見出し画像

「怪獣襲来」 - 絶望をイメージした曲を作る

深夜の2時間DTM:「絶望をイメージした曲」のお題の参加曲です。(写真は、爆弾低気圧が通ったときの町並み。いままで見たことのない不気味な光景に驚いて撮りました。)

お題に絶望

いつも2時間DTMのお題には驚かされてばかりだが、「絶望をイメージした曲」って…? どうする??

絶望。望みを絶たれること。あーーー考えたくない!
それなりの年月、人生を歩んできた。そのなかで絶望を感じたことも何回もあってトラウマも少なくない。それを思い出してPTSDを味わいながら曲にするなんてありえない。

ということで、世界観を思い浮かべてガチに作ることは早々にあきらめる。

絶望をイメージする曲とは

絶望感の強い曲というと、やはり「カルメン」の前奏曲の後半部。カルメンの悲劇的な最期を暗示する象徴的なテーマとして印象深い。このテーマの絶望ぶりったら、子供時代に聴いたときに本当に絶望して、「聴きたくない曲」の筆頭に上がったくらいのトラウマ曲。

そういえば、イーグルスのアルバム「ホテル・カリフォルニア」の「Wasted Time(Reprise)」というインスト曲(ガチのオーケストラ曲)は、かなり運命的な絶望性を感じる。 いやそもそも「ホテル・カリフォルニア」の歌詞からして当時のアメリカに絶望していた。

宇宙戦艦ヤマトの森雪が死んだ(のち生き返った)シーンで、古代進が森雪をお姫様抱っこして階段を登るシーンでかかるギター曲もかなり陰鬱で、恋人を失った絶望感がすごい。

どれも難易度が高いな。2時間で作れる気がしない。いや、そもそもリスナーに絶望感を与えること自体、なんとなく気分がよくない。
あくまで「絶望をイメージした曲」であり、「絶望を味合わせる曲」というのは違う。

視点を変える

ガチ目で作るのも感性で作るのも難しいなら、アプローチを変えよう。どこかの主人公が絶望するようなシーンを第三者視線で作るのなら、ある程度軽いノリで作れる。

ということで思いついたのが「怪獣襲来」。これは絶望的だ。

別に「宇宙人襲来」でもいいし、「災害級魔獣の出現」でもよかった。 ただ、たまたま震度6が発生した直後に、災害を直接表す曲は作りたくない。

曲作り

さて、怪獣襲来ならきっと映画風味がいい。
映画ならトレイラーの効果音が欠かせない。スペクタクル巨編映画の予告編に使われる「ガシャン」という重々しい効果音ならLogic Pro X(愛用のDAW)の標準音源に入っている。さっそく鳴らしてみよう。

ちょっとふざけて、この「ガシャン」の効果音をドラムのように連打してみたら、面白い効果が出た。

むかし アート・オブ・ノイズというバンドが居た。オーケストラヒッツのようなサンプリング音を派手に使って、(当時の感覚で)カオスな曲を作っていた。あんな感じがする。よし、これをスネア代わりにしよう。

ドラムのキック音を入れ、以前の曲で作った重低音ベースを入れる。怪獣っぽく凶暴感が出てきた。

オートアルペジオが出来る音色をいくつか選ぶ。リズムに合わせて鳴らすと、キラキラとしたスパイスがふりかけられる。

メロディ・パートには少し悩んだ。ねばっこいアナログ・シンセ音を使ってゲゲゲの鬼太郎音階を鳴らすといやらしい感じが出るけど、なんだかその気になれなかった。結局、2種類の金属ベル系音色をユニゾンで鳴らし、不穏なメロディを歌わせる。

途中で一度リズムを消して、キラキラ・オートアルペジオだけ鳴らす。乾いたプラック音のメロディを調を変えて加えたら、よい気分転換になった。

ふたたびリズムを再開。調も戻し、今度は先程のプラック音を中心としたシーケンスにする。シーケンス二巡目からベルを少し入れてさり気なくエンディング。

エンディングには、ほそぼそとした金属ベルのエピローグを入れたが、音のバランスをミスったのであまり聞こえないのが残念。

マスタリング

相変わらずiZotope Ozoneに頼りっきりだが、最近AIの結果に今ひとつ納得感がない。作っている間に自然と出来た音のバランスをAIが勝手にかき回している感じがする。

ということで、今回はOzoneのマキシマイザーだけを使う。
最近覚えた技、「LUFS値を見る」をやってみる。LUFS値とは「感覚的な音量レベル」みたいなものだ。自分の場合はあまり攻撃的でない曲が多いので、LUFS値= ー15 あたりを目安にしている。(普通の人はもっと高い ー4〜ー5あたりらしい)

Logic にはLoudness Meterという測定機能があるので、ここまで作った曲のLUFS値を測ってみる。 ははは… −30。 話にならないので、Ozoneのマキシマイザー機能を使って音圧を上げてみる。まあ、ー13〜15あたりになるようにしてみた。自分の曲としては上出来かも。

反省会

ミックスでの音域のカブりはまったく気にしていない(というか気にする時間なし)。きっとベースとかはもっと際立つ音作りが出来たかもしれない。

今回はお題が自分のメンタルを直撃しないように回避したため、あまり音楽的に攻めたコードやメロディ作りは出来なかった。まあ次回がんばろう。

長文お読みいただき、どうもありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?