【全文無料】宿題に最後まで取り組む子になる3ステップ #20.子どものこころ専門医の失敗子育て
宿題は「持ち帰り残業」と同じです。
無理にやらせようとすると、地獄の時間になります。
どの家庭でもできる、宿題を完璧にできるステップを紹介します。
登場人物
私 30代 子どものこころ専門医
妻 30代 保健師
長男 当時1-2年生
長女 当時1-2年生
宿題の思い出
私が子どもの頃、宿題といえば、泣いても終わらない地獄の時間でした。
スリッパを持った母に、叩かれながらやっていた記憶があります。
そのため、自分の子どもに、どうやって宿題をやらせたらいいのかと、やる前から構えていました。
小学生の宿題
長男も長女も、1年生の宿題は、学習ノート1ページに好きな勉強を書くことと、プリント1枚、それに音読1ページでした。
音読については、他の記事に書いています。
ここでは、学習ノートとプリントについて取り上げます。
宿題の意義
よく言われるのは、以下の2点です。
学習習慣が身につく
勉強が身につく
まず、これが本当かを考えました。
①学習習慣が身につく?
習慣というのは、毎日継続してできることです。
毎朝スマホでニュースを見ると、ドーパミンが出て快感が得られたり、毎朝コーヒーを飲むと、カフェインが脳に刺激を与えたり、
メリットが感じられる行動は、自然と習慣になります。
子どもにとっての宿題は、大人で例えると「持ち帰り残業」と同じです。
大人の皆様、「持ち帰り残業」を習慣にしたいですか?
私は、絶対嫌です。
上司が褒めてくれれば、「持ち帰り残業」を続けたいと思えますか?
達成感は得られますか?
宿題で得られるメリットは、本人の得る達成感と、大人たちが褒めてくれることくらいしかありません。
この2つで、宿題を習慣化するためには、作戦が必要になります。
②勉強が身につく?
イヤイヤやる宿題から得るものはありません。
脳が警戒状態になってしまい、受け入れる準備ができないからです。
泣きながら最後までやっても、勉強の内容は頭に入りません。
ただノートに字を埋めるだけの行いになってしまいます。
そもそも、学校で毎日6時間も勉強しています。
宿題の15分がそれほど大きな役割を果たすというのも、おかしな話です。
学校でわからないところを補うのならば、おうちで教えてあげる必要があります。
その場合は、なおさら脳の警戒状態を解く必要があります。
3つのステップ
ステップ0.宿題を完璧にすることは「最終ゴール」
私の先入観では、
①宿題が出される
②子どもが全部解く
③親が丸つけをする
④子どもが間違いを直す
宿題は、この4つの行程を全て終えてこそ意味がある。
と思い込んでいました。
私の母も同じ考えて、完璧にできるまでスリッパを構えていました。
最初から完璧にできる子はいいのですが、長男も長女も違いました。
そこで思ったのが、
宿題を「完璧に」することは、スタートではなく、最終ゴールだということです。
これを肝に銘じで、焦らずに取り組むのが秘訣です。
ステップ1.宿題に手をつける
子どもが、自分から宿題に手をつけるかどうかを見ます。
小学1年生の最初の最初が、一番手をつけやすいはずです。
しかし、すでに宿題嫌いな子は、このステップからつまずくかもしれません。
「宿題をしなさい」と言われた時点で、「つらいことと向き合う時間だ」
というスイッチが入ってしまうことがあります。
そもそも、大人の側が、「宿題とはつらいものである」と思っていると、
子どもにそう伝わるのは当然です。
そのため、ステップ⓪を踏む必要があります。
長男も長女も、「宿題をしたくない」ということはよくあります。
そんなときに私たちがとった方法は、
「ママもパパも宿題の時間にしよう。」
と、わざと声に出して、書類を読んだり、書き物をしたりします。
長男も長女も「一緒」のことをしたり、マネをしたりすることが好きなので、
「私も宿題しよう」
と乗ってきてくれます。
他には、
「答えを全部教えてあげる。書き写したらいいよ。」
初めはこれくらいでもいいです。
まずは、宿題に向き合えるところまで、ハードルを下げましょう。
ステップ2.宿題を最後までする
ステップ2-1.取り組める量が増えていく
子どもが宿題にとりかかり始めても、最後まではできないことがあります。
疲れていたり、眠かったり、おなかがすいたり、宿題が難しかったり。
そんなときは、
「よく○○までできたね。」
と、子どもができた分を、そのまま言葉にしてあげます。
「ページの半分書けた。」
「漢字を30個書けた。」
「褒めるところがない」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、無理に褒める必要はありません。
ありのままを言葉にするだけで、「認められた」という気持ちになります。
言ってはいけないのは、
「半分できたね。じゃあ、明日は1ページ頑張ろう。」
こんなことを言うと、
『あー、宿題やらなければよかった。』
という気持ちになってしまい、不快感でいっぱい。
ステップ①に逆戻りになってしまいます。
宿題を少しでもやると、子どもにとってメリットになるのが肝心です。
学校の先生は、宿題を最後まで終わらせないと注意してきます。
そのストレスは、学校だけで十分です。
親の方は根気強く、「あなたはよくがんばっているよ。」と、応援する声掛けを続けます。
最後まで解かせようとすると、逆効果なのを忘れないでください。
本人が終わりと決めたら、終わりでいいです。
ステップ2-2.丸付けをする
丸付けは、子どもの成長をみることのできる絶好の機会です。
成長を見つけて、子どもにフィードバックします。
「この漢字、新しく書けるようになったね。」
「この計算、できるようになったんだ。すごい。」
学校で授業が進んでいくので、
完璧ではなくても、新しいことができるようになっています。
下手でもいいし、間違ってもいいです。
以前と比べて、できるようになっていることを見つけて、声をかけます。
もちろん、
「この漢字、もう少しきれいに書けたらいいね。」
などと言ってしまうと、台無しです。
「丸付けは、褒められる嬉しいこと」と、子どもが思ってくれると、自分から宿題を持ってくるようになります。
ステップ2を徹底することが、子どもたちが自然と、最後まで宿題をするようになる近道です。
ステップ3.間違い直しをする
宿題が終わって丸付けをして、間違いがあると、泣き出したり、暴れ出したりする子もいます。
長男も長女もそうでした。
長男「ふざけるなよ!もういいだろう!」
長女「いやだーー!」
間違い直しの時間は、地獄中の地獄
でした。
そこで、私の方が面倒くさくなって、
間違い直しをやめました。
とにかく、宿題が終われば、はなまる。
間違い直しは一切しない。
「よくがんばったね。」とコメントを付けます。
担任の先生が、わざわざ赤字で修正してくることがあります。
そんな翌日は、
「げんき いっぱいに かけて いいね!」
「このかんじ かけるように なったね!」
と、わざと褒めたりします。
子どもは先生に間違いを指摘されるのは嫌なので、
長男「丸付けで間違いがあったら教えて」
と言ってくるようになりました。
そうすると、おうちでも間違い直しができるようになります。
補足:担任の先生が、厳しすぎるとき
担任の先生もいろんな人がいます。
最初から完璧を目指してしまう担任もいます。
親が応援することで乗り越えられる子はいいのですが、心が折れてしまう子もいます。
長女は誤字脱字が多いので、ノートを真っ赤に修正されて帰ってきたことがあります。
ページいっぱいに絵をかいたら、手抜きと思われて厳しい言葉を書かれたことがあります。
「宿題やりたくない。」
「宿題おこられるから、学校行きたくない」
長女がそう言い出すのも、無理はありませんでした。
そんなときは、担任の先生にお願いに行きました。
私「いまは、宿題を毎日することを目標にしています。宿題をやりたくなるような声掛けをお願いします。」
次の日から、担任の先生も肯定的なコメントをしてくれるようになりました。
赤ペンで修正するのはやめてくれませんでしたが、長女が宿題に取り組めるように戻ったので、ヨシとしました。
付録:子どもの心を守るためのお手紙(ここだけ有料)
この話を診察室ですると、
「担任の先生に文句をいうのは気が引ける。」と悩まれることがあります。
ゴールである「宿題を完璧にすること」は、親も担任も共有できるはずです。
そこで、担任の先生に渡す用のお手紙を作ってみました。
もしかしたら、宿題に厳しいお父さんを説得するのにも使えるかもしれません。
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