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小説「双校の剣、戦禍の盾、神託の命。」

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声プラが贈る、小説と音声ドラマによって紡がれていくファンタジー作品 ~あらすじ~ その国の名はシュバルトメイオンと呼ばれていた。  国内には東西に分かれた学園があり、互いに競い… もっと読む
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#東部編第二部

140 アナタヘトドカナイコトバ

「これからも、一緒にいようね」  そう言ったのはいつの夜のことだったか。  時の流れは早…

139 大聖堂地下の秘密

「なるほど、ねぇ。まさか地下にある旧聖堂の更に奥底にこんな所があったなんて。地上に建てら…

138 運命のチョココロネ

 双校祭の後はこれまでの事はまるで何事もなかったかのように穏やかな日々が学園内では続いて…

137 遺却の約束

「サンダール!! 一体どういうつもりなの!? なぜこんな勝手なことを。リーリエさんが厳戒…

136 白日の下に

 双校祭の終わった翌日、東西の学園に派遣されていた九剣騎士をはじめとする国の騎士達が帰路…

135 鎮魂の後夜祭

 双校祭の最終日を終えた翌日の朝、シュレイドはいつもの場所にいた。  一心不乱に鞘に納め…

134 夜空に昇る炎

 シュレイドを庇ったその瞬間、思い出したのは自分の母の最期。  まだ幼いながらも決して記憶から消えることのないその姿。 「…………」  泣きじゃくるだけしか出来ない私は母の言葉を覚えていない。  あの時、一体なんと言われたのだろうか。  ダメ。目を閉じないで。  ダメ。眠らないで。  ダメ。いかないで。  止まらない涙でぐしゃぐしゃになる私。  その後の事は覚えていない。 『モウスコシ、モウスコシ』  その時、再び頭に響くあの不快な音、しばらくぶりに聞くその声に

133 幾つもの後ろ姿

「……」 「アンヘル、どうしたの?」  木々に囲まれた暗い場所で立ち止まり耳を澄ませるよ…

132 はがれたかさぶた

「リーリエさん」 「ん? ディアナ君、どうしたのかな?」  ディアナは槍を構えて厳しい表…

131 迫る地鳴り

「トドメだぜェ!!!」  小さく鋭い拳が腹部へと突き刺さり、シルバは膝を折り地に伏せる。…

130 無邪気の風来

 スタートとゴールにもなっている校舎棟から少し進んだ先にある平原。  そこではメルティナ…

129 エナリア班対シルバ班

「シルバ!? ということはようやく先頭まで追いつけましたのね!?」  エナリアの言葉にシ…

128 未確認班の上級生

 先頭集団が山岳エリアの障害物となる場所を越え、予選コースの最後となる最初にスタートした…

127 水流を越える術

 川の岸辺すぐそばにある杭の上へとふわりと一足飛びに器用に乗って一度、じーっと川上を見つめる。 「杭がずっと等間隔に並んでますね。一見すると川の中で流されそうになった時に掴まる用にある棒にも見えますけど」  まずは対岸まで軽やかに杭を渡って戻って来たシュレイドは開放感のあるこのロケーションに大きく深呼吸をした。 (懐かしい感じがする)  昔、山の中の深い森を独りで駆け回っていた頃の事を思い出す。  ただひたすらに山に登り、小屋に戻る事を繰り返す日常。縦横無尽に山の中で