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ワイヤーフレーム制作で見つけた大切な視点

こんにちは、KOELの池田です。

今回は、ICT Business Mallという法人向けECサイト (以下ビズモール) の商品ページのUI改善を支援したプロジェクトについてご紹介したいと思います。サイトと商品の簡易ペルソナ策定ワークショップ、ユーザビリティテスト、専門家評価、その結果を踏まえた改善策の提案を実施したプロジェクトです。

今回はこのプロジェクトの中で気づいた「ワイヤーフレーム制作に足りていなかったパーツは何か?」をメインにお話します。

ビズモールって何?

NTTコミュニケーションズでは、クラウドサービスやネットワークサービスなどの法人向けICTサービスを、前述のビズモールでも販売しています。法人向けのサービスは従来、弊社の営業を通して購入いただくケースがメインだったのですが、このビズモールがあることで、どなたでもネット上から簡単に購入できるようになっています。昨今のリモートワーク普及に伴い、ありがたいことにお客様の数も右肩上がりで増えている状態で、ベンチャー企業から大企業まで幅広いお客様にご利用いただいています。

2020年10月頃、そんな需要の高まるビズモールの担当チームから、「UIのリデザインを支援してほしい」というお声がKOELにかかりました。サイト担当の皆さんは、以下のようなお悩みをお持ちでした。

  • 担当者の感覚的な判断に基づいてサイト更新が行われることがある

  • ユーザビリティテストなどをやってみたいが、効果的な方法を知りたい

  • 情報通信サービスの法人向けECサイトは少なく、何を指針に改善をしていけばいいのかわかりにくい

そこでKOELは、「商品ページのUI改善によるCVRの向上」を主目的、「支援後も担当者の皆さんがユーザー視点に立ったサイト制作を実践出来るようになる」を副目的として支援を開始しました。

今回は売れ筋商品のページを重点的に支援し、支援後に他の商品ページに考え方や構成を適用していただくことになりました。

ビズモールの売れ筋は「ビジネスナンバーセット」という、社員の私用携帯に会社用の050番号と、クラウド電話帳を入れられるサービス。簡単にご説明すると、ご自身のスマホで仕事用の電話番号&電話帳が使えるようになるイメージです。

ユーザーインタビューでの気づき

まずビジネスナンバーセットのサイトについて、サイト担当の皆さんとワークショップを通して簡易ペルソナを策定し、外部の被験者さんを募ってユーザビリティテストを実施しました。

ユーザビリティテストと併せて実施したユーザーインタビューの中で、特に印象的だったことがあります。それは企業のサービス導入者のみなさんは、「そのサービスを使うことで得られる社員のメリット」を私たちが考えていた以上に具体的に知りたがっているということでした。企業のサービス導入者にとって、サービスは買って終わりではありません。使うメリットと使い方を社員に説明し、サービスをスムーズに活用してもらわなければなりません。

確かに、従来のビジネスナンバーセットの訴求ポイントは
「050番号付与による公私分計で通話コストを大幅削減」
「安価なモバイル通話機能に社内外の連絡先一元管理機能がついて月額料金もお安く」

というもので、完全にサービス導入者の方へ向けたメッセージでした。

一方で、私たちの扱う法人向けサービスは多くの場合、サービス導入者とユーザーが異なります。故に提案資料やサイトは、どうしてもサービス導入者の視点に立ったメリットをアピールをしてしまいがちです。それが悪いのではなく、それだけでは足りないのだということに、今回のインタビューで気づかされました。

そんな気づきがありつつ、並行して実施していたKOEL側によるサイトのヒューリスティック評価も終了し、分析結果が出揃いました!ふぅ。

ワイヤーフレームが書けない

ここから改善に必要な情報をベースに、理想的なワイヤーフレームをKOELメンバー2名で制作します。しかし、メリットを訴求するメッセージングを考える段階で行き詰まってしまいました。

それは、実際のユーザーにとっての「会社用電話番号と電話帳がセットで使える」メリットが言語化されていなかったからでした。改めて、そもそもなぜセットでなきゃいけないんだろう?自分たちのスマホに社用通話がかかってくるとしたら…どうだろう?という視点に立ち返って議論を深めていく中で、私たちは一つの答えに至りました。

「仕事用の電話帳を分けることで、仕事とプライベートの電話を完全に分離できることこそが、ユーザーにとってのメリットなのでは?」と。

会社用と個人用2つのスマホを持つよりも、1つのスマホに集約した方が楽なのは明らかですが、会社用の電話が自分の領域に踏み込んでくるような心理的な不安を感じてしまうことがあるのではないでしょうか。仕事用の電話帳と電話アプリが分かれていることで安心してユーザーは受け入れることができます。

ユーザーにとってのメリットが明確になり、その後のワイヤーフレーム作りがスムーズに進行しました。

サイトに反映、その結果は…

元々機能説明がメインで長かった文章もKOELにて簡潔に書き換え、よりお客様にサービスのメリットが伝わりやすいように調整しました。サイト担当の皆さんにお見せしたところ好評で、採用されたワイヤーフレームがサイトに反映されることになりました。

結果としては、サイト更改前(2021年4-5月)と、更改後(2021年5-6月)を比較したところ、5-6月のCVRは2倍に増加していました。サイト担当の皆さんにも、ユーザー視点やデザインに興味をお持ちいただき、本プロジェクト終了後にKOELにて別途実施しているデザイン研修に進んで参加してくださっていおります。

ユーザビリティテスト、専門家評価、からワイヤーフレームの納品までやり遂げたKOEL初のプロジェクトとなりました。サービスを売るために導入者の方のメリットを書き連ねるだけでなく、実際に使うユーザーがどう嬉しいのか示さないと「導入のイメージが出来ない→買おうと思えない」という点は大きな気づきでした。ワイヤーフレームのメッセージングも、その気付きに導かれた結果生まれたものです。これからもこのポイントは今後も社内にリマインドしていきたいなと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしております。

KOEL note



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