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波形から見る、音声表現の特徴分析

ナレーター、MAミキサーの小枝シンヤです。

今回は、収録した時の波形から、色んな音声表現の職種の方が、ナレーションを読んだ際の特徴を分析しました。

参考にしたのは、スタジオバーズにて、ボイスサンプルの収録や、レッスンでの収録で担当した約100人の音声データです。本記事は、それぞれの傾向を探り、タイプ別にまとめたものです。

ちなみに、タイプ1のアナウンサー以外は、同じ原稿を読んでいます。

タイプ1. アナウンサーディクレッシェンド型

1アナウンサー

アナウンサータイプは一番わかりやすく、音の高いところから低いところへ降りていく形です。

波形を見ると、▶︎のように、左から右へ降りていくような表現ですね。

アナウンスは視聴者に情報を分かりやすく伝えるための表現です。最も基本的な型といえます。

タイプ2. 舞台俳優、イベントMC…クレッシェンド型

2イベントMC

舞台俳優・イベントMCの特徴は、文末部分を大きく表現することです。(文頭も、若干ではありますが、音が大きくなります)

波形でみると◀︎のように、徐々に大きくなっていくのが特徴です。他のタイプと比較すると、この傾向が顕著に表れます。

これは、舞台上から観客に声を届けるように発声することや、盛り上げるための表現なのではないかと思います。

タイプ3. FMパーソナリティ、リポーター…リボン型

3FMパーソナリティ(女性)

このタイプは、文頭と文末が大きい表現になりやすく、いわゆる▶︎◀︎リボン型に当てはまります。傾向としては、タイプ2と似ています。

これは、最初にオーディエンスに呼びかけて、最後にまた盛り上げるような表現をするのが理由だと思います。

これは自分の肌感覚ですが、ドキュメントなどの繊細な表現よりも、テンポ感やリズムがある方が得意な人が多い印象です。

タイプ4. 声優…凹凸型

4声優(女性)

これは、小さい表現と大きい表現のレンジ(幅)が広いことを指します。幅をつかったダイナミックな表現は、ドラマチックさを演出できます。

しかし、ナレーションの場合だと、本人も意図しないところで抑揚が出てしまい、一部分だけ盛り上がってしまうこともあります。これが凹凸になってしまう理由ではないかと思います。

(これは余談ですが、身体全体を使って揺れながら発声する方が多く、マイクに上手く音がのらないことが多々あります)

タイプ5.  ナレーター…BOXタイプ

5ナレーター(男性)

声優、ナレーターは、基本的となる軸の音圧が一定です。波形を見ると、全体的に密度がある感じ。小さい表現でも大きい表現でも、ここの密度は高いレベルで一定だと言えます。(活躍されている方は特に顕著)

声優タイプとの最大の違いは、波形に大きな乱れが少ないことです。したがって、他のタイプと比べると、全体的に安定した音圧で発声しているため、BOX型に近い波形になります。

かといって、この表現を強く意識しすぎると、収まった表現になってしまいがちなので注意です。(ソースは俺)

まとめ

今回は、それぞれの波形をタイプ別に分類しました。

「いやいや小枝よ、適当なこと言ってんじゃないよ!ナレーターだって不自然に盛り上がってるような所があるじゃねえか!」

と思われる方もいらっしゃるかと思います。

もちろん、細かくみていくと個人差はあります。上記の様に、一概に当てはめることは、血液型占いくらいにナンセンスなことかもしれません。

ここでは、ナレータータイプじゃないからダメだ!ということを言いたいのではありません。なぜなら、声質や表現は、それぞれの個性だからです。

ただ、波形を見比べることで、コピー練習の精度を上げたり、自分でも気づかなかったクセを可視化できるようになります。それまで感覚的なものだったのが、目で分かるようになると、技術の差がよりハッキリとわかります。

以前、あおい洋一郎さんのコピーをしようと思って、自分の波形と見比べたのですが、やっていることがあまりに高度過ぎて匙を投げました。笑

まったく一緒の波形になることは100%ありえないのですが、読みのスピードすら合わせるのが難しかったんです。

それでいてナレーションとして成立させているので、あおいさんがやっている表現は、何が何やら分からん神業のオンパレードでした。

(余談ですが、以前スタジオ見学に伺った際、15文字を2秒に収めてる現場を目の当たりにして白目むきました。ナニアレドウイウコトナノ)

あとがき

以上が、波形から見る音声表現の分析内容です。

タイプ1.アナウンス…ディクレッシェンド型

タイプ2.舞台俳優・イベントMC…クレッシェンド型

タイプ3.FMパーソナリティ、リポーター…リボン型

タイプ4.声優…凹凸型

タイプ5.ナレーター…BOX型

自分の波形と他人の波形を比べてみると、新たな発見があるかもしれません。

あくまで仮説ではありますが、最後までご覧頂きありがとうございました。

次は、「本当は教えたくない、マイクに声を綺麗にのせる方法」を有料で公開したいと思います。

それでは!

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