伊達博物館移転問題について

季節は春から、初夏への移り変わりのとき
近所の梅の木は、たくさんのたくさんの実をつけはじめています。

前回投稿した新聞への意見広告掲載は
いろんなドラマを乗り越えて無事に掲載されました。

また、地方のタウン誌やタウン新聞にも掲載され
多くの人の目には触れたのではないかと思っています。

さて、きょうは宇和島市内で気になる動きがあるので
それを取り上げてみようと思います。

宇和島といえば・・・
じゃこ天、牛鬼、いろいろありますが
「宇和島藩 藩主伊達氏」への想いがとてもあることは
5年間この地に住み、感じています。

その伊達家ゆかりの重要文化財が収められている
伊達博物館の移転改築問題について
近所の人たちが主となって、一度立ち止まってみてほしいとの願いを込めて
住民投票のための署名活動をしています。

以前から議会一般質問で浅野議員が取り上げ
その協議会の問題点や、現案についての問題点を問うていましたし
熱心にこの問題に取り組む方達から何度か伺っていたましたが
なんとなく知っている、程度です。

老朽化、雨漏り等で建て替えをしなければならないことは仕方のないこと。
何を問題としているのか。

パブリックコメントも、住民説明会もあったし
議会質問の内容もそうだけれど

こちらが質問や意見を投げ掛けても
それの対する返事、議論がないことがここまで大きくなった原因だと思います。

「貴重なご意見ありがとうございます。」
「検討します。」
は、その場の返しだけであった、内容に対する返事ではないし

質問や意見に対して
「こちらは○○な意図でそうしてるのでご理解ください。」
も同様だと思っています。

違う意見が出たならば
お互いの意図、根拠を出した上で
そこからが始まりなのに、その先がないんですよね。

これでは、何を言っても無駄という政治不信になり
反対に行政側は、こんなに考えたのに文句言われるという
残念な結果にしかならないですよね。

伊達博物館移転の問題点

いろいろ理由はあるけれど
ほとんどが立地に関する問題と、費用の問題です。

1.立地に関すること
 1) 天赦公園(キリン公園)の重要性
  ・幼児から中高生、お年寄りまで、多目的に使える公園で
   東西150mある広々とした公園は貴重であること
  ・災害時の避難場所および、火除け地となっていること

 2) 土地の安全性に関すること
  ・地盤の緩さと、浸水被害が予想される場所であること
 
 3) 費用のこと
  ・約40億円の建築費は国の補助から返済できたとして
   維持管理費は人件費も含めて1億円を超えるものであり
   次世代への負担が増えること

 4) その他疑問点や問題点
  ・建設のための土地の購入や施設利用料、文化財賃料など
   不透明なものが多いこと
  ・建て替え委員会や協議会の議事録の開示がなく
   決定する際の根拠がはっきりなされていないこと
  ・住民説明会の時と内容が変わっているにも関わらず
   了承を得ていないこと
  ・現在の桜や杏の木、銅像の移設について明記されていないこと
  ・多目的に使える芝生広場がなくなり、児童公園は蔵と民家に挟まれた
   閉鎖的空間となること
  ・出入り口が国道沿いで、交通量の多い場所で危険があったり
   市立病院へつながる道路であることから渋滞になった際困ること

だいたいこんな感じでしょうか。

わたしは、全てに目を通した訳ではないし
キリン公園を守る会の方からの話と、議会質問のやりとりしか知りません。

パッと聞いただけでは、問題山積みで、このまま進めていくには無理があるのいではないかという印象。
住民の、実際に天赦公園の利用者の声は反映されていないようにも思います。

市の基本計画を添付します。



地域の歴史と文化を学び、現在を生きる指針とすると ともに、先人から引き継いだ文化遺産を確かに後世に継承し、未来に向かって 地域文化を創造する拠点として、博物館を位置づけます。
〜略〜
1 新博物館の基本理念
「地域の歴史文化の再生、共創の象徴となるべき博物館」
「新しいまちづくりと景観の美しさの象徴となるべき博物館」
2 新博物館のビジョン
新しい博物館は、宇和島市の多様で豊かな自然や歴史文化について、市民
や来館者の皆さんとともに保全・継承し、その魅力を広く発信します。この
ことにより、宇和島市の特徴とすばらしさに気づき、地域をより良くしよう
とする人々が集い、誇りと活気に満ちた、美しいまちづくりを目指します

宇和島市立伊達博物館改築事業基本構想より

ものすごい斜めから書きますね。

”新しいまちづくり”とありますが、それはどのようなものなのでしょうか。
行政が求めている、望んでいる新しいまちづくりとは、具体的にどう言ったものなのでしょうか。
美しい景観とは?建物の美しさですか?自然や、昔ながらの街並みですか?

〜発信することにより、宇和島市の特徴とすばらしさに気づき、地域をより良くしようとする人々が集い、・・・美しいまちづくりを目指します。

こんな建物建てたら、あわよくばそういう人が集まって
あわよくば、望むようなまちづくりをやってくれるんじゃないか、という
なんとも他力本願な無責任なビジョンでしょう。

”建物作ってやったんだから、あとはなんかやりたいっていう市民が
やってくれたらいいなーーーーー
市は運営できないし、その運営費も維持管理費も税金だし、市民のものなんだから、そういうのは市民がやってよ、但し建てたのは市だから、こちらの意向に沿ってやってね。”
っていうこれまでの市の施設と同様の、指定管理制度を用いられるのかしら?
一緒にというよりは、市民のためにという言葉を盾に、市民を支配しようとしている感じがものすごく嫌です。

住民からの税金で建てるものなので、施工主は行政ではなくて住民のはずだし、だからこそ、行政と市民が一緒にまちづくりができるような仕組みが必要だし、もっと話ができるような関係性になっていかないといけないと、市民参画の制度づくりをって活動している仲間がいるけれど、ほんとそうだと思います。

ちょこっと経験からの私情も入ってしまいました・・・

わたしが宇和島に来て感じていたことは、これだけ誇りに思っているといい、市のブランディングにも使い続けている「伊達」ですが
シンボルというか、名前だけ利用して入るけれど、大事にしているという印象があまりなかったんですね。

子どもたちが、伊達家のこと知る機会もそんなにないなと保育園や学校での様子を見ていてもなく、かといって大人がそれを家庭内で当たり前のようにしていて、自然と知っているということもなさそうだなと。

なぜ、ここまでの費用をかけてこの博物館を移転建て替えしたいのか。
なぜ、時代が変わっていっても伊達家を宇和島のシンボルとして使いたいのか。

聞きたいところが、具体的に示されていないから
賛成もしにくいなと思います。

一方で、宇和島にはこれといった文化的施設がないから
歴史的な文化財だけでなく、さまざまな文化芸術に触れることができる施設があるということは、これからのまちづくりにとって重要なことだともわたしは感じています。

わたしが宇和島に来てから、子どもたちと、生の舞台や観劇、表現の場を作るワークショップを開催してきましたが、それについても、そこにお金をかけたり、参加することを躊躇ったり、価値を感じられないという声も多かったです。

身近に、気軽に気軽にふらっと行ける文化施設があって、それらに触れることのハードルが下がるのであれば、とてもいいなとは思います。

何にしても、本音の告白がとても大事だと思います。

住民投票をしたい!という側も、天赦公園の在り方についてはこんなふうになってほしいとか、こうあってほしいというのを出していますが、伊達博物館に対しては、どんなものにしていきたいのか、現地建て替えを希望するのであれば、そこでどんなふうに行政と伊達家と市民が一緒に作っていけるのかを明確にすると、協力者が増えていくのかもしれないなと思ったことでした。

住民投票が仮に行われて、反対多数になって
計画が白紙になり、コンペもやり直しなんてことになれば、
それを承認した議会は、建て替え委員会のメンバーは、決定の判断を下した市長は、どんなふうになるのでしょうね。

どこに、フォーカスして見直しとなるかで変わってくるとは思いますが
戦いたい訳ではないし、いい悪い、賛成反対の多数決で決めるより
開けた会で意見の交換ができたら、どちらも納得するやり方が生まれるような気がしています。

また動きがあったら、報告したいと思います。

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