毎日毎日毎日毎日50日間近く、何して過ごしているんだろうか

6:00起床、22:00消灯
東京拘置所に収監されてた時以来の規則正しさである（嘘）

日頃、バラバラのタイムスケジュールで、時には終電で帰った翌日が4:30起きで、6:30から仕事
という日常生活の私からしたら
まぁ、入院ってモノは時間の流れが違う

というわけで、こちらの読み物の本来の目的である

『自分で言いますが（誰も言わんから）
知る人ぞ知る（そりゃそうだ一切広告しとらんから）
予約の取れない（これもそりゃそうや、新規断っとんのやから）
人気（これは盛った）パーソナルトレーナー（宗教家寄り）が
突如緊急入院し
長期入院生活を余儀なくされ
クライアントに
近況をお知らせする為だけの
備忘録です』

に一番合った内容【ルーティン】です

3:50〜
起床
ゴソゴソする
4:30〜
食堂に行き、紅茶をタンブラー2個分作る✱1
今日の全身自撮り
5:30〜
ベッドメイク✱2
6:00〜
病棟の起床時間
6:00〜
熱、血中酸素濃度、血圧、測定
2日に一度採血✱3
朝食前血糖値測定
6:20〜
シャワー
7:15〜シートパック、ドライヤー✱4
8:00
回診
8:05〜8:20
朝食
8:20〜9:30
髪をコテで巻く、スキンケア続き、日焼け止め、化粧
9:30〜11:30〜12:00
ランドリー室
洗濯、乾燥
昼食前血糖値測定
12:00〜
昼食
14:00〜17:00
あれば面会
〜17:00
中庭散歩✱5
17:00
回診✱6
17:15〜17:45
シャワー
17:45〜
熱、血中酸素濃度、血圧、測定
夕食前血糖値測定
18:00〜
夕食
19:30〜21:30
洗濯、乾燥
〜21:30
仮眠
21:30
就寝前血糖値測定
22:00
消灯
22:00〜28:00
糞活、Netflix、Hulu、Amazonプライム、U-NEXT、YouTube、iTunes、推し活✱7

こんな一日を送っている


それでは細かく見ていきましょう

✱1
紅茶
タンブラー2個を一旦熱湯で予熱する
食堂に設置されている温冷水機から出てくるお湯は、限りなく火傷リスクを抑えた、温水プール〜牛丼屋の味噌汁くらいの温度なので、耐熱のマグカップに汲んで電子レンジでぐらぐら煮立たせる×3〜4杯
紅茶を淹れるお湯はまた別で給湯器→レンジで沸騰させる×3〜4杯

なので、たかが紅茶を淹れるのに20分以上食堂にいる

たまに患者同士お喋りしている横などで作業してると
「あのぅ…何か、特別なお茶なんですか？」
と聞かれるくらい無駄に時間と労力をかけている
なので普段は人目を忍んで早朝にやっている
この一手間で、意外と夕方まで熱々の紅茶が飲めたりする

✱2
完全に独自の進化を遂げたガラパゴスベッドメイク
ベッドメイクの人も、難しくてできないので
「{∞⊕さん、あとお願いします」
と新しいお布団と枕とタオルケットを置いていくようになった
女性専用病棟で、男性の面会は談話室に通される
なので私の彼は病室に入ったことはないのだが、日々送っている画像にいちいちコメントしてくれる優しい男なので、私がパゴスってるのを知らずに
「シーツ、タオル地で気持ち良さそうやな」
とゆってくれた
「ちゃうで、これタオルケット勝手にシーツにしとるだけやで、もっと言えばその下に掛ふとんも噛まして敷ふとんにしとるで」
と白状し
「げ」
と言わせた

入院直後、病院の固い枕が本当に合わず、珍しく頭痛がおきてしまった口の悪い私が
「なんかしんねーけど、ここの枕、中の素材が  砂  利  と  小  石  なんやけど」
「超頭痛い！超ムカつく！」
とすね散らかし、彼に、入院して早々に自前で3つほど用意してもらった
分厚いホテル仕様と、高反発と、低反発を面会の度に買ってきてもらった

そしてその後もマイナーチェンジを重ね、退院後に全く使い道のない“スモールシングルサイズ”のピンクのボックスシーツ2組と、ピンクのタオル地枕カバー3組と、薄いピンクのとろみ夏掛けも自腹で揃えた
洗濯ももちろん自腹になる
超可愛い

✱3
世界一採血が難しい
ベテラン看護師さんが順番に撃沈して、控え選手の人数を言って去ってゆく
全員不思議がっている
よくある血管が逃げる、訳でもなく細い、だけでもなく
みんな去り際に
「なんでだろう」
「不思議だなぁ」
と言い残して去って行く
血を取るのに4人選手交代7ヶ所刺して1時間半かかった日もあった

私がいる間にせいぜい練習するがよい
こういうのは練習あるのみ
みんな最初は新人
何回刺しても良いぞよ
と思っている

✱4
顔にシートパックを貼り、お尻の割れ目に届くくらいの長い髪を、毎日病室の入り口付近の洗面台でドライヤーをかけ、そこからコテで巻き、一生髪の毛いじっている

他の部屋の患者さんで、運動不足解消目的で廊下を往復ウォーキングしている方が数名おいでなので、毎朝そんな私を見かける
最初の2週間くらいまでおとなしくしてたつもりだったのだが、やはり抜群に目立ってしまっている

しかも毛先10cm、バレイヤージュのハイブリーチなのだが、自宅からピンクシャンプーを持ってきてもらい、完全に毛先はネオンピンクになっている

最近では7〜8人の看護師さんがニ度見し
「あれっ？{∞⊕さんって、最初から髪の毛ピンクでしたっけ？」
と言ってくる

小分けたい彼に、ボトルごとでかいやつを持ってきてくれと頼むと、
「一回やるとしばらくピンクなのでは？」
と言うので
「今回の真の目的は髪をピンクにする事ではなひ
濃⇔淡
のコントラストを楽しみ、退屈な日々に彩りを添える事が目的なのである」
とドヤり
「お、おぅ」
と引かせはしたものの、我が意を得たり
作戦通りの皆の反応にいたくご満悦なアテクシなのであった

一人の看護師さんは、ピンクシャンプー云々の説明を聞いて、去りながら独り言で
「そっかぁ〜…、“アハ体験”だなぁ〜」
って小さい声で言っててとても可愛かった

✱5
中庭も勝手には出れない
一言断って、出るための扉のセキュリティカードをもらい向かう
因みに病院固有のお庭では無く地域の公共のお庭なので、外界と繋がっている
面会予約がいっぱいで取れなくても、中庭に来て貰えれば密会できるじゃん！あたしって、天才！と
彼に荷物を持って来てもらった日があった
到着の知らせを受けて、しれっと
「中庭行ってきま〜す」
とナースステーションで声掛けすると、な、な、なんと！まさかの
「あっ、{∞⊕さん！土日は中庭出れないんですー」
やっぱ、ズルとか悪い事はできんもんで、蜘蛛の糸のカンダタみたいなメンタルだとバチ当たるんやなぁ、というお話

ウチの彼は私のことを評してよく
“発想が犯罪者”と言う
私もそう思う
根っこの根っこ、ベースに
『バレなけりゃいい』
がある
一方で彼は、モラリストで良心の塊、真人間で、損得を超越した生き方で、利を己に引っ張る事がない
私の大事な宝物は、日々のエピソードの中、そんな私のそういった片鱗を見かける度に
「すげぇ〜じゃん！П⊥って、発想が犯罪者なんだよなぁwww」
と言う
しかし、そんな私のアンカー的な役割の彼が、初めて犯罪者の口車に乗ってルールを無視した結果がコレである
通常時と緊急時でいかなる冷静な人間でも判断ミスがあると言う事だ
おめおめと犯罪者に唆された彼は、持って来た重い荷物をそのまま持って帰路についた
ここで
『えー、荷物だけナースステーションに届けられるでしょう預けに行けばよかったのに』
と思うのは彼を知らない人で、その2分前に中庭へのセキュリティカードを頼んだ私が土日は出れない旨を知ったという状況下、荷物受け取りの看護師さんに
『あれっ？ははぁ〜ん、さてわ』

と思われるのが、クソ重い荷物をまた持って帰るよりよっぽど嫌なのだ
犯罪者の口車に乗ってズルの片棒を担がされそうになったのが三度の飯より恥ずかしいのだ

✱6
朝の回診の時
偉い先生、2番手、研修医らしき下っ端、のトリオで来た時は、研修医らしき下っ端は、一切話さない
しかし、夕方の回診で彼が一人で来た時があった
私が珍しく肌の不調を訴えた日、皮膚科外来を予約した方が良いかどうかの判断を、あまりの重要度の低さから下っ端に押し付けたと思われる
「おっ、先生、今日はソロ活動じゃん！」
ここで注目すべきは彼はまぁまぁよく喋る男であった
しかもそのとき私は彼の話し方にちょっとした特徴を感じた
「ねぇ、先生、賢い話し方するねぇ、すげー分かりやすいわ  大学どこ？」
「京大です」

やはりな、である
彼の話し方については、また別の科の素敵な医師の話を書く回に後述しようと思う
非常に賢い話し方をする、出来のいい若い医師であった

✱7
投与している薬の影響で、副作用に不眠がある
私は睡眠について他人に言及される事が大嫌いである事に今回気付いた
看護師さんは、お仕事なので
「寝れましたか〜？」
「今、服んでるお薬、不眠の副作用があるので、辛かったら睡眠導入剤処方できますから言ってくださいね」
「寝れてますか〜？」
「言っていただければ入眠を助ける軽い眠剤出せますからねー」

2〜3週我慢しただろうか

本当は

あーーーーーもう！
うるっさい！！！
あたしが夜中目ぇバッキバキでいつ迷惑かけたのよ？！
昼間だってシッカリしてんだからかんっけーーーねーじゃん！
寝れねぇくらいで死なねーから！
しかもだとしても昼間寝れる環境にあるんだから何も困らんやん！
どいっつもこいっつも眠剤眠剤眠剤眠剤って、眠剤王国の民か、眠剤ハケさせないと夏のボーナスカットなんか？！
そもそも肝臓の数値悪くてこんな目に遭っとんのやから、人生で一度も服んだことない薬わざわざ足さんでええやろ！そいつ分解するのに肝機能1ミリも使わんのんか？！
マジで次睡眠時間の話ししたら脱走するからな！

と頭グッシャグッシャに掻きむしりたかった

途中から、私が日頃からショートスリーパーと知った看護師さんは、いつ見回りに来ても、24時でも27時でも
iPadで映画見たり、脚にCHANELのボディクリーム塗りたくったり、金かけて真っ白にホワイトニングした歯が紅茶のステインで真っ茶色に染まり上がってるのを、10倍拡大鏡で飽きる事なく観察したり
してるのを見て
『また起きてる…w』
とばかりに手を降って帰ってゆくようになり、また別の看護師さんは昼間会った時
「{∞⊕さんっていつ寝てるんですかぁ？いつ見ても起きてるからw」
と、カジュアルな感じで聞いてきたので
「一晩中1時間おきにナースステーションの前通って食堂行ったりしてるじゃん？あれさ、合間に1時間ずつ寝てるんだよね寝て、起きて、歩いてんの」
などと説明してたのだが
その日ちょうど久しぶりに担当してくださった若い看護師さんが
「夜は眠れましたか？」
「もし辛かったら睡眠導入剤処方できますのでいつでも言ってくださいね」
を、無邪気に礼儀正しく発動させた時に、私のバケツの表面張力は決壊した
お得意の被害者ヅラでか細い声で「夜、寝れないのは大丈夫なんです、元々普段からショートスリーパーなので」
「しかも寝れなくても昼間お仕事してないから昼間に寝れる環境なので本当に大丈夫です」
「ただ、唯一、本当にストレスなのが、皆さんにご心配いただいている事が、寝れたかご質問頂くことが本当に唯一、とてもとてもストレスになっています」
「1ヶ月近い、コンビニへの外出許可も出ない入院生活で、本当にお陰様でノンストレスで過ごせているんですが、それだけがとてもストレスです」
と伝えた
いやいやいやいや、心配して聞いてるんじゃねーしw
パソコンに打ち込むために仕事で聞いてるんだし
分かってるんだが、その日がバケツなり、コップなり、お猪口の、臨界点がだったというだけである
気の毒に
ちなみにそれ以降誰一人睡眠について聞いてこなくなったw
シッカリと申し送りをし情報共有するいい病院である