません。笑
 ここは例えばなしを一つ聞けば、そんな難しい話ではなくなると思います。

 ざっくりと考えてみましょう。

 新聞の場合、購読者が100人であっても、1,000人であっても、10,000人であっても、記事を作成する手間は、同じだけかかります。
 印刷も機械を動かす手間は、100部から10,000部なったからといって100倍にはならない。
(紙で配るなら、紙代は比例しますね)
 唯一、配る手間だけは増えた分だけ、実働が増えていく、といった感じでしょうか。
(デジタル配信をしてしまえば、配達自体が必要なくなります)

 これが人が直接行うサービスの場合、例えば整体師さんだったらどうでしょうか。
 10人のお客さんが100人になったら、業務は10倍です。
 飲食店のように原価が発生するものなら、10人の料理が100人になったら、原価も当然10倍です。

 サブスクとは、『消費者に継続的に購入してもらう代わりに、1回あたりの単価を安く提供する』というサービスです。
 つまり、事業者側からすれば『1回当たりの利益は落ちる代わりに、提供の機会や期間を増やして、利益をアップ又は安定させる』ということです。

 提供の幅を広げた時に、どれだけの労力とコストがかかるかは大事なポイントです。


▽3つ目は、提供できる人数の物理的限界が到達しにくいこと

 これも大事なポイントです。

 基本的に、利益=1人当たりの単価 × 人数
 と考えたとき、『その提供方法に人数の限界があるのか』は重要です。

 2つ目で説明したように、サブスクは単価を安くするサービスです。
 『いかに人数を増やせるか』がキーポイントになります。

 例えばデータの配信サービスや、何かを宅配するサービスは
「すいません、今日は満席です」
とはなりません。

 一方、店舗ビジネスには必ず適正な人数というのがあり、それを超えてしまうと、お客さんにとっての満足度が下がる状態になります。
 そして、それもどこかで物理的な限界へと達します。


 1つ目の『ニーズとウォンツ』は、需要があるかどうかの前提条件です。
 2つ目の『不特定多数に提供しやすいか』と、3つ目の『提供人数のキャパ」』を掛け合わせると、サブスク化の際の収益の天井が見えてくると思います。


「さてこれを踏まえて飲食店を考えると…」


▽1つ目の『ニーズとウォンツ』について

 飲食店は、一定のウォンツはあると言えるでしょう。
 毎週必ず飲みに行く人もいるでしょうし、必ず毎日外食をする、という人もいるでしょう。

▽2つ目の『不特定多数に提供しやすいか』について

 うん。
 ここがいきなり、まあまあのハードルな気がします。

 提供に時間のかからないドリンクは、まだいいかもしれません。
 しかし、仕込みもあり調理もあり、在庫管理やロスもある料理に関しては、『不特定多数に提供しやすいか』と言えば微妙です。

▽3つ目の『提供人数のキャパ』について

 店舗ビジネスなので限界があります。

 そもそも満席にならないぐらい席数が多い店や、回転数が早い業態ならその点では問題は少ないかもしれません。


 こうやって考えていくと、飲食店とサブスクは決して相性が良いわけではないのがわかります。

 サブスクに対応できるように計算されたカスタマイズする必要が出てきます。
 その計算を誤ると、「忙しいのにまったく儲からない」という事態に陥る可能性もあるでしょう。


〇飲食店のサブスクあれこれ【個人戦編】


 とは言え、街の様々な業態の飲食店があれやこれやと工夫をこらして、様々なサブスクのサービスを提供しています。
 そのいくつかを紹介していきます。

▽らーめん月額8,600円で1カ月食べ放題

 12回で元が取れる計算になるそうです。
 もちろんファンに取っては嬉しいサービスでしょうが、近所の大学生とかでもなければ、月に12回以上もらーめんは厳しい気もします。

 昔あった『30分で特盛完食で無料!』のような、
 話題作り、宣伝の位置付けとしてなら、かなりあちこちで取り上げられているので大成功でしょう。


▽カフェ月額3,000円で1日1杯コーヒー無料

 300円~500円程度のコーヒーが毎日1杯無料というサービス。
 お代わりやサイドメニューは別料金。

 このサービスは、店側の負担も少なく、利用者にとっても自宅か職場に近ければ、かなり使いやすいと思います。
 カフェは外から客席が見えるつくりの場合が多く、程よくお客さんが入ってる方が次のお客さんも入りやすくなります。
 店側にも十分なメリットがあると思います。

 追加のサイドメニューやお代わりで、利益アップもするでしょう。
 店の味や雰囲気が合えば、継続して長く利用してくれる可能性も高そうなのもいいですね。


▽居酒屋 月額4,000円で何回でも飲み放題が無料

 ここだけ聞いたら意味不明な安さですよね。笑

 もちろんカラクリがあって、1人につき料理2品以上は必ず注文の必要があり、時間も2時間(90分でラストオーダー)だったりします。
 会員以外は別途1人1,000円追加。
 それでもめちゃくちゃ安いです。

 ただ近所の学生や会社員の方に入ってもらって、しょっちゅう飲み会を開いてもらえるなら、これも上手な手法だと思います。


〇飲食店のサブスクあれこれ【団体戦編】


 もともとは色んな店が単体で、
 工夫してサブスクをしていたと思うのですが、気付けばたくさんの店舗を巻き込んだサブスクの団体戦が始まっています。

 どういうことかというと、
■モンスターパス
https://monster-pass.com/

のような登録をしてサブスクを始める、ポータルサイトが出来ていたり。
(美容、教育、その他もあり)


■CAFE PASS
https://cafepass.me/

 たくさんのカフェ店が加盟していて、加盟店ならどこででも使える。というサービスもあります。
 月額900円で、どこで飲んでも3杯まで無料!
 都内を中心にサービスを広げているみたいです。


■always LUNCH
https://always.fan/lp/lunch/

 たくさんのランチをやっているお店が加盟していて、加盟店でなら『毎日食べても月額が定額』です!
 月額7,980円!
 同じ店なら毎日は飽きてくるかもしれませんが、色んな店に行けるのが利用者にとっては嬉しいサービスです。


 飲食店をやっている側からしたら、ちょっと気になるのは。
「運営側へのマージンがいくらなんだろう」という点ですね。笑

 CAFE PASSは加盟店が増えるまでは、無料で利用できる。みたいに書いてありましたが、それ以外はおそらくかかるでしょう。

 そもそもサブスクという時点で、店側からしたら一回当たりの利益は減ることが多い所に。
 さらにマージンまで発生するとなると、店の利益の残りが気になるところです。

(※そのうち、いくらぐらいのマージンかわかり次第追記いたします!)


その他:高級店のサブスクについて


 色んな意見があるかもしれませんが、僕は高級店のサブスクはちょっと別物だと思っています。

 通常のサブスクが、「月額〇〇円!何回で元が取れる!お得!」というのに対して。
 イメージは高級会員制、といった感じでしょうか。

 こういう土俵で戦えるブランドを確立出来ているお店は強いですね。


まとめ飲食店のサブスクの未来について


 これから飲食業界でサブスクが広がっていくのか。
 僕にはまったくわかってません(←長々書いておきながらすいません。笑)

 ただサブスクが広がっていった場合、そしてそれが個人戦でなくて団体戦を強いられるようになった場合は、個人店にはかなり厳しい展開のように思います。

 これは言うなれば、商店街とショッピングタウンの構図になるかもです。
 ショッピングタウンに入らないと人は来ない。
 けれど入ると高いテナント料が発生する。

 もしくはアマゾンや楽天。
 ここに出店しないと、個人のサイトだと見つけてもらえない。
 けれど、やはり手数料を取られる。


 そうならないように、個人の店は個人の店でたくさんのファンを作っておくことが必要です。
 『お得さ』はきっかけとしてはいいでしょうが、お得だけで繋がるお客さんは違うお得に取られてしまうかもしれません。

 日々の営業をもっと頑張っていかねばと、これを書きながら改めて強く思いました!
(応援よろしくお願いします!)

 そう言えば、うちのbarでもサブスク(らしきもの)をしているのですが、紹介するのをすっかり忘れていました。
 店側がリスクが少なくなるように設計しすぎた結果、かなり一部の方にだけ愛される形となっています。

 その話はまた別の機会にでも!


 ではでは。
 本当に長々と読んでいただき、ありがとうございます!

 今後も

・小規模飲食店
・個人経営者
・地方(佐賀)

 視点からの記事を、投稿していきたいと思っています。
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 更新のエネルギーとなって、頻度やクオリティーが上がること間違いなしです!!笑

 また次の投稿でお会いしましょう^^ありがとうございました。

ーーーーーーーーーー  ただ今コロナの荒波の中、ひたすら潜水中です。息継ぎしようにも波が激しくてあp@ぷです。  色んな方からの酸素補給(応援)が細く長く必要です。  もう少し泳がせれば、面白い動きをするかもしれません。  どうぞよろしくお願いします! ーーーーーーーーーーー