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【不登校という選択】フリースクールの活動内容や費用、出席扱いとなる場合の条件は?

文部科学省の調査によると、小学校・中学校における長期欠席者のうち、令和4年度の不登校児童生徒数は約30万人。10年連続で増加し、過去最多となっています。

子どもが不登校を選択した場合、「勉強に遅れるのではないか」「卒業はできるのか」「今後、どうしたらいいのか」など、さまざまな悩みを抱えている保護者も少なくありません。

政府は、不登校児童生徒数の増加に伴い、学校内にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置・派遣を行っています。そのほかにも、子どもが不登校になったときの親の相談先として児童精神科やフリースクールが挙げられます。

「不登校」の相談先&チェックリスト/NHKあさイチ(最終閲覧日:2024.5.30)

フリースクールとは

文部科学省は、フリースクールを次のように定義しています

一般に、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設。その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されている

フリースクール・不登校に対する取組/文部科学省

義務教育段階である小学生・中学生だけではなく、高校生が通えるフリースクールも多数存在しています。

なお、文部科学省は、「不登校児童生徒の個々のニーズに応じた受け皿を整備するとともに、教育支援センターが地域の拠点となり、児童生徒や保護者に必要な支援を行うことが重要」としています。

フリースクールでの活動内容

少し古い資料ですが、文部科学省が平成27年に行った調査では、不登校の児童生徒の受け皿となる団体・施設が全国に474カ所確認されています。

では、フリースクールでは、どのような活動を行っているのでしょうか。

文部科学省の調査によると、フリースクールでは学習活動のほか社会体験や自然体験などの多くの体験のほか相談・カウンセリングも行われています。

小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査/文部科学省 (最終閲覧日:2024.5.30)

複数回答可能な活動内容についての質問に対し、個別に学習を行っている団体・施設が約9割、授業形式による学習は約4割という回答が得られました。また、約9割の団体・施設が相談・カウンセリングを実施、約5割が家庭への訪問を行っていることも分かりました。

また、学習カリキュラムを決めている団体・施設は約5割でした。
さらに、複数回答可能な「どのような学習教材を使用しているか」という質問に対し、8割弱が教科書を使用していると回答。その一方で、7割から8割の団体・施設は市販の教材や独自に作成した教材を使用していると回答しています。

小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査/文部科学省 (最終閲覧日:2024.5.30)

フリースクールにかかる費用は?

多くのフリースクールでは、特に入学資格を設けていません。

つまり、フリースクールに通う場合には、先生との相性やカリキュラムなどで選ぶことが大切だということです。

では、フリースクールには、どれくらい費用がかかるのでしょうか。

小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査/文部科学省(最終閲覧日:2024.5.30)
小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査/文部科学省(最終閲覧日:2024.5.30)

文部科学省が行った同調査によると、会費(授業料)として月額1万円から3万円、月額3万円から5万円とする団体・施設がそれぞれ4割弱で、平均月額会費は約3万3000円。それ以外に、入学金を1万円から3万円とする団体・施設が約3割でもっとも多く、入学金の平均額は約5万3000円ということが分かりました。ただし、このときの調査結果では4割弱の団体・施設が入学金を徴収していませんでした。

フリースクールのタイプ

フリースクールには、学習支援タイプや相談・居場所タイプ、医療機関と連携しているタイプなど、さまざまなタイプのものがあります。

学習支援タイプ

学習支援タイプのフリースクールは、学校の復帰、基礎学力の向上を目的としています。

そのため習熟度別学習支援や、選択制授業などを取り入れているところもあります。

なんらかの理由で不登校を選択したものの勉強そのものは好きで、たとえば高校卒業資格を得たいと考えている場合に適しています。

相談・居場所タイプ

相談・居場所タイプのフリースクールは、学校への復帰や勉強を目的とするのではなく、子どもの日中の居場所になること、悩みや不安に寄り添うことを目的としています。どのタイプのフリースクールであれ、多くのフリースクールはこの特徴を備えています。

施設によって活動内容は異なりますが、子どもが自信を取り戻せるようにゲームやミーティングを活動に取り入れているところもあります。

医療機関と連携しているタイプ

不登校の児童生徒の中には、発達障害の子どもやうつ病を発症している子どももいます。そのため、医療機関と連携して適切なサポートが受けられる体制を整えているフリースクールもあります。

ただし、近年、発達障害への理解が広まってきたことで、医療機関と連携していないフリースクールでも、発達障害の子どもを受け入れるケースが増加傾向にあるようです。

自宅に訪問するタイプ

不登校を選択した子どものなかには、そもそも外出自体ができなくなってしまっているケースもあります。

そのため、スタッフが家に訪問して勉強だけではなく、ゲームや運動などを一緒に行ったり、オンラインを通じてコミュニケーションを取ったりするフリースクールがあります。

イベント・共同生活タイプ

イベント・共同生活タイプのフリースクールは、共同生活を行うことで生活習慣を改善したり、コミュニケーション能力を向上させたりすることを目的としています。

活動内容は多岐にわたり、野菜の収穫など季節ごとのイベントが用意されていたり、スポーツやプログラミングなどを学べたりなど、特定のメソッドをもとに教育を行うところもあります。

不登校でも出席扱いとされるケース

文部科学省は「不登校児童生徒がフリースクールなどの外部施設で指導を受けた場合やICTを利用して学習を行った場合、一定の要件を満たせば出席扱いとする」としています。

外部施設で指導を受けた場合

文部科学省が定めている要件は次の4つです

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること

  • 教育委員会が設置する教育支援センター等の公的機関であること。ただし、民間施設における相談・指導が児童生徒に適切であると校長が判断した場合には、民間の施設も考慮される

  • 当該施設に通所または入所して相談・指導を受けていること

  • 学校外の施設で行われた学習計画や内容が、在籍校の教育課程に照らして適切と判断された場合

なお、フリースクールへの通学を出席扱いするか否かは、最終的に学校長の判断に任されています。

ICT等を活用した学習を行った場合

家庭でICT等を活用して学習を行った場合、文部科学省が定めている要件は次のとおりです。

  • 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること

  • ICT等を活用した学習活動とは、ICTや郵送、FAXなどを活用した学習であること

  • 訪問等による対面指導が適切に行われていることを前提とし、学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われていること

  • 学習活動は、当該児童生徒の学習理解の程度を踏まえ、計画的なプログラムであること

  • 校長が、当該児童生徒に行われる対面指導や学習活動の状況を十分に把握すること

  • 当該児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合であり、なおかつ、対面指導が適切に行われていることを前提とする

  • 学習成果を評価に反映する場合には、在籍校の教育課程に照らして適切と判断された場合であること

さいごに

子どもが不登校を選択した場合の相談先として、フリースクールが挙げられます。

フリースクールには、学習支援タイプや相談・居場所タイプ、医療機関と連携しているタイプなど、さまざまなタイプがあります。

文部科学省は、不登校を選択する児童生徒の増加に伴い、フリースクールに通ったり、ICTを活用して学習したりすることで、一定の条件満たした場合には出席扱いすることを認めています。

出席扱いするか否かの判断は、最終的には各学校長の判断によりますが、ICTを利用した学習活動の場合、定期的かつ継続的な対面指導が条件に挙げられているため注意が必要です。

koedoでは、今後も不登校児童生徒に関する定点観測を続けていこうと考えています。

(koedo事業部)

【参考】


「教育×IT」を定点観測するwebメディア【koedo】

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