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ネットやゲームと子どもの発達

この記事は2,506文字あります。個人差はありますが、4分〜6分でお読みいただけます。

今日はnoteの連続更新105日目です。

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普段勤務しているよこはま発達グループでは、毎月カンファレンスをしていて、ちょうど昨日はその日でした。そこでは色々なディスカッションをするのですが、その中の一つに「スクリーンタイムと発達」というのがあり、今回はそれを取り上げたいと思います。どうぞお付き合いください。


発達との関係

インターネットやゲームは「悪」のようにみなされることがあって、「少しならいいけど、長い時間はだめ」みたいな感じですが、皆さんはどうでしょうか?

ぼくも「どうやったらその時間を短くできるのか?」「やりすぎだと思う。なんとかできないか?」とご相談をお受けすることも珍しくないんですね。

日本でも香川県にて通称「ゲーム条例」が定められました。条例では、子どものゲームの利用時間の目安として平日は1日60分、休日は90分までとしています。また、スマートフォンの利用時間は中学生以下が21時まで、それ以外は22時までとしており、親御さんにもそれを守れるような努力義務が課されたというのが話題になりました。

それだけ「使いすぎ注意」と思う方が一定数おられるということなのかなと思います。

「こんな条例ひどい!」
「県として対応してくれたのは有難い」

色々な考えがあるでしょう。

制限を加える方向の意見については、意地悪というよりも、マイナスな影響を心配してだと思うのですが、背景には「(自分には)わからないから」とか、なんとなくのイメージを持っている方もおられるのかもしれません。

ぼくらは、「よくわからないから」という理由で「怪しい」と判断してしまうことがあるのではないでしょうか。例えば、「Midjourney(ミッドジャーニー)」って皆さんはご存知でしょうか?これはキーワードを入れるとAIが絵を描いてくれるものですが、プロ顔負けの絵を描くことができます。これを使用するためにはDiscordというチャットツールを使用します。つまり、Midjourneyを使うためには、MidjourneyとDiscordにどちらも登録し、その後Discord内でMidjourneyを使うことになります。
       
「早速使ってみたい!」と思った方はどれくらいおられるでしょうか?
「いや、よくわからないし、それって危なくないの?課金とかないの?」と思う方の方が多いかもしれないですよね。
    
インターネットやゲームなんかも同じで、馴染みがないと「よくわからないから、とりあえずやりすぎはだめ」となる可能性もあります。

実際どんな影響が?

本当に影響があるのかどうかについては、まだまだ議論されるものだと思いますが、昨年12月に「Impact of digital screen media activity on functional brain organization in late childhood: Evidence from the ABCD study」という論文が発表されました。

これは、「デジタルスクリーンメディア活動」つまり、「ゲームやPC、タブレット、スマホなどのデジタル機器を見ている時間」が、子どもたち幸福や発達との関連性について調査したものです。これは、世界中でデジタル機器のマイナスな影響を与える懸念が議論されていますが、どれも科学的根拠は不足しているとして調査されたものです。
  
同論文の中では「かつては、2歳未満の子どもはデジタルスクリーンメディアに触れさせるべきではなく、2 歳以上の子どもはデジタルスクリーンメディアを1日あたり2時間のみ使用すべきとれていた」と触れていました。こうした科学的根拠の不確実性が強調され、それによって子どもたちの活動に制限が加えられることはどうでしょうか?ということを主張していました。
    

この論文では、1万人以上の9歳~12歳の子どもたちを対象に調査したのが上述した論文です。詳しくは論文を読んでもらえればと思いますが、ごく簡単に共有すると、

  • 一週間の平均利用時間は26.5時間(つまり、1日あたり約4時間)

  • メンタルヘルスや認知発達に対してのマイナスの影響は支持しない

  • 神経認知の発達を保護するためにスクリーンタイムを制限することを中心とした政策を支持していません

と結論づけているんですね。

他にも面白い調査があって、まだまだ明確な治療として位置付けられているわけじゃなくて議論も必要なところですが、ドイツの大学病院の研究チームが"「スーパーマリオ オデッセイ」をプレイすると重度のうつ病が半減することがドイツの研究で判明、専用プログラムや標準治療より高い効果"という方向をしていて、そう考えると実はマイナスなもの、ネガティブなものばかりというわけではないのではないでしょうか。

こちろん、今回紹介した論文が100%正しいと主張するつもりはありませんが、こうした報告も知ってほしいなと思って書きました。

ただ、ネットやゲームにハマってメンタルヘルスが悪化した場合には、ネットやゲームが原因にされがちですが、それ自体が問題というよりも、そこまでのめりこなければならなくなっていること(例えば、そこでした充足感がない、切り替えができなくなっているとか)が本質的な問題だと思います。

その時には、ゲームやネットだけが唯一の原因ではなくて、一体何が生活の中でうまくいっていないのかを考えてみることが大切です。

そして、ネットやゲームの中で何が楽しみになっているんだろう?、どんなゲームをやっているんだろう?どんなYouTubeを見ているんだおう?ということを知ろうとするのが第一歩ではないでしょうか。  


補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)

防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)

災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)

災害時の発達障害児・者支援エッセンス

#障害者を消さない (ヘラルボニー)

寄付型セミナー(TEACCHプログラム研究会東北支部)

代表を務めているTEACCHプログラム研究会東北支部で、「寄付型セミナー」を立ち上げています。ぼくの衝動的な行動であることは自覚しています。それでも、今ぼくらにできることを考え、過去に配信したオンラインセミナーを再度配信させていただき、その売上(配信や販売に関わる手数料を差し引いた全額)を能登半島地震の支援・復興に向けた寄付することに決めました。宜しければ応援してもらえると嬉しいです。

#能登の障害者に届け

能登の障害者の方々に直接支援が届くように、一般社団法人障害攻略課さん
、NPO法人石川バリアフリーツアーセンターさん、一般社団法人Smart Supply Visionさんが「#能登の障害者に届け」というプロジェクトを立ち上げてくださっています。

この短期間でこれだけの状況を整えることは、どれだけ大変だったのだろうかと思います(きっとかなり睡眠時間や休みの時間を削って急ピッチで取り組んでくださったのだと思います)。本当に感謝です。    

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クラウドファンディング

▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。

そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。

ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。

皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。

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▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」

ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!

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