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永遠のテーマ 思春期の子供とのコミュニケーションの問題2

Bonjour! パリ在住、日本語の声とことばのトレーナーゆうじです。

記事を上げるのが数日空いたのは、フランス語の試験のせいです!!それに、オンラインで試験って、カンニングし放題な訳なんですが、果たして意味があるのか!!

実はカンニングってわけじゃないんですが、テストのために答案用紙がワードデータで送られてきたんです。それで、解答していて間違えたスペルを入力すると、賢いワードさんがすかさず正しいスペルを教えてくれて助かりました。10点は絶対上乗せされました!!うれしいぞ!でも意味があるかは不明です(´;ω;`)。オンラインでの活動は、世界中でまだまだ手探り状態だと思いますが、一歩ずつ改善ですね。

さて、前回からやっと、声とことばの相談室に初めてのご相談をいただき、その回答をしています。

では、ご相談の内容の再確認です。

ご相談は、思春期のお子さんを持つ、パリ在住の女性の方から

話し方って本当に大切ですよね。思春期に入ってきた長女なんかピリピリしてる時には何を言っても毒。。どう話したらいいの?と悩みますね。

この方のFacebookは友達のみの限定公開だと思いますので、お名前をAさんと呼ばせていただいています。

この相談室、初めてのご相談がいきなりベリーハードな永遠のテーマ、思春期の子供と親のコミュニケーションの問題です。色々な学問の専門家が回答しては、これが決定版だ!という回答を、お母さん達に提示できていない難問中の難問です。果たして、声とことば(コミュニケーション)の専門家の立場から、どこまで切り込めるのか!

ちなみに思春期って何歳なのかネットで調べると8才~18才のことを言うみたいですが、ご相談者の文意から、中・高校生くらいをイメージしてお話しています。

まずは前回の復習から(難問だからね!)

前回、まずストレスには大きく社会から受けるストレスと、身体の内側から受けるストレスの2種類があって、そのうちの社会から受けるストレスは、大人も子供もそれほど違いはないよ!って話をしました。

親子それぞれの社会的なイベントから受ける悩み事を整理してみると

思春期の子供のよくある悩みは、親との関係、恋愛、受験、友達関係、などですね。

一方、親のよくある悩みと言えば、子供との関係、夫婦関係、ご近所付き合い、親の心配、などでしょうか。

どっちが大変だと、あなたは思いますか?

そうです。どちらも大変そう!!です。思春期だからといって、特別に大きな社会的イベントのストレスにさらされているわけじゃないんです。みんな大変って話ですね。

もし、親子でストレスに対する感じ方が同じなら、お母さんは子供時代のことを思い出して、子供のことを理解できるはずです。でもそれができないのはなぜでしょうか。

今の子供は、やっぱり昔とは違うんでしょうか。

今回は、子供と大人の違いについてお話します。

一般論の整理 親の役割の変化

下に、子供が大人になるまでに、社会とどう関わっていくのか、図にしました。

子供の社会の関係

ざっくり幼児期、小学生、中・高校生、大人の四つの時期に分けました。

それで、この図は何かというと、子供が自立して社会に進出していく過程を示しているんですが、同時に親の役割も変化しているってことを示しています。

この図のように、子供は中高生あたりでニ次成長が始まり、自立する練習を始めます。でも親の方は、身体が急激に変化するわけでもありませんから、これまでと同じように子供と接しようとします。

ここで、親子の間に大きな摩擦が生まれます。

小学生までは、全力で保護者として社会の窓口として愛情をもって教育し、遊んでばかりいたら叱り飛ばし、嫌いなものを食べさせ、様々な事に「お前に人権なんてない!!親の言うことを聞け!!」でいいんです。くれぐれも言いますが、愛情さえあればです。

ところが、中学生以上になると、子供は自立の練習を始めていますから、そんな単純な話では済みません。命令するだけでは、子供の反発を生み、うまくコミュニケーションが取れなくなってしまうのです。このことを、親の問題であるにも関わらず、難しい年頃だからと、子供のせいにして簡単に片付けてしまうことがあるんですね。

真打登場!?身体の内側から受けるストレス!

やっともう一つのストレス、身体の内側から受けるストレスについてです。

子供の身体は成長しています。身体のサイズが変わるというのは、二次成長期に入る前から起こっている変化ですから、それほど大きなストレスではありません。

これまでの成長と違う大きな変化は、皆さんご存じのように、性的成長による身体の変化と、声の変化です。

それでここは、声とことばの相談室なわけでして、性的な成長によるストレスは皆さんも経験してきた通り、いろいろな葛藤があって大変だーくらいの説明で充分でしょ。性の部分が秘密を作り、自立を促すんだ―くらいに思っておいてください。

ちょーおおざっぱ(笑)。

そして、もう一つ大きな変化が声の変化です。

男の子であれば、声変わりというはっきりとした声の変化が起こりますが、女の子でも緩やかにですが、声変わりをしています。男の子で1オクターブ、女の子でも2~3音程度も音が下がると言われいます。

そもそも、なんで声変わりってするんだと思います?

ホルモンが変化するとか、そういう原理の話ではなくて、声変わりが進化の過程で遺伝的に組み込まれた理由です。声変わりの役割といっていいでしょう。

ネットで調べても、手持ちの本を調べても、詳しいことは書いていません。なので、僕の私見を述べさせていただくと、やっぱり周囲に大人になったというのを教えるためなんだと思っています。

人間と言うのは、常に集団社会を形成する生き物です。当然、声とことばでコミュニケーションを取らないと、社会は形成できないわけですから、声が変わるというのは、その集団の中での役割が変わることを意味しているわけです。

男性であれば、低い声の方が強そうですし、女性であれば、責任感がありそうです。社会的に大きな役割が果たせますよと、アピールしているわけですね。

でもここは声の専門家として、もう一つ声の大きな役割を伝えたいと思います。

それは、声が変わると自立心が増すということです。何も声が低ければ低いほど自立心が強いということを言っているのではありません。

子供の明るく澄んだ声で生活するのと、大人の落ち着いた声で生活するのでは、大きく考え方が変わってしまうのです。

声の変化が性格の変化に大きな影響を与えることを感じてもらうために、ちょっとした遊びをやってみましょう。

あなたの普段の声で、「わかった」と言ってみましょう。

何がわかったのかは置いておいて、とにかく「わかった」と言ってください。

はい、どうぞ。

言ったとき、自分の心の中に、何か納得したようなわかったような気がしませんでしたか。

では今度は1オクターブくらい高い声で、「わかった」といってみましょう。1オクターブがわからなければ、あなたの一番高い声でどうぞ。

ね、違和感たっぷりなのもそうでしょうが、なんかわからなかったでしょ。

声と言うのは不思議な作用があって、自分の感情や思考に直接働きかけるみたいなんですね。明るい人、暗い人、優柔不断な人、迷いがない人、いろいろな声の人がいます。当然ですが、大人の声と子供の声では、考え方も感じ方もやっぱり全然違うわけです。

大人の声を手に入れた子供は、急激に精神も大人になり始め、自立心が芽生え始めます。親になんでも相談したり決めてもらうことが、恥ずかしいと思うようになるんです。

そんな風に、子供たちは二次成長期の数年間を通して、単純に身体が大人の男性女性へと変化するだけじゃなくて、声の変化も通して精神も大人へと変化していくんですね。

この声が変わるというのが、実は思った以上に大きなストレスなんです。なんせ無意識の部分に作用していますから、厄介です。

これまでの自分の行動と異なる行動を、無意識に選んでしまうんです。

例えば、お母さんから「早く宿題しなさい」と言われたら、今までは子供の声で、嫌々でも「はーい」って言えたんです。でも声が大人になっちゃったら「わかってるよ!」と返したくなるんです。

改めて考えてみると、中学生くらいの子供の変化と言うのは相当に大きいんですね。


ということで、今回は大人と子供の違いについてのまとめでした。

次回、やっと結局どうしたらいいねん!!ところを解説します。解決編です。ご期待ください!


声とことばの相談室では、声とことば・コミュニケーションに関する素朴な疑問、ご相談、随時受付中です。「腹式呼吸ができません」「声がよく枯れます」「友達と仲良くなれません」などなんでも結構です。ご質問・ご相談はコメント欄、または声とことばの相談室online shopの問い合わせフォームから。

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