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"40.89度しか測れない分度器" を作った理由

こんにちは、KOELの細谷です。KOELのValue(信条・行動指針)のひとつに「創る」があります。自ら手を動かしてモノやサービスを創る大切さは大企業のインハウスデザイン組織であっても変わりません。今回はKOELのノベルティグッズ制作の様子を紹介し、KOELのものづくりへの考え方をお伝えします。

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離れていても繋がりを感じる仕掛けが欲しい!

2020年4月に立ち上がったKOELは当時と比べて2倍以上のメンバーが在籍しています。次々と新しい仲間がジョインする中、リモートワークを軸とした働き方でもチームとして一体感を持つために様々な施策を実施しています。

今回のノベルティグッズ制作も、離れていても繋がりを感じられる施策として計画されました。これからジョインする新メンバーにグッズを渡す機会が、いち早く関係性を築くきっかけになったら最高ですよね——
——というのが表の目的で、「とにかく手を動かすきっかけが欲しかった」というのが本音です。

参加するプロジェクトやタイミングによってはデザインワークの機会に恵まれないこともあり「ないなら作ろうや!」とプロジェクトを立ち上げました。だってイラレ触りたくない?ペンツール持ちたくない?

素早く、みんなで、KOELらしいものを作る

素早く作る
こういった社内プロジェクトこそ、ダラダラ進行してしまいがち。きっちり作るため、期限を1ヶ月に定めてプロジェクトを計画しました。1ヶ月で予算策定から納品までを完了するには、自らが作りながら考え、試し、また作り直す基本的なデザインのサイクルを素早く回すことが重要になります。

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みんなで作る
限られた時間で納得のいくクオリティに到達するためにはチームワークが必要不可欠です。今回はチームの繋がりを作ることも目的の一つなので、どんなグッズを作るかチーム全員でアイデア出しするところから始まりました。

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実際各グッズごとに責任者は置かれていましたが、わからない点や手が回らないところはデザインリサーチャーからビジネスデザイナーまで手を動かし、一年目からマネージャーまで全員がボールを拾いながらの進行となりました。

KOELらしいものを作る
ものを作る以上、使ってもらえないと意味がありません。安っぽくならないように素材からこだわり、使って心地いいものを作りたい。奇抜ではなく普段使いできるデザイン、それでいてKOELらしい統一感のあるデザインを目指して制作を進めました。

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KOELのロゴの切り込みは40.89°に設定されています。これは人が物を投げる時に最も遠くへ飛ばせると言われている角度に由来しています。デザインという手段の投げ手として、時には自ら飛び込むボールとして、より遠くへたどり着きたいという想いを表現したこの角度をデザインの中心に据えました。

マグカップ

リモートワーク中に使われることを想定し、保温性に優れた陶器をチョイス。形もスタイリッシュなものではなく安定性のあるストレートタイプ。指がしっかり回り込んで握れる大きい形の取っ手を採用しました。

シンプルなデザインであるからこそ、質の良さにもこだわりました。美濃焼で知られる岐阜県土佐市に生産拠点を置き、原料の土や釉薬をはじめ、材料を一から自社で揃えているメーカーさんにお願いして制作されたこのマグカップ。一見すると”よくあるタイプ”のマグカップですが、実際に手に取ると上品な質感が際立ちます。

ところでデザインで一番大変だったのは、マグカップの側面に描かれた40.89°の放物線でした。というのも、メーカーさんには印刷用の展開図を渡す必要があり、数学から逃げ続けてきた僕には「どのように展開図を描けばカップを横から見たときに40.89°が実現できるのか」がわからず、つまずいてしまったのです。

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しかしそこは様々なタレントの集まるクリエイティブ集団・KOEL。「誰か助けてくり〜〜〜」とslackで声をあげたら計算の得意な人たちが集結して計算を始めました。最終的には数学の教師をされていたメンバーのお祖父様まで巻き込み、無事に展開図に落とし込めました。

マグカップ裏面

ちょっとした遊び心として、裏印にKOELのロゴを。これは打ち合わせの時に使うと画面越しにKOELロゴが見える仕掛けになっています。

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今回製作したグッズの中で異彩を放つのが分度器です。この分度器は40.89°の角度しか測れません。あえて目盛りもつけず実用性を無視したこのグッズは、デザインリサーチャーやUXデザイナーのメンバーからのアイデアから生まれました。

NTTと聞くと硬派な印象を受ける人も多いと思います。インフラを支える以上、確かに厳格さが必要な場面もありますが、人の心をつかむビジネスを生むには同時に”遊び”も必要です。NTTでも肩の力を抜いて遊び心を持ってほしいことを伝えるために、この遊び心たっぷり(というか遊び心しかない)グッズを作りました。仕事で行き詰まったときはぜひこの分度器を見て一息ついてもらいたいです。

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他にも何でも描ける無地のノートや青鉛筆、定番のステッカーなども用意しました。それらを紙箱(これも大正時代から続く印刷会社さんに作ってもらった特注品!)に詰め、最後にKOELのロゴテープを貼ったら完成です!

KOELにはもの作りが好きな人が集まっている

4月からジョインしたメンバーと既存メンバーに配布され、打ち合わせで見る機会が増えました。

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このプロジェクトを通じて、KOELにはものを作るのが好きな人が集まっていることを実感しました。アイデア出しから実際のデザインワーク、メーカーさんの選定に至るまで大勢のメンバーが有志で集い、わちゃわちゃと物が作られていく姿はまさにクリエイティブ集団でした。個人的には、KOELのHead of Experience Designの田中さんまでもが自ら用紙の選定を(頼んでないのに)ノリノリで始めたのが一番面白かったです。

大企業のインハウスデザインだと上流工程のデザインばかりで、実際に手を動す機会やマインドがあるのか気になっている人もいるかと思いますが、KOELにはデザインワークが大好きな人たちが大勢います。

今回紹介したのは小さいプロジェクトでしたが、この活動を通して私たちがどのようなスタンスで手を動かしているのかをお伝えできれば幸いです。

KOEL note

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NTTコミュニケーションズのデザイン組織 KOELでは、通信会社だからこそできる、新たなコミュニケーション、社会インフラを一緒にデザインしてくれる仲間を募集しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

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