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KOELを伝えるブランドムービーができるまで

KOEL 福岡です。もしかすると10月23〜24日に開催されたDesignship 2021に参加された方は、この30秒の映像が流れたのにお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれません。

この映像はDesignship 2021に向けて皆さんにKOELをご紹介するために特別に作成したものです。もしかすると大企業の中の一部署のデザインスタジオの紹介映像を作る、ということ自体が珍しいかもしれません。今回はこの映像が生まれた経緯と制作ストーリーを通じて「組織を伝えるための映像を作成するステップ」をお伝えしたいと思います。

“一石三鳥” を目指した動画制作

現状、デザイン業界の中でもKOELの認知はまだまだ高いとは言えません。KOELの「大企業の中に生まれたデザイン組織」という “認知” だけでなく、「KOELが社会的意義を持つような広範な領域で活動している」という “理解”、そして「KOELが実現しようとしているビジョン」への "共感" を高めるために、私を含めたKOELのPRチームは活動しています。今皆さんに読んでいただいているこのKOEL公式noteもその施策の一つです。

そんな中、日本最大級のデザインカンファレンス「Designship 2021」が開催が決定しました。深澤直人さんをはじめとした豪華なキーノート&スピーカー陣、有力な参加企業多数…という注目度の高いイベントにKOELはスポンサーとして参加することになりました。スポンサー特典は「イベント中でのCMなどの動画の上映」です。私たちKOELのデザイン組織としての認知、そして私たちが実現したい世界に対する理解を得る、まさに最良の機会——しかし当たり前ですがこの機会を活かすためにはまず「上映する動画」を作らなければなりません。

動画の制作には大きなリソースが必要です。費用、制作時間、動画の制作と確認に携わる人手、動画に対する知識、何より忘れてならないのは制作パートナーのリソースなどなど…。だからこそ、この貴重なリソースを無駄にしないためにも「イベントで上映するため」だけではない複数の目的を同時に達成するための設計が必要です。

私たちに不足しているのは、メッセージを伝えるコンテンツ、コンテンツを作るためのマテリアル(グラフィックなどの材料)、そして私たちのデザインのクオリティを自信を持って内外に説明するための「旗」のような存在です。今回動画を作ることがこの3つを同時に解決する、まさに “一石三鳥” の一手です。

今回はコロナ禍での制作ということもあり、早い段階で実写映像ではなく全編モーショングラフィックスでの表現にすることしました。今回はLyric SpeakerやNTTドコモ ahamoのTVCMなど、モーションデザインで高いクオリティを実現していらっしゃるデザインスタジオ ALLd.(オールド)さんに映像制作を依頼しました。

素晴らしいパートナーと共に、KOELにとって新しいチャレンジが始まりました。

「良い動画」とは何か

CMだけでなくYouTubeやTikTokなど企業が映像を制作し発信するケースがこの10年で大きく増えています。しかし施策の一部である以上ただ動画があればいいというわけではなく、「効果的な動画」作りが必要不可欠です。動画の目的にもよりますが、動画に求める効果をいくつか挙げると…

・視聴者のアテンション(注意)獲得
・視聴者の動画メッセージ理解
・視聴者の認識/態度変容
・視聴者の行動促進

…などなど。これらを期待できる動画を、一定の制約の中で作らなければなりません。少なくとも私にとって「良い動画」というのはお金や手間がかかった豪華な作品ではなく、「視聴者にメッセージが伝わることで、事業に変化をもたらす」ものでなければならないと思っています。

今回のプロジェクトでは全体の統括を八木さん、各種マネジメントや調整役に荒砂さん、映像のクオリティ管理に福岡が参加する形で始まりました。この3人で今回の動画が「良い動画」になるためのグランドデザインを整えていきました。

KOELの想いが動画になるまで

とはいえ企画開始から公開まで約2ヵ月しかありません。動画完成までの制作プロセスはこのようになっています。

まず映像の要件を決定します。これでこの企画の成否が決まると言っても過言ではありません。

・映像を制作する目的
・映像によって得たい成果
・映像のターゲット
・映像が伝達するメッセージ
・映像が守らなければならないルール、トーン&マナー

これらを ”映像を作る前に” すべて決定し、チーム内で合意を形成をしなければなりません。映像制作というのは基本的に後戻りができません。映像が完成したあとで「ごめんなさいあれはやっぱりナシで!😊」は通用しません。上記の項目に加え、大まかなストーリーラインは私の方でまとめ、その上で “KOELを正しく伝えるために“ KOEL内の関係者を巻き込みながら内容を整えていきました。

特に今回の映像は「KOELの自己紹介」。関係者の “KOEL観” をすり合わせる必要があります。PRチームの方で「KOELってこういうパーソナリティだよね」「KOELはこういうことを今伝えるべきだよね」という材料を用意した上で皆さんに打ち返していただきながら固めていきました。特に今回の動画のコンセプトである

・KOELのデザイン領域:リサーチ領域から戦略設計からデザインを行うこと
・KOELのチャレンジ領域:NTTコミュニケーションズが推進するSmart World実現にコミットできる社会的意義

この2つが重要なメッセージでした。

KOELの扱うデザインが表層的なものだけでないリサーチから上流まで扱っていること、そして通信だけでなく医療や教育、働き方や都市計画などの社会に寄り添う領域でデザインを行っていくこと、この2つをお伝えすることがこの動画の骨子にすることが決まりました。

ここから制作パートナーをALLd.さんに決定し、オリエンを行い、制作に入っていただきました。

ここから先はALLd.さんのターン!ですが、まず動画の流れとグラフィックの内容を決めるストーリーボード制作の段階から「さすが!」というクオリティの連続。むしろALLd.さん側から方向性のご提案をいただいたり、こちらの要望を取り入れてまとめ直していただいたり、スムーズに制作は進んでいきました。本映像の制作と並行して楽曲制作、そして今回KOELからのメッセージを伝えていただくナレーターの選定と音声の収録を経て、動画は完成、10月23日、Designship 2021にて無事初公開されました!

制作スタッフからの視点で振り返る動画制作

ここからは制作中に印象的だった出来事など、今回の動画に携わったスタッフの視点で動画制作を振り返りたいと思います。

(KOEL 福岡)

私は普段は動画やWebサイトのようなクリエイティブを作る側でもありますので、今回はALLd.さんの素晴らしいクリエイティブを間近で見られる機会をいただけたのは非常に嬉しい体験でした。さらに小林花絵さんによるナレーションによってこの動画に声が与えられた時、「KOELを人と見立てるならこういう人なんだ」という実感、そして私たちが動画に与えたかった意味が形になった感動がありました。制作に関わってくださった皆様、本当にありがとうございました!

この動画が完成したことが終わりではなく、この動画で描かれている世界をもっともっと皆さんに届けることこそKOELの役割ですから、多くの人に「KOELと一緒に何かがしたい!」と思っていただけるように、社会にデザインを届けていく仕事を続けていきます。

(KOEL 荒砂)

ALLd.の皆さまに仕上げていただいた、美しく迫力のある映像はぜひ一度見ていただくとして…。私がこのプロジェクトで学んだのは「自分たち自身を知ること・見つめることの大切さ」だと感じています。

今回は一つの動画を作ると言うプロジェクトではありましたが、関わったメンバー一人ひとりが現時点でのKOELの姿、そしてこの先の姿を改めて問い直すきかっけになったように思います。KOELはまだまだ自分たちのブランドをどのように築いていくのか模索している最中なのですが、動画制作を通じて私たち自身を見つめなおしたこと、描きたいストーリーは何なのか?を考えた経験は、今後KOELのブランドを築いていく上でも大切な通過点だったように思います。

今後もこの動画から、KOELに興味関心を持っていただける方が増えるよう、アピールしていきたいと思います。

(KOEL 八木)

映像を制作していく中で、ALLd.の荻野さんと深瀬さん、弊社3名によって「KOELらしさ」、組織を人に見立てたときのアイデンティティ、内観が引き出されたと感じました。それが当初合意したキーワード、NTTらしい誠実さと安心感(Integrity)、KOELの変革する意思(Inovative)に加え、お客様が「この組織なら自分たちの可能性を引き出してくれる」という希望感(Possibility)でした。

また、出来上がった映像のために、作曲家の荒内さんと音楽プロデューサーの小早川さんとで制作された初期2案の楽曲は、3つのキーワードのうち最後の希望感が足りないように感じました。どちらかの曲で行くかで議論になり、進行管理の私が「スケジュールよりもクオリティ重視で違う曲をお願いしたいと」言い出し、逆にクリエイティブ監修の福岡が、「クオリティよりもスケジュール」を意識した発言をするなど、職種を逆転した議論が起こったのも面白いポイントでした。これに一歩引いた視点での荒砂の意見を加え、役割をうまく交換しながらサポートしあえた仕事は、とても楽しい体験でした。

結果は、意図を察した荻野さん&小早川さんが新曲を作成されていて、翌日フィードバックを元に改良、次の2日間で譜面化と生楽器収録、さらに次の日にMixとナレーション録りという、超タイト期間でブラッシュアップが行われました。まさに作品が成長していく様を感じるプロジェクトでもありました。最終的には希望感のある「Rise」という楽曲と、小林さんによる「意志が込められたナレーション」により、美麗ながら少し無機質な映像に、魂が込められた素敵な作品に仕上げていただきました。


さらに今回のnoteではALLd.さんにもコメントをいただきました!

(ALLd.)

デザインの力で企業や社会と共創しているKOELさんの組織としてのブランドイメージを映像というアウトプットで伝えるにあたり、デザインの力で社会へアプローチしようとしている、その発想やアイデア=クリエイティブ性の強みをいかに演出するか、映像、音楽ともに固定概念に捉われない表現をすることが我々の大きなチャレンジでした。

KOELさん全体の思考の原理となる“意思”を言語化し、映像自体が「ステートメント」としての機能を果たす、そんなメッセージ性のある企画をまずは提案し、承認いただいたことで、制作メンバーが高いモチベーションでプロジェクトをスタートできました。

抽象的かつシンプルでアイコニックなビジュアルの開発、感覚・感性に訴えるモーションデザイン、そして普遍性のあるサウンドと知的で芯があるナレーション。
全てのカテゴリーでブレることなく描いた世界観を構築できたと思います。

今回KOELさんと多くのディスカッションを重ね、最後まで少人数で世界観を保ちながらコンセプトを実現できたことが何より貴重な機会に、そしてブランドムービーとして質の高い映像作品となったような気がします。

映像と、KOELのこれから

今回映像という形でKOELの仕事を伝えることができましたが、まだまだこれはお伝えしたいことの一部です。例えば、NTTコミュニケーションズは未来の新たなコンセプト創り、社会実装を目指す事業共創の場「OPEN HUB for Smart World」をスタートし、着実にSmart Worldの実現に向けて動き始めています。

KOELもさまざまな企業のお客様とデザインの力で共創する場が増えています。今回の動画をきっかけにKOELとNTTコミュニケーションズに興味を持っていただけると嬉しいです。


NTTコミュニケーションズのデザイン組織 KOELでは、通信会社だからこそできる、新たなコミュニケーション、社会インフラを一緒にデザインしてくれる仲間を募集しています。詳しくは、こちらをご覧ください。


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