見出し画像

モジュール化によるパワポ資料の効率的な作成方法

このnoteは、セミナーや講演用に作成したパワーポイントの資料を、セミナー参加者や受講者の属性・リテラシー・興味関心に合わせて最適化しやすくするために試してきた方法をまとめたものです。

セミナーや講演用に作成したパワーポイントの資料が、作成した時点で止まっているという方はいらっしゃらないでしょう。作成者がその後の実践や学習を重ねてアップデートしたり、セミナー参加者や受講者の属性、研修企業の要望に応じて調整をしたりしてきているはずです。
これはガンダムに例えれば、「RX-78-1プロトタイプガンダム」を最初のセミナー資料として、「FA-78-2ヘビーガンダム」、「RX-78XXガンダム・ピクシー」、「RX-78NT1アレックス」と、核となるコンセプトや機体は変わらないけれど、性能や整備が発展・派生していくようなものです。

画像1

セミナーの内容が発展・派生をすれば、セミナーのタイトル名とともに更新されたファイルが保存されていると思いますが、この作業を続けていくと、大本・核となる内容(スライド)はあれど、系統樹のように追加・調整した内容が枝分かれしていきます。

セミナーごとにファイルをつくるという作業を続けるデメリットは、PCもしくはクラウドのファイル容量が増えてしまうことはもちろん、新しいセミナー資料をつくるとき、非効率になってしまうことです。

例えば、ある業界団体からセミナーの依頼があり、その業界に適した内容を、以前別の企業研修で作成していたとします。その存在をすぐに思い出してセミナー資料をつくれれば良いのですが、往々にして「これに使えるスライドをつくった覚えがあるけど、あれどこにいったかなぁ~」と、ファイルを検索して見つからないという時間の浪費をしてしまうことになります。

2017年3月、現在につながるプロジェクトマネジメントのセミナー資料の原型をパワーポイントでつくり始めたときは、このような感じでした。

プロジェクトマネジメントセミナー資料01

その一ヶ月後には、盟友後藤洋平さんと開催したプロジェクト工学勉強会で、早くも資料がアップデートされます。

プロジェクトマネジメントセミナー資料02

ここまでは、プロジェクトマネージャーの問題解決やプロジェクト進行方法について資料を制作してきましたが、ここから徐々に、テーマ別のプロジェクトマネジメントの資料が増えていきます。

サブスクリプションビジネス、カスタマーサクセス、コミュニティマネジメントなどのテーマに合わせて、このテーマに知見のある方に教えを乞い、ベースとなる資料をアレンジしていきます。

プロジェクトマネジメントセミナー資料07

その後も、個人の起業、人生、高校生の職業教育、動画活用、夫婦の育児、DX、Saasの新サービス、広告代理店、制作プロダクション、デジタルマーケティングエージェンシーなど、様々なテーマ、業界、企業に対して、セミナー・研修資料をアレンジしていきました。

プロジェクトマネジメントセミナー資料03

プロジェクトマネジメントセミナー資料04

プロジェクトマネジメントセミナー資料05

この結果、基本的な内容は変わらなくても、プロジェクトマネジメントの考え方をそれぞれのテーマに適用するために制作したスライドが増えていきます。既に述べましたが、これらのスライドは後日のセミナー資料で活用できる内容になるにも関わらず、それを探すことに時間を費やしてしまうのはとてももったいないことです。

そこで、どんなセミナーであっても変わらない、ベースとなるパワポファイルをひとつつくり、それ以外の、普遍的ではない、受講者の属性・リテラシー・興味関心に応じた内容のパワポファイルを、それぞれ小さな単位でつくっておくことにしました。

ベースとなる資料が下図になります。

プロジェクトマネジメントセミナー資料ベース

少し説明しますと、私のプロジェクトマネジメントのセミナーでは、プロジェクトがうまくいかない理由やその理由に対処するための方法論がベースとなります。
参加者がマネージャーか一メンバーであるかによっては、興味のある内容が変わります。マネージャーであればメンバーにいかに主体的に取り組んでもらうかといったことや、メンバーの成長を促すことに課題を持ちますが、メンバーの関心度はそれほど高くありません。チームのマネジメントに課題を持つ人もいれば、一人の人間としての問題解決能力を向上させたい人もいます。MTGの進め方に課題を持っている人もいれば、意思決定の方法に興味を持つ人もいます。参加者が事業会社側かベンダー・広告代理店側であっても、興味のある内容が変わります。扱うプロダクトが有形無形のものであっても同様です。

このように、プロジェクトというものには、問題解決、問題の表現、意思決定、トレードオフ、優先度の設定、評価・振り返り、チームづくり、チームの志向性、メンバーの成長・学習支援、主体性の促進、合意形成、ファシリテートなどなど、様々な要素が含まれています。そして、これらの内容は人によって関心・課題、その度合いが異なります。

こうした内容をパワポのファイル名にして作成しておき、参加者の属性や要望に応じてこれらのファイルを適宜追加・調整すると、非常にラクにセミナー資料をつくることができます。
下図がベース資料とそれ以外の内容のパワーポイントのファイルが格納されているフォルダです。

プロジェクトマネジメントセミナー資料06

これらのファイルのうち、プロジェクトにおける分業やメンバーの主体的な関りを促すための内容のファイルを開くと、下図のような内容のスライドが入っているわけです。

プロジェクトマネジメントセミナー資料分業

プロジェクトにおける評価やKPIの考え方については下図のようなスライドが。

プロジェクトマネジメントセミナー資料KPIと評価

上二つに掲げたスライドは、参加者によって関心の有無・濃淡があるため、ベースとなる資料には入れておきません。

こうして、必要に応じて必要な部品を追加・差し換えていくようにセミナー資料をつくり上げる方法を、私はパワポスライドのモジュール化と呼んでおりますが、アタッチメントという言葉もあるので、どんな表現でもかまわないです。

機能・内容的にまとまった資料を分けておくというルールにしておけば、自分が新しく習得したこと・学んだこと・試して効果のあったことなどをすぐにパワポ資料化しておき、必要に応じてアップデートしたり、ベースとなる資料に追加することができます。この方法を採用して以降、私は資料のアップデートやアレンジがたいへんしやすくなりました。
みなさんの資料作成・整理の参考にすこしでもなったら嬉しいです。

こうして整理されたスライドが元となってできあがった書籍が下記になります。こちらもよろしければご購読ください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。