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伊藤大介さんの新たなたたかい 4


宅地建物取引業法の規定による宅地建物取引業の欠格事由のおさらい

 神奈川県平塚市で宅地建物取引業を営む株式会社e-ハウスの代表取締役であった(傷害被疑事件時点)伊藤大介さんの傷害、暴行被疑事件の公判について、横浜地方裁判所第4刑事部は現時点においても公判期日を指定していません。
 伊藤大介さんの傷害、暴行被疑事件の公判でどうしても注目してしまう点は、宅地建物取引業法に定められた宅地建物取引業の免許の欠格事由でしょう。ここでも何度か触れていますが、伊藤大介さんが被告人として臨む公判に関連する部分について改めて確認します。
 次の者は、個人として宅地建物取引業の免許の欠格事由に該当します。

1 禁錮刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者

2 刑法の傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合及び結集罪、脅迫罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくたってから5年を経過しない者

 この欠格事由は、法人として宅地建物取引業を営もうとする会社などの役員、法令で定められた使用人にも適用されます。つまり、宅地建物取引業を営む法人の役員や法令で定められた使用人である支店長などが欠格事由に該当することになった場合、その法人の宅地建物取引業の免許は効力を失うことになり、その法人は宅地建物取引業を営むことができません。ただし、法人の役員であっても、監査役は業務を執行するわけではありませんから法人の欠格事由に該当する役員には含まれません。
 なお、かつてのnoteの記事で執行猶予が付された罰金刑以上の有罪判決を宣告されて確定した場合の欠格事由について、執行猶予期間満了後から5年と書いたものがありましたが、執行猶予期間の満了によって刑の宣告の効力が失われますから執行猶予期間満了によって欠格事由に該当しないことになります。

傷害被疑事件発生までの株式会社ハウスポートの商業登記簿

 株式会社ハウスポートは、平成17年4月1日に有限会社ハウスポートを組織変更して設立された株式会社ですが、監査役を置く株式会社でもあります。株式会社は、トヨタ自動車株式会社のような大企業から個人営業に近い企業まで様々な会社が含まれますが、株式会社ハウスポートは取締役だけを置く組織としては最もシンプルな会社ではないことがわかります。
 役員構成を見てみましょう。

取締役 伊藤大介
平成28年5月23日重任
令和2年8月31日辞任

取締役 T女
平成28年5月23日重任
令和2年8月31日辞任

取締役 R男
平成29年4月1日就任
令和2年11月30日辞任

取締役 伊藤大介
令和2年12月1日就任

代表取締役 伊藤大介
平成28年5月23日重任
平成30年4月1日辞任

代表取締役 R男
平成30年4月1日就任
令和2年11月30日辞任

代表取締役 伊藤大介
令和2年12月1日就任

監査役 C女
平成28年5月23日重任

 株式会社ハウスポートの取締役であったT女と監査役のC女は、ひょっとしたら伊藤大介さんの親族であるかもしれません。何度も指摘してきたことですが、宅地建物取引業法の免許について役員に関する欠格事由があるにもかかわらず、公判でひょっとしたら傷害罪、暴行罪で罰金刑以上の刑を受けて法人としての株式会社ハウスポートが欠格事由に該当する原因となるおそれのある伊藤大介さんが、取締役に留まらず代表取締役に就任したことは大きな疑問でした。
 商業登記簿の動きから、おそらく前身の有限会社ハウスポートの設立当初から経営に携わってきたと思われる伊藤大介さんは、平成30年4月1日に代表取締役から退いてR男さんに経営を委ね、その約2年後の令和2年8月31日には親族であると思われるT女さんとともに取締役も辞任して株式会社ハウスポートの経営から距離を置く決断をしたものと考えられます。素直に登記簿を読めば、伊藤大介さんはR男さんを会社の後継者と認め、役員に創業者一族が名を連ねる会社形態を改める決断をしたものと考えることができます。ただ、創業者である伊藤大介さんのメガネにかなったR男さんが二年強という短い期間で代表取締役だけでなく取締役まで辞任することになったのは何か想定していなかったことが発生したことが理由なのかもしれません。特にR男さんは代表取締役在任中の令和元年5月28日に引っ越しをしていますが、新居は一戸建ての建物が建築されていると思われる住所でひょっとしたらローンを組んで新築したのかもしれませんから尚更です。

傷害被疑事件までの株式会社e-ハウスの商業登記簿

 株式会社e-ハウスは、次に掲げるものを会社の目的としています。

1 建築工事業
2 宅地建物取引業法にもとづく宅地建物取引業
3 前各号に附帯する一切の事業

 比較対象として株式会社ハウスポートの目的を示します。

1 宅地建物取引業法にもとづく宅地建物取引業
2 土木・建築工事の設計、施工、監理
3 損害保険代理業
4 前回各号に付帯する一切の事業

 株式会社e-ハウスは、おそらく建築士の資格を持つ従業員が在籍しているであろう株式会社ハウスポートの設計に基づいた建築工事を主に行い、株式会社ハウスポートがその施工監理を行うというハウスポートグループ内の棲み分けが見えてきます。
 その株式会社e-ハウスの役員構成は次のとおりでした。

取締役 伊藤大介
平成28年8月29日重任

取締役 T女
平成28年8月29日重任
平成30年3月31日辞任

取締役 R男
平成28年8月29日重任
平成30年3月31日辞任

代表取締役 伊藤大介
平成28年8月29日重任

代表取締役 T女
平成28年8月29日重任
平成30年3月31日辞任

 株式会社e-ハウスは、取締役のみを置く最もシンプルな会社形態の株式会社で、伊藤大介さんの親族であると思われるT女さんに加えて、後に株式会社ハウスポートの代表取締役となるR男さんを役員に加えていたものの、一貫して創業者である伊藤大介さんが代表取締役を務め、家族経営に近い会社運営がなされていたものと思われます。

傷害被疑事件後の動きは伊藤大介さんの自信のあらわれなのか

 伊藤大介さんの荒巻靖彦さんに対する傷害被疑事件が発生後、株式会社ハウスポートの代表取締役がR男さんから伊藤大介さんに交代したことについては、すでに触れてきました。宅地建物取引業の免許を受けた法人についての欠格事由を考えれば、傷害罪で有罪となるかもしれない伊藤大介さんが、すでに代表取締役である株式会社e-ハウスだけでなく、取締役からも退いていた株式会社ハウスポートにおいても新たに取締役、代表取締役に就任することは会社を守るという観点から見ると考えられないと私は指摘してきました。有罪判決が確定する直前で役員から退任するという手法では何かの間違いがあったときに宅地建物取引業の免許の効力が失われ、宅地建物取引業としては致命的なダメージを受けるおそれがあるからです。
 傷害被疑事件の公訴提起に対する株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスの動きはなく、静寂を保っています。この理由についてはいくつか想定することができます。
 一つには伊藤大介さんが被害者である荒巻靖彦さんと民事において示談による和解を進めているのではないかという想定です。ただ、この想定はあまり現実的ではありません。伊藤大介さんがこれまでの民事訴訟で訴訟代理人として委任したのは神原元弁護士で、伊藤大介さんのFacebookにおけるコメントなどの傾向からも傷害、暴行被疑事件の弁護人も神原元弁護士である可能性が非常に高いと思われますが、この神原元弁護士の所属する弁護士会内の派閥が自由法曹団であることが理由です。自由法曹団に所属する弁護士は法廷で白黒つけることを好む傾向が非常に強い反面和解交渉などを苦手としています。会社経営者として会社に絡む民事訴訟などの経験もあるかもしれない伊藤大介さんが弁護士を選ぶ際の基本を知らないはずがありませんから、神原元弁護士を弁護人としているとすれば荒巻靖彦さんとの示談は考えていないと考えてよいと思います。
 そして、仮に示談が成立したとしてもそれは公判で無罪判決が宣告されることにはつながらず、刑が減刑される程度や実刑となるケースで執行猶予が付される程度にとどまると思われることが、示談を進めているのではないかという想定を否定する理由となります。示談によって執行猶予が付されたり、懲役刑となる可能性があったケースで示談により罰金刑となったとしても、傷害罪や暴行罪によって有罪判決が確定するという結果であったとするならば、伊藤大介さんが取締役などのままであれば法人の宅地建物取引業の免許が失われるという結果に何ら変わりがないからです。
 したがって、株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスの商業登記簿に動きがないことは、公判において無罪判決が宣告されるはずと考えている伊藤大介さんの自信のあらわれと考えるべきなのかもしれません。それは、荒巻靖彦さんが先に暴力を振るってきたために適正な範囲で防衛したとする正当防衛の主張に基づくものかもしれませんし、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律を根拠として刑法第35条に基づき正当行為を主張するのかもしれません。もちろん、荒巻靖彦さんに対する傷害や横浜地方裁判所管内で発生したとされる暴行についてその事実がなかったと主張するのかもしれませんが、特に荒巻靖彦さんとの傷害があったとする現場は多くの防犯カメラが設置してあり、警察を通じて検察はその画像を入手していることが考えられますから検察の主張を崩すのは難しいと思います。現在に至っても公判期日が設定されていない理由の一つとして、公判で検察が提出しようとしている甲号証や乙号証の証拠に、弁護人が強硬に反対して裁判所がそのたびに提出の可否を判断しなければならないという展開となっているのかもしれません。

宅地建物取引業法の法人の欠格条項における役員の範囲の問題

 株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスの取締役と代表取締役に傷害、暴行被疑事件で被告人となっている伊藤大介さんに関して、無罪判決が宣告されるはずと確信している自信のあらわれではないかという考察とともに浮かんでくるのが伊藤大介さんのあきらめによるものではないかという考察です。
 宅地建物取引業法で定められた法人の欠格条項である一定の範囲の罪によって罰金刑を宣告され確定した役員と法令に定められた使用人、罪の範囲を問わず禁錮刑以上の刑を宣告され確定した役員と法令に定められた使用人の範囲が意外と広いことです。
 この役員等の範囲に監査役が含まれていないことはすでに触れてきましたが、相談役など役職を問わず実質的に法人に支配力を有する者についても役員等に含まれることになっています。伊藤大介さんについては、元々宅地建物取引業に携わって営業、設計、施工監理などで実績を積んで独立したのではないのではなく、他分野で得た資金を元に宅地建物取引業に参入したと伊藤大介さんを知る方からお聞きしています。したがって、株式会社ハウスポートと株式会社ハウスポーの1000万円、株式会社e-ハウスの1000万円という資本金をはじめとする設立当初の資金などは伊藤大介さんが支出し、株式のすべてが伊藤大介さんか伊藤大介さんの資金を元に株主となった親族の名義となっていることは容易に想定することができます。このような想定が当たっているとすれば、仮に伊藤大介さんが代表取締役、取締役という役職を辞任したとしても、宅地建物取引業法で定める役員等の範囲から外れるかどうかは微妙だと思います。仮に伊藤大介さんが弁護士と相談して法人の宅地建物取引業の欠格事由となる役員等の範囲から外れることは困難だという回答を得ていたとすれば、あきらめであると考えることもできると思うのです。