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エクササイズで本当に早口を治す!早口4

あなたの早口は、実は簡単なエクササイズをするだけで治るかもしれません。今回は身体の特徴から、早口になっている人の早口の治し方について解説していきます。

まず最初にお断りしておくと、早口には主に二つの原因が考えられます。

身体に原因がある場合と、心が原因がある場合の二つです。

今回は、身体に原因があって早口になっている場合の治し方を解説します。もしあなたが、今回解説する例に当てはまらないのであれば、心が原因で早口になっているのかもしれません。そちらの解決方法は次回の記事をご参照ください。

それでは、身体に原因があって早口になっている人の、早口を治す方法を解説していきましょう。


身体の使い方が原因で早口になっている人の特徴

まず最初に、主な早口の原因を分類しました。

分類表に記した通り、大きく三つの身体的な特徴を持った方が、早口になりやすい傾向にあります。では、それぞれのどんな特徴の方なのか、またどんな対策が有効なのか解説していきましょう。

①猫背などのために、肺が圧迫されている場合(背骨の歪み)

肺が猫背などで肺が圧迫されている人は、しゃべるとき無意識に必要以上の息を吐いてしまうために、短い呼吸になりがちです。

その短い呼吸の中で、自分の言いたいことを全て詰め込まなくてはいけないため、早口になってしまうのです。

猫背で早口な有名人を例に挙げると、元プロボクサーの輪島功一さんがわかりやすいですね。あと、同じくボクサーの亀田兄弟なんかも、みんな一様に早口なので、ボクシングをやっていると、早口になりやすいのかもしれません。

それで、理由を考えると当たり前なんですが、彼らはボクシングのプロなので、しゃべるための身体を作っているわけじゃありません。

顔面に飛んでくるパンチを素早く避けるために、姿勢は前かがみで猫背気味です。

パンチを打つときにシュッシュッて息を短く早く吐きながら練習していますし、パンチをお腹に受けても簡単に倒れないように、強くて硬い腹筋を作っています。

ゆっくりしゃべるためには、長くて柔らかい呼吸が必要なんですが、ボクシングの練習は正反対の呼吸を作る練習と言ってもいいので、早口になるのも当然ですね。

猫背の人は長い呼吸ができないと言っているわけではありません。普段、人はリラックスした状態の呼吸で会話をしています。息を吐くときは、身体のあちこちの筋肉を緩めて息を吐くんですが、猫背の人は意識していないと肺が圧迫され易いので余分に息を吐いて、呼吸が短くなり易いんです。

つまり、猫背の人が早口を改善するポイントは、猫背による肺の圧迫の軽減して呼吸を長くすればいいんです。

猫背で腹筋が強すぎる輪島功一さんタイプの早口であれば、背筋を伸ばして、やわらかい腹筋を作るだけで早口は改善される可能性があります。

猫背の人の改善トレーニング

こういうタイプの早口を改善するトレーニングとしては、例えばヨガがお勧めです。ヨガは早口の原因となっている背筋を伸ばし、またゆっくりと長い呼吸に整えてくれるからです。他にも水泳や、太極拳なんかも長い呼吸を作ってくれるので効果があるでしょう。

キーワードは背筋を伸ばして、長い呼吸を身に付けることです。

自分に合ったトレーニング方法を習慣にするだけで、あなたの早口が改善される可能性が高いのですが、背筋が伸びてくるのに少し時間がかかります。あなたに合った、気長に取り組めるトレーニングを探しましょう。

でももし、あなたが本当にプロボクサーなら、ヨガの呼吸をマスターしてしまうと、パンチは当たらないし、お腹にパンチをもらうと、きっと一撃で倒れてしまうでしょう。ヨガの勉強をする前に、ボクサーをあきらめるか、早口をあきらめるか、どちらかを選択した方がいいでしょう。


②口先喋りの早口(言葉の省エネ)

そもそも口先喋りってどんなことを言うんでしょうか。

それは、文字通り口の先だけを使って喋る人のことです。下の図1に口先喋りの人が喋るときに意識している場所を図示しました。

この図を見て、え?!これが普通じゃないの?と思われた方、恐らくあなたは口先喋りです。

口先喋りの人は、唇と舌先を中心に言葉を作っていると思い込んでいるんです。

本当はどの部分を使って、言葉を作っているんでしょうか。図2に早口を治す為に意識すべき範囲を示します。

あなたが口先喋りの人.なら、口の奥まで使って喋るということにまだ半信半疑なはずです。なぜなら喋るとき、口の奥とか、喉元とか、そんな奥まで意識して言葉を作ったことがないはずだからです。

ちなみに、僕はこのタイプの早口だったので、初めて口の奥まで使って言葉を作っていることを知ったときは驚愕しました。

では、本当に口の奥まで使って言葉を作っているのか、確認してみましょう。

まず下の写真のように、片手の指を拡げて喉元を触ってみてください。喉を締めているようにも見えますが、添えるだけで充分です。

ではそのまま「カ」と発音してみましょう。

顎の下あたりが動きませんでしたか?

口先だけで言葉を作っていると思い込んでいる人でもほら、こんな口の奥まで使って発音しているんです。その動いている場所は、舌骨という舌の付け根なんですが、舌って思ったよりもずっと奥まで伸びているんですね。

言葉というのは「カ」以外の音も全て、自分の意識とは関係なく、舌の奥や口の奥まで使って作るものなんです。

この口の奥まで使って喋ることを意識していると、舌全体を丁寧に使うので決して早口になることはないんです。

口先喋りの人、全員が早口なわけではありません。ただ早口になりやすい人が多いというだけです。僕も口先喋りの早口だったので、なぜそんな傾向があるのか考えてみたんです。

恐らくですが、口先喋りだと言葉を省エネで素早く作ることができてしまうからです。

素早く言葉が作れること自体はいいことなんですが、先ほど解説したように、言葉と言うのは口の中の奥の部分も含めて全部を使って、やっとやっと鮮明な言葉を作ることができるんです。

口先喋りでは、一音が簡易に発音できるので、例えば「いらっしゃいませ」という言葉であれば、「ぃらしゃせー」のように省略しても発音できてしまうんです。しかも本人は、キチンと発音できていなくても舌先は反応しているので、伝わる言葉になっている気がするんです。

一方、口の奥まで使って発音すると、一音一音丁寧に発音しないとキチンとした音になりません。もちろん省略はできるんですが、省略した場合は単語として成立していない感が強くなって、自分の言葉でも気持ち悪く感じることができるんです。

口先喋りの人は、この言葉を発したときの音を作っている感の弱いせいで、言葉の音をどんどん省略してしまって早口になりやすいんだと僕は思っています。

口先喋りの人の改善トレーニング

では、口先喋りの人の早口を改善する方法をご紹介しましょう。

舌の奥までしっかり使って喋ることができるようにするだけです。

でも、口先喋りが定着してしまっている人に「舌の奥までしっかり使って喋りましょう」と言っても、なかなかできません。

そこで、簡単とは言いませんが、気長に練習すれば誰でも舌の奥まで使って喋れるようになる、いい練習方法があります。

その練習方法とは、なんと腹話術の練習です。

そうです、あのいっこく堂さんがやっている腹話術の練習です。

では、腹話術の練習をご紹介しましょう。

 1.歯を軽く噛んで、唇を少し開いておきます。

 2.舌先を歯に当たらないように、離します。

 3.そのまましゃべります。

このとき、舌が歯に当たらないよう喋ること

軽く噛んだ歯が開かないように注意してください。

マ・パ・バ行は唇を付けないと発音できない音なので、その時だけ唇を付けて構いません。

あと、普段使わないような、高い声や、低い声で練習する必要はありません。腹話術の時、声色を変えているのはお人形さんがしゃべっているように感じてもらうためのものなので、今回早口を治すためのトレーニングとしては、必要ありません。普段のあなたの声で練習して、腹話術の口のまま普通に会話できるようになってください。

この練習を始めた頃は、顎を動かさず、また舌を歯に当てずに発音することが難しいかもしれませんが、繰り返し練習しているうちにきれいに発音できるようになるはずです。

なぜこんなことをするのかと言うと、腹話術の練習では確実に舌の奥まで使わないと発音できないからです。舌先で喋ると、前歯と舌が接触してうまく話すことができません。腹話術は舌の奥の感覚を養うのにピッタリなんです。

この腹話術で日常生活を送れるくらい、丁寧に発音できるようになったころ、いつの間にかあなたの早口は改善されているでしょう。

余談ですが、腹話術師として活躍されているいっこく堂さんがよくやる「あれ、声が遅れて聞こえてくるよ」は、基本的には舌だけで発音して、顎と唇は見せかけだけで動かしているんです。それで見ている僕らは、普段言葉は唇とアゴで言葉を作るものだと思い込んでいるので、頭が「なんで口の形と聞こえてくる言葉が一致しないんだ!?」となって、パニックを起こして、不思議に見えるんですね。

いっこく堂さんの例を見てもわかるように、舌と言うのは僕らが思っている以上に言葉にとって、重要な役割を果たしているんです。

是非、早口を治すついでに、腹話術をマスターして子供たちの人気者になってください!!

③痩せ過ぎ、太り過ぎで息が短い(筋力不足)

息が短いのは、①で解説した、猫背の人と同じなんですが、仕組みが少し違います。

痩せ過ぎていて虚弱体質な人は呼吸のための筋力が不足していて、そもそも沢山の息を吸うことが苦手です。呼吸量が少ないせいで息が短くなり、その短い息の間に言葉を詰め込むので、早口になってしまうんです。

また、太り過ぎの人の場合はその逆です。息は人並みに吸うことはできるんですが、自分の体重で肺を必要以上に圧迫して息を吐き過ぎてしまうので、息が短くなっています。やはり、その短い息に合わせて言葉を詰め込むので早口になってしまうんです。

このような、痩せ過ぎ、太り過ぎが原因んで早口になっている人もいます。このような方は当然ですが適度な運動が効果的です。痩せ過ぎの人は、適度な筋肉を付けて長く呼吸できるようになりましょう。太り過ぎの人も、筋肉を付けることができればいいんですが、呼吸を圧迫するくらい太り過ぎていると運動によってケガの危険があります。むしろダイエットする方が効果的でしょう。

健康的な身体を手に入れるだけで、早口が改善する場合も多いです。逆に早口だけを改善しようとしても上手くいかないでしょう。

早口を治す、身体編まとめ

さて、身体が理由で早口になる代表的な例を挙げてきましたが、あなたはどれかに当てはまりましたか?

これらの例からもお分かりいただけると思うんですが、言葉というのは具体的な原因があって、その原因に対して具体的に改善をすることで、初めて治る可能性が出てくるものです。

一生懸命早口言葉を練習しても、なかなか普段の早口が治らないのは早口の原因に対して、トレーニングが適切でないためです。

自分の早口の原因を分析して、あきらめていた早口を本当に改善してしまいましょう。

もし、上記の例に当てはまらないようであれば、当サイト「声とことばの相談室」まで、お問い合わせください。

解決できる、トレーニング方法をご提示できるかもしれません。

でも、その前に我慢して次回もお読みください。早口って、心の問題から起こっている場合もあるんですってところを解説していきます。

ではまた!!


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