婚活9日目

何度も入力するが、画面には大きく✖の記号。それだけではなく、
『消えない』
このアプリを開いて閉じようとしたが閉じることすらできない。
調べる事もできない。仕方なくショッピングモールへ行き化粧品売り場へと足を踏み入れた。
『こんなところ入るの初めて~』
普段お化粧をおろそかにしている瑠璃にとってこんなところに入るのは初めてであった。学生やOLなど様々な客層が見られる。
女性客たちは店員の女性にアドバイスを貰いながら様々なメイク道具を試していた。
「いらっしゃいませ!何かお探しの商品はございますか?」
こんなお店でまさか自分を女性扱いされていると思わず、ナンパでもされたかのような気分であった。
『シャドーってどこにあります?』
「アイシャドウですね?ご案内致します」
店員のカンは良く瑠璃が言おうとしたことをすぐに察してくれた。やはり、化粧品売り場で働いているだけあって美人な店員も多く、おそらく瑠璃のような客人を幾度となくみてきたに違いない。
「どのようなものをお探しですか?」
アイシャドウと単に言っても数があまりにも多すぎた。
『えっと・・・』
「じゃあ、マネキンで試してみましょうか?」
またもや店員は何も分からない瑠璃を丁寧に一人の女性客として扱ってくれた。
女性店員はすっぴんのマネキンを用意して自分の肌色とより近い物を持ってきて説明してくれた。
1、明るいカラーをベースカラーを使用する。
2、アイシャドウをすぐに塗らない。
3、一番濃くしたい箇所を最初に塗る。
4、ブラシは複数持つこと塗る箇所により大きさを変える。
5、ブラシをしっかり寝かせながら塗る。
6、アイラインで流れのグラデーションを作る。
7、テクスチャーをしっかりと選ぶ。

説明しながらマネキンにアイシャドウをしてみると可愛らしいお人形さんのようなメイクが完成した。

『えっ!?すごい!こんな可愛くなるの』
「色々テストできますので、試してみてはいかがですか?」
少し戸惑う様子を隠すことができなかった。なぜなら、瑠璃は母親のメイク道具で特別な時ぐらいしか使用したことがなかった。
「何かありましたらお声かけお願いします」
ニッコリと一つ微笑むと女性店員はどこかへ行ってしまった。
瑠璃は迷ったふりをしてアイシャドウを眺めるが当然、どれを選んでいいのか分からない。気が付けば、10分、15分と時間は経っていく。

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