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現場で、スケジュールがうまく活用できない時に考えること

この記事は1,612文字あります。個人差はありますが、3分〜4分でお読みいただけます。

現場でよくある疑問

今回は支援現場の中でよくあるご質問を一つ取り上げたいと思います。

  • スケジュールを活用して見通しを伝えるけれども、それを見てくれない。

  • 最初は頼りにしてくれるけれども徐々に見てくれなくなってくる。その結果、自分が目についたものにだけ反応して行動してしまうので対応に困ることがある。

こうしたご相談をよくお受けします。
でも、この時に大前提として考えた方が良いポイントとしては、スケジュールは、それさえあればあらゆる活動に納得して、取り組んでくれるようになるというような魔法の道具ではないということです。

中身の検討を

スケジュールをなんのために活用するかといえば、ご本人たちに見通しを伝えていくためです。

でも、見通しを伝えていくためには、当然ですが伝えるだけの中身も必要になってきます。中身の薄いスケジュールというのは、お弁当箱の中に、わずかなおかずしか入っていないようなもので、「お弁当箱まで用意したんだからいいよね」と言われても、モヤモヤするかもしれません。

つまり、スケジュールはあくまでフレームであり、その中身も大切であるということです。現場に置き換えるならば、その現場でご本人たちにとって魅力を感じて取り組める活動がそもそも少ない際には、伝える中身もないということです。あるいは、中身があったとしても、それに魅力がなければ頼りにしよう、活用しようとは思ってもらえないでしょう。

例えば、ぼくらも自分の所属している場所から手帳を配布してもらえるとします。その中には「予定を入れておいたよ」と言われ、週末の過ごし方が書かれているとします。しかも、ほとんどが自分にとって関心のない場所や活動が中心だっとします。そして、「予定を組んだからこれで週末は迷うことないね!」「この1年間は、この手帳の通り行動してくださいね」と言われて納得できるでしょうか?

ASDの方々にとって、特に大切なこと

ASDの場合は、モチベーションの持ち方が異なると言われています。そのため、その活動に対するモチベーションによって活動へ参加したい/したくない/そもそも関心がない等がはっきりしています。だとするならば、なおさら、中身が大事であり、いかに活動に動機を持ってもらえるか、その意味づけが大切になってくるだろうと思います。

とはいえ、全てをモチベーション高く持てるような活動にすることは、現実的には困難です。でも、ぼくらは、全部を興味のない活動で埋めることも避けられます。1日の中に、魅力や彩りのある活動を増やすことはできるのではないかなと思っています。そのためには、何に興味関心を持つか、何であれば自発的に見たり触ったりするのか、嫌がらずに取り組んでいるものはあるのか等を細かく観察したり、周囲から情報を聞いたりしながら、その方を知ること(=アセスメント)が大切です。

また、これさえすればうまくいくというわけではありませんが、興味の薄い活動の後に魅力ある活動を持ってくることで、前者の活動へのモチベーションが少し上がることもあります。

まとめ

もちろん、そもそものスケジュールの形態があっていないという可能性もあるので、そうしたことも考えることは必要です。例えば、写真を見て活動を理解することが難しい方に写真で提示する、文字が読めない方に文字のスケジュールを活用するなどです。これは、そもそもの形態があっていないので、中身云々の問題ではありません。

加えて、下記も持っておきたい視点です。
・中身があっているかどうか
・いつも同じで飽きてしまっていないか
・順番も工夫できているか

"受け取りやすい形(形態)で、受け取りたいもの(魅力ある活動)を"

それを大切にしたいと、ぼくは思います。

佐々木康栄

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