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元制作会社のデザイナーが事業会社でも活躍できる3つの理由

こんにちは。KOELのUIデザイナーの荒砂です。突然ですが、KOELは2021年4月6日(火)にWebサイトをリニューアルしました。新しいサイトはこちらからご確認いただけます。
KOEL Design Studio by NTT Communications

2020年のKOEL発足から1年が経過し、メンバーも倍以上に増え、組織作りも急速に進みました。しかしこの変化をWebサイトで伝えられていないことが課題となっていました。刷新は急務となり、1月にリニューアルプロジェクトが発足。約2ヵ月という短期間で新Webサイトは生まれました。

今回のWebサイト、ビジュアルを一新するような「フルモデルチェンジ」ではなく、以前からの印象は活かしつつ、現状のKOELを漏れなく見える化した「マイナーチェンジ」に近いものになっています。支援領域、事例、メディア情報が集約され、KOELの情報発信の起点としての役割が強化されました。

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その上でKOELのロゴにもある斜め40.89°(人が物を投げる時に最も遠くへ飛ばせる角度)を、初期表示のアニメーションやメインビジュアルに反映しました。KOEL発足2年目を迎え、新たに距離や常識を超えていく我々の意思を強く打ち出した形に仕上がりました。

また、2020年4月のKOEL発足時、メンバーの人数は13名でしたが、1年間の間に30名にまで増えました。以前のWebサイトには発足時のメンバーしか掲載されていませんでしたが、今回のWebサイトリニューアルを機に、改めて全員のプロフィール写真を撮影し、掲載しました。

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撮影担当いただいたのはForbes JAPANの表紙撮影といったご経験もお持ちの宇佐美雅浩さん。撮影当日も自然なディレクションで、メンバーの自然な表情を引き出してくださいました。私も久々の撮影現場で宇佐美さんのお仕事を拝見し、とても学びになりました。

前置きが長くなりましたが、実は今回のWebサイト、内製ではなく制作パートナーと協力しあって作りました。KOELはインハウスのデザインスタジオ。社内で素早く動けるデザインチームとして制作物は内製化を進めていますが、外部パートナーとタッグを組むことで更に高い成果が出るなら、協力を依頼することもあります。

私はもともと制作会社で約18年間、受託のスタイルで広告やWebサイト制作に関わってきたのですが、今回のWebサイトは制作を「依頼する立場」としてプロジェクトに関わっています。この立場の逆転は、長いデザイナー人生の中でも私とっては特に大きな変化でした。

受託一筋だった自分が事業会社で通用するのか?という不安。同じケースで転職する人なら確実に悩むのではないでしょうか。私はこの問題に対して、しっかりと受託制作会社で経験を積み上げてきた人であれば、働く組織が事業会社に変わっても力強く活躍できる、と考えています。

今回は、KOELのWebサイトリニューアルのような制作パートナーとの協業案件や、社内の他部署から依頼を受ける、私自信が手を動かして制作する案件、それらの経験を含めて理由をご説明したいと思います。


1. 制作パートナーを選ぶ「目利き力」で案件に適切な企業を選べる

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このプロジェクト以外にも、私はこの半年の間にパートナー企業に制作を依頼する案件を幾つか経験しました。しかし既に進行中のプロジェクトによっては、案件の特性と既に契約していた制作パートナーの強みがマッチしておらず、デザインの品質が上がりにくいこともしばしばありました。

例えばリード獲得が大きな目的となるWebサイト。マーケティングやSEOをはじめとした、ビジネス上でWebサイトをどう活用するのか?を理解した制作パートナーに依頼する必要があります。この知見が薄い企業に効果のある提案を期待しても、納得できるアウトプットを得ることはできません。

他にも広告系のコンテンツ制作に強みを持つ制作パートナーに使いやすいプロダクト制作を依頼するのも同じです。こうしたミスマッチはNTTコミュニケーションズに限らず、多くの企業の方とお話する中でもよく耳にします。適切なパートナーを選ぶことは品質を上げるための最初の一歩なのです。

その点、私は制作会社時代にいろんなデザイン会社の特性をよく調べていました。更に言えば会社単位ではなく「この会社の〇〇さんは〇〇に強い」といった個人単位の特性まで見ていました。こうしたリサーチ、受託制作会社のデザイナーなら自然とやっている人は多いのではないでしょうか。

デザイナーによるデザイン会社の「目利き力」は、頻繁に制作パートナーに制作を依頼する企業の中ではとても重宝されます。もちろん、実際に協業した経験は無いので具体的な仕事の進め方までは掴めないものの「この会社ならあのくらいの品質は保証されるだろう」という予測は付きます。

今回のKOELのWebサイトは、特にKOELを次の就業先の企業として見てくださる採用希望者の方を対象に、Webサイトを一目見て「良さそうだな」と感じてもらえるものを作る必要がありました。そんな課題が芽生えた時点で私の頭の中には幾つかのデザイン会社が浮かんでいました。

短い期間、無理を承知で数社にお声がけしたところ、その内の何社かは快諾のお返事をいただきました。結果的に1社に絞られましたが、こうしたお声がけも次なる案件相談への布石に繋がります。立場は変われど、今後も尊敬できる制作会社の方々との繋がりは増やしたいと、私は考えています。


2. 制作ステップを知っているので制作パートナーの進行をサポートできる

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良い成果物を作るためには、力のある制作パートナーに依頼するだけで良いのでしょうか。答えはNoです。いくら優秀な会社やデザイナーに依頼したとしても、依頼する側の体制が体制が整っていなければ、最終的に良きアウトプットには繋がりません。

例えば今回のようなWebサイト制作は、基本的な情報設計は制作パートナーから提案していただけます。しかし、原稿や画像素材の準備、社内のWebサイト制作におけるレギュレーションへの準拠を伝えるのは、依頼した側の担当領域。この辺りがモタつくと品質低下に繋がります。

また今制作のどの工程で、この後どんな作業が待っているのかをイメージできていないと、常に行き当たりばったりな状態が続きます。こうした対応が重なることで意思決定が遅れ、最終的には公開スケジュールを圧迫することになります。

もちろん依頼する側は制作のプロではないので、こうした不慣れな部分を制作パートナー側がサポートしなければならないのが現実ではあります。しかし上記で述べた働きが自然とできれば、制作物の品質向上、オンスケジュールでの進行が実現しやすくなる、とも言えます。

私が制作会社に勤めている時代、こんな対応をしてくださる依頼者の方とは、自然と仕事がうまくいくことが多くありました。

・五月雨で連絡せず一括で必要となる情報を提供してくれる
・提供資料が制作者にとって参照しやすい状態で提供してくれる
・表層の細かな調整は制作パートナーの力を信頼して任せてくれる
・意思決定の遅れ、連絡の遅れで制作を止めない
・制作会社を下に見ず「パートナー」として認めてくれる

今回私が制作パートナーとの間でのディレクション業務を担当しましたが、もちろんこれらすべて満点で対応できたとは言いません。しかしこうした姿勢が品質に影響することを「知っている」のは、元々制作の現場で経験を積み重ねた人だからこそのメリットと言えるのではないでしょうか。


3. 一流の制作パートナーの仕事からの学びを自分の仕事に活かせる

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2020年9月にKOELにジョインした以降、いろんな制作パートナーの方々からの「生の提案」を目にしてきました。以前は各種デザイン会社の会社としての特徴、その中で働くデザイナーの特徴は主にSNSから知ることはできましたが、具体的な提案内容まで見る機会は多くありませんでした。

しかし依頼する側の立場に立ってその状況は一変。NTTコミュニケーションズからは日々、多くの制作パートナーに様々なサービス、プロダクトの制作を依頼しています。KOELへの提案はもちろんのこと、他部署で依頼した制作パートナーからの提案物を見ることもできます。

そこでは、制作会社に所属している間には知ることができなかった、多くの気づき、学びがありました。

・あの会社、この期間でこれだけの制作物を作ってくれるのか
・この会社、制作物はもちろんのこと進行がしっかりしていて安心できるな
・あの会社、全然SNSなんかで見かけないけどめちゃくちゃ良い仕事するな
・この案件、こういう形で提案するのはとても良いな、自分も真似したいな

これまで業界内で人づてで知るしかなかった情報を、自分の中に一次情報として蓄積できるのはとても大きな学びです。さらにここでの学びは、KOELで自分が制作に携わる中で活かせます。このインプットとアウトプットのサイクルは、デザイナーとして依頼する側に携わるからこそできる経験です。

例えば、提案書のストーリー、デザインの提案、プロジェクトマネジメント、お見積り、どれも各社それぞれのスタイルがあります。凝り固まった自分の提案アプローチとは違った説得力のある提案を見た時は、依頼する側に回ったからこそ経験できることだと感じました。


最後に

以上3つの理由から、受託一筋だった自分が事業会社で通用するのか?という、転職前に持っていた不安は解消されました。私と同じように、制作会社から事業会社にキャリアチェンジを考えているデザイナーの方の検討材料として、少しでも参考になれば幸いです。

そして最後の最後に…

数ある会社の中から、今回KOELが制作パートナーとして選んだのは、この3月にMimicry DesignとDONGURIが合併したことで話題を呼んだ「MIMIGURI」さんでした。私が個人的に以前からDONGURIさんのお仕事に対して興味を持っていたこともあり、今回のお声がけに繋がりました。

FireShot Capture 014 - MIMIGURI - 分断された組織の知を、ひとつに編み直す。 - mimiguri.co.jp

MIMIGURI | 分断された組織の知を、ひとつに編み直す。

制作期間は短かったものの、積極的に今のKOELをどう見せるのか?といった部分もご提案いただきました。私自身もデザイナーとして、今回ご提案いただいた中で沢山の気づきを得られたので、今後の自分自身の制作に対して学びを活かしていきたいと感じました。

MIMIGURIさん以外でお声をかけさせていただいた制作パートナーの企業の方々とは、今回はいろんな都合でご縁がありませんでしたが、NTTコミュニケーションズの中には Smart World 実現のため、制作パートナーの方々と協業して解決したい課題が沢山あります。

私は今後もいろんな制作パートナーの方々とのパートナーシップを築いていきたいと思います。


KOEL note

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