キーワードは「わかる」
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東北支部が目指しているもの
先週はTEACCHプログラム研究会東北支部の研修会でした。「わかりやすい支援」をテーマに、ぼくが90分ほど話をさせていただき、後藤まほろ先生(認定NPO法人 みやぎ発達障害サポートネット)に具体的な実践を30分ほどお話いただきました。
TEACCHプログラム研究会東北支部を設立してから1年が経ちました。現在の会員数は100名弱です。総務省が2023年4月に発表した、2022年の人口推計(10月1日時点)によると、東北6県の人口は計842万6000人だそうです。
統計的には自閉症の有病率は人口の1~2%ですので、東北地方には8,426〜16,852人の自閉症の方がおられる計算です。そうした方々にとって、より良い生活上の支援を考えていくためには、どれだけの理解者が必要でしょうか。支援現場は一人で2〜3人をサポートするという人員配置になっていることが多いのですが、それで計算すると(一人で2.5人をサポートとした場合)、3,370人〜6,740人のよき理解者であり支援者がいれば東北の自閉症支援はきっともっともっとより良いものへと変わってくると思います。それは、自閉症の方々とそのご家族、また関係者の方々の豊かな生活という未来にもつながってくるものでしょう。
TEACCHプログラム研究会東北支部の会員数がそんな人数になったら、ものすごいことです。それは夢として、もっと少ない、現実的な範囲から考えていくと各県で30〜40人、つまり180名〜240名の方々とご一緒できればというのが今の目標です。さっきの計算で考えると、これだって450人〜600人の方の生活をより良いものになるよう考えていける可能性があるわけです。
ぼくが勝手に掲げている目標に賛同してくださる方々がいて、支えてくださる方々がいて、東北支部は成り立っています。そうした皆さんのために、ぼくができることといえば、こうして発信活動をしたり、研修会を開催したりというごくわずかなことです。
でも、今回の研修会には当日までに130名もの方にお申込みをいただきました。これは設立依頼もっとも多くのお申込です。そして、実はお申込がもっとも多かったのは非会員の方で、会員でなくてもこうして関心を寄せて頂いたことにとても感謝しています。
「わかりやすい支援ってなんだろう?ー構造化を参考にー」を終えて
後藤先生には、「自分を好きになる場所」「そのままの自分でも困らない場所」をキーワードに、日々のとても丁寧な支援の実践を共有していただきました。
「支援の原則はあるけれども、こうあるべきではなく、それぞれの子どもにあわせて柔軟に、そして個別に」というが、いかに大切なのかを、改めて感じさせて頂けた内容でした。
ぼくはというと、あんまり魅力的ではない地味だけど、大事だと思っている話をさせていただきました。ぼくがお伝えしたかったことは、「わかりやすい環境は大事だというけれども、そもそもどうしてなのか?」という考え方の部分です。冒頭の10分ほどの動画ですが、もっともお伝えしたかったことでもありますので、宜しければご視聴ください。
強度行動障害の状況にある方々を地域で支える
前回、今回とで自閉症特性とその対応の原則についての理解を深めてきました。でも、まだまだ現場では分かっていても対応が難しく、「強度行動障害」という言葉をよく見聞きするようになりました。
「強度行動障害」とは、ご本人の障害特性と環境とのミスマッチにより、生活上におけるご本人の困難が非常に強い状況のことを指しています。同時に、関わる周囲の方々にとっても、対応が困難と感じるかもしれません。そうした状況の中で、わたしたちには何ができるのでしょうか?
また、強度行動障害という言葉は重度知的障害の方々の文脈で用いられることが多いように思います。ですが、実際には知的障害が軽度あるいはない方々でも、当事者の苦しく、周囲も対応に苦慮されることは珍しくありません。そこで、今回はそれぞれの課題について医療との連携を含めて伊瀬陽子先生(福島県発達障害者支援センター)にご講演いただきます。
またせっかくですから地域の現状や課題なども共有できればと思いますので、講義は75分程度、残りの時間はブレイクアウトルームを活用してみなさんと意見交換できればと思っています。なお、後日配信は講義部分のみとなります。
ぜひ、一緒により良い支援の未来を考えませんか?
そうした仲間の方々を、我々は増やしていきたいと思っています。
TEACCHプログラム研究会東北支部
代表 佐々木康栄
2023東北支部活動
▼8月6日の研修会のお申込み▼
▼会員限定座談会▼
7月22日(土)8:45〜9:30には東北支部会員限定の座談会を予定していますので、会員の方でご都合つかれる方は是非ご参加ください。詳細はまた会員のメーリングリストで流したいと思いますが、過去の座談会の様子は下記よりご確認ください。
▼会員限定動画▼
これまで、会員の皆さんには限定のコラムや動画を配信してきました。どれも佐々木が担ってきたことではありますが、5月頃からはそれらに加えて、支部会員の中からゲストをお招きして対談動画を配信したいと思います。
東北支部には色々なお立場の方がおられます。だからこそ、できることもあります。第一弾は、調理師の先生をお招きし、すでに配信中です。第二弾は「発達障害と触法」をテーマに来月配信予定です。
▼その他▼
ここに記載した以外にも、東北支部ではさまざまな取り組みを今後もしていきます。会員の皆さんには、「今こんなことを考えています」というのもお届けしますのでお楽しみに。
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