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九尾の狐を君は見たか?(KOGADOの冒険ワークショップ vol.22 ベテランPGトラ崎さん:命名デザ日々feat.雑画店、登場)

北川:
 (タイトルが分かりにく過ぎるな)
 始めます!よろしいですか?

トラ崎:
 はいどうぞ。

北川:
 だいぶトリに近い順番になってきましたが、他の人たちのBWSみました?どうでした?

トラ崎:
 みなさんちゃんとしてるな、って印象ですね。

=====
今日のゲスト:トラ崎さん(本名は非公開)
社歴10年目のベテランプログラマ。工画堂SWDがコンシューマに展開し始めた時期前後にふわりと合流。PGさんは癖が強い人が多い。トラ崎さんも部内屈指の癖強。で多分に漏れずロジカル。だけどそれでいてウェットなマインドの持ち主で、とても仲間を大事にし目下をかわいがる、よき兄貴。
プラモが好き。TwitterにアップされたX-4+は彼の制作です。
=====

北川:
 それは、人間が?受け答えが?w

トラ崎:
 両方ですね。真面目なのが、受け答えにも出てるような?

北川:
 なるほど。 多少丁寧な口調と表現にはなってはいますけどねw 校閲さんが修正してくれてるので。
 でも「結構そのまま文章になるんですね」ってみんな言いますよ。

トラ崎:
 あんまり文面を変える事を好まない校閲担当だって記憶してますね。

北川:
 過去回にありましたね。
 何回か前に、すごく適当にしゃべった雑談回があって、その時は「今回のは難しいです!」といってました。

トラ崎:
 雑談に手入れするのにライターを頼んだ形ですね。

北川:
 贅沢ですね。

「物心ついたころには」再び

北川:
 トラ崎さんって、PG歴何年ですか?

トラ崎:
 お仕事って意味だと20年ぐらい。
 初めてプログラムってモノに触ったのは5~6歳ですね。 ローマ字も分からないままキーボード触ってた記憶があります。

北川:
 おお! それはなに?そういう家庭環境だったと?

トラ崎:
 ファミリーベーシック、ってやつです。 ファミコンにキーボードつないでBASICでゲーム作るやつ。

北川:
 ああ、あったあった。 でもそれを5歳児は欲しがりませんよね?

トラ崎:
 面白そうと思うには十分だったようですよ

北川:
 欲しいって買ってもらったの??

トラ崎:
 流石に経緯までは覚えてないですけどね……。親父が面白がった可能性がありそう。

北川:
 なんかそこにあって、なんか触ってたらしい?w

トラ崎:
 記憶のスタートはそんな感じですね

北川:
 へえー

トラ崎:
 スペルミスのエラーが分からなくて首捻ってたり

北川:
 それ、おかしいでしょう、未就学児でw

トラ崎:
 適当な所で飽きて投げて、1~2年経ってローマ字を把握して、「PRINT」を納得したのも覚えてます。

北川:
 かなり小さい時から、プログラムとかコンピュータには興味もってたんですかね。 コンピュータなのか、プログラムなのか、ゲームなのか。

トラ崎:
 コンピュータもゲームもプログラムも、特別な物では無かったってことでしょうね。

北川:
 つまり……いってみれば、幼少期から思春期青年まで、趣味がPCだった感じですか?

トラ崎:
 趣味として認識はしなかったと思いますね。
 ブロック組み立てたりプラモ作ってたりの方が、趣味カテゴリだったんじゃないかな。

北川:
 となると、なんだろう、道具?

トラ崎:
 ある事が自然って枠だったと思います。 常になにかしら、身の回りにPCがあったような気がする。

北川:
 自己表現するツールとかプラットホームとか、そんな感じ?

トラ崎:
 自己表現って言葉に合致するかどうか微妙なラインですね。おもちゃですかね。

北川:
 それを仕事にしようと思ったのは? どう考えて?

トラ崎:
 縁あって仕事になった、です

北川:
 それは、もう少しいうと? 手伝ってくれない?みたいな感じで声がかかってとか?

トラ崎:
 「知ってる会社が人手足りないらしいんだけど、紹介していい?」っていう間接的な声掛けがスタートでしたね。

北川:
 なるほど、いいですね、リファラル。それは学生時代?

トラ崎:
 ですね
 で、人が足りないって言うのに断られた、に続きます。

北川:
 wwwwなんだそれw

トラ崎:
 営業がOKだしたけど開発がNGだしたって話は覚えてますね。

北川:
 ひどいw

トラ崎:
 そっから、放り出すのも何だから「ウチにこない?」に流れます。

北川:
 「うち」というのは、その紹介してくれた人の会社?

トラ崎:
 そうです。「知ってる会社」から下請けでゲーム作ってる会社ですね。数人集まって面接やって試験を経て、そこに潜り込む事に成功します。

北川:
 当時ってどうだったんですか?PGの数が足りないみたいな業界だったんですかね。

トラ崎:
 どうでしょうね。その会社としては少し足りなかったんだろうなと思います。
  ある程度作れるって事はアテにされてたんで、小規模なプロジェクト投げられましたね

北川:
 なんか、いいですね、PGギルドw 手に職っていいなぁ。

トラ崎:
 どうだかなぁ……知識も経験も、常に腐り続けるジャンルですからねぇ。

北川:
 まあーそうかー
 最近は特に足は速いかもですね。

トラ崎:
 速度というかむしろ、規模が大きくなりましたね。

北川:
 規模?

トラ崎:
 プログラムって物が一般化したって事です。ゲーム作るのって特殊技能じゃなくなりましたからね。

北川:
 そっちか。ツールもよくなったし?

トラ崎:
 ツールに依存する部分が増えたのは確かですね。そうではない部分もありますが、その両方が腐るわけですし。

PG的思考

北川:
 最近は小さいころから学校でプログラムの勉強をするんですよね?あんまり詳しくないんですけど。

トラ崎:
 らしいですね。

北川:
 あれって意味あるんですか?現役PGの立場から見ると。

トラ崎:
 教える教師に依存するなぁ…って印象

北川:
 なるほど、てか、誰が教えるんだろうw

トラ崎:
 双方の、脳味噌の構造に依存する話なんで噛み合わないと回らないだろうなって印象をもってます。

北川:
 高度な積み木とかパズルみたいな感覚なのかな?あるいは共同制作することに意味があるのか。

トラ崎:
 推測とか抽象化とか、その辺りになるような気がします。 パズル的な楽しみ方が出来ると、理解できるジャンルかな。

北川:
 え?なになに?推測??

トラ崎:
 なんというか、将棋で言う先の手を読む、みたいなやつ。

北川:
 あー、そういうことかー。

トラ崎:
 あーなったら、こーなったら、あーして、こーすると、こーなる → 違うじゃん!
 から始まるパズルゲーム?

北川:
 なんか、娘とよくEテレの「ピタゴラスイッチ」見るので、そこから脱却できてなかったけどw まあそういうことかー、なるほどなー。
 確かに、職業PGにならなくても、いろんな仕事に役立ちそうだよね、そういう思考の癖は。

トラ崎:
 あーなったら → こーなる を積み重ねるタイプの脳味噌があるんで、そこで食い違うと思います。

北川:
 なんか仕事してるとそういうことってよくあるじゃないですか、考えうる全部のパターンの未来予想をして、その時の最善を取るとか。それのトレーニングってことで考えると、意味あるかも。そうか。
でも、やっている子たちは理解できてるのかな、その意味ってw

トラ崎:
 少なくとも私は、親とやった将棋が脳味噌の構築に一役買ってると思いますよ。

北川:
 へー、なるほどー。

トラ崎:
 どれだけ考えても、要素を見落とすし、結果は間違えている。認識してる要素が全てではない、って感じですね。

北川:
 そんな高度なことを?

トラ崎:
 「読む」のと「思い込み」は違うって親父が言ってた。

北川:
 なるほどなるほど

トラ崎:
 どーやってもこんな感じの脳味噌が使えないタイプも居るんで、娘さんがどうかはわかりませんよー。

北川:
 ある意味、常に疑うってこと?

トラ崎:
 その表現は合ってると思います。

北川:
 なるほどね

続けること、続けられるために

北川:
 工画堂で、実現したいことってなにかありますか? 大なり小なりで。

トラ崎:
 仕事を続ける事。あるいは、仕事を続けられる環境を保持する事、ですね。

北川:
 それ、いろんな部分に対して言えることだと思うんだけど、もう少し分解すると??

トラ崎:
 売れるモン作れよ、って事ですね。

北川:
 そっちね。なるほどね。でも「売れるモン」って、難しいですね。

トラ崎:
 それが分かれば苦労はないですからね。

北川:
 売れるモンのしっぽはつかめそうだけど、なんかこう、我が出てしまったり。もちろん実際にはそうやすやすとつかめないんだろうけどw

トラ崎:
 たぶん、掴んでる尻尾は全部ハズレなんでしょう。

北川:
 抜けるんだろうな、スポっとw
 「続けること」の重要性ってことですね。うちの会社は、続けるってことで言うと、まあまあな実績があるじゃないですか。そこにも合致するかもですね。

トラ崎:
 すごい難しい事だと思います。先に言った通り、常に腐り続ける業界で、現状維持を行うわけですから。

北川:
 そうですね。全速力で川を遡ってる感じですね。

トラ崎:
 だいたいどっかで脱落しますよ。あるいは、脱落してるのに気づいてないかのどっちか?

北川:
 なかなかにディープで、厳しい話になりそうw
 聞きたいところではあるんだけど、聞きたくないような気も
 って、そんな世界に身を置いてるPGさんのお仕事中に、長くお時間いただいてしまってすみません。
 では最後に。読者の皆さんに、一言メッセージをどうぞ。

トラ崎:
 そのウィッシュリストに並んでるタイトル、買って遊びましょう。知らないゲームは常に新作だって誰かが言ってました。
 あと、校閲の人にエールを。

北川:
 買って遊びましょう!!!
 ありがとうございました

トラ崎:
 お疲れ様でした。


 今日はSWD部員紹介篇でした。ゲーム会社にとってプログラムは資産であって、それを司るプログラマーというのは部の「柱」です。屋台骨。部員全員を守り、安心や安全を与える存在です。
 トラ崎さんは、まだうちがコンシューマに不慣れでオタオタしている時期に颯爽と現れ、どっしりとした安心を与えてくれたヒーローでした。(過去形ですけど、もちろん現在進行形です)

 また、本文中でも語りましたがまだ足りないのでさらに書いちゃいますが、経験がまだ浅いPG達に「この分は考えてる?」「こういうことは想定してる?」と、見落としがないか常に疑うチェッカーとしての立ち回りが絶妙で、若い連中がのびのび力を発揮できる場を作っています。たとえ自身が一行もコードを書いていないプログラムにさえ、安定をもたらしているのです。お父様から教わったという「読む」のと「思い込み」は違う、という考え方とスタンスは、ぜひとも見習いたい。みんなにも見習わせたい。
 癖が強いですよ、ものすごく。でもそんなのは彼の本質じゃないんですよね。わかりにくいかもしれませんが、本当に魅力的な人なんです。

 ということで、また、来週。

※「KOGADOの冒険ワークショップ」では、レポーターでもある求道者(浪人改め)北川にやってもらいたいことを募集しています。
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