「グラン・ブルー」を観たよ。
夢は現実の投影であり、現実は夢の投影である。ーーフロイト
夢はいつしか形となってあらわれる。
こんにちは、古閑です。
2回連続で海が舞台の映画になったね。たまたまです。
作品は1988年公開の仏伊合同映画、リュック・ベッソン監督作「Le Grand Bleu」(邦:グラン・ブルー)
フリーダイビング(もしくはアプネア)という競技と海に人生をかけている男2人と、うち1人に恋をした女の物語。
フリーダイビングには色々種類があるらしい。作中ではノー・リミッツという競い方。人間がノー・リミッツで到達できる最高深度は現在-214m。人間じゃねぇ。
映画の話をするとまず主演ジャン・マルク・バールの目。本当に優しい目をしている……。海を見る目、イルカを見る目、ヒロインを見る目。本当に美しく、優しく、静かで凪いでいる。
主人公ジャックは父を海に奪われた。そしてライバルのエンゾも。それでも海に、人魚に魅せられている。その青さ、深さ、静けさ、たゆたうこと、沈むこと、海が持ちうる全ての憧れに魅せられている。
「イルカに似ている」ヒロインのジョアンナはそんな彼に恋をしたが、ジャックとは普通の家族を築きたいと思っている。妊娠したら真っ先に知らせたいし、勿論喜んでほしい。海がそこにあろうと、自分はここにいるということをジャックに分かってもらいたかった。だが海に、人魚に焦がれるジャックは止められない。何者にも。
だからジョアンナは送り出すんだ。「私の愛を見て来て」と。
そしてジャックは、沈んだ。人魚への愛を確かめに。
戦争かよ、と思った。ジョアンナのその気持ちはまさしく戦争で男を送り出す女だった。この映画、もちろん海の美しさとか潜水の情熱とか色々あるんだけど、「愛」にも注目すべきだと思う。こういう恋愛映画(とも言えると思う)は好き。
風景も心も全部全部、美しいと思った映画だった。