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家庭料理との違いから見る大量調理の特徴

こんにちは!こどもSHOKUデザイン(@kodomo_shoku)です。

「0からはじめる大量調理」では、大量調理に関するノウハウをお伝えしています。

大量調理をするうえで大切なことのひとつが「衛生管理」だったので、これまで基本からお伝えしてきました。
ここで改めて「大量調理の特徴」について確認していきましょう。
今回は各家庭で行う「少量調理」と比較をしていきながら「大量調理の特徴」をお伝えします。

大量調理(給食)と少量調理(家庭料理)の違い

大量調理と少量調理は基本的な部分は変わりませんが、細部において違いがあります。
この違いをみていくことで大量調理にどんな特徴があるのかが理解しやすくなります。

私の考える大量調理と少量調理の違いは、下記の通りです。

提供に関する違い
 ・ 対象者(食べる人)
 ・ 提供人数(食べる人数)
 ・ 提供時間(食べる時間)
 ・ 献立計画や栄養管理
調理担当者に関する違い
 ・ 調理担当者の役割
 ・ 作業工程や作業動線
調理中の違い
 ・ 安心安全な食事を提供するための明確なルール
 ・ 調理に使用する器具
 ・ 調理方法や調理手順

違いとして挙げた各項目について、詳しく確認していきましょう。

提供に関する違い

食事を提供するにあたって、「誰が食べるのか」という点は重要です。
誰が食べるかによって「献立」「味付け」「食材の硬さや大きさ」など様々な条件が変わってくるからです。
ここでは、提供に関する違いとして「対象者」「提供人数」「提供時間」「献立計画や栄養管理」の相違点をお伝えします。

対象者

各家庭では、食事を提供するのは家族になりますが、「子ども」「大人」「高齢者」のように対象である幅は決まってきます。
大量調理では、対象年齢の幅は決まっていますが、元気な方だけではないこともあります。

例えば、病院で食事を提供するときには、健康ではなく何かしらの治療をしている方に提供します。
普段よりも身体の免疫力が落ちている方が対象だったりするので、家で提供する食事よりも衛生管理が大切になります。

保育園では子ども(0歳〜5歳)に対して食事を提供しますね。
特に子どもは身体も成長途中のため、大人よりも体調を崩しやすいことも多いので、保育園でも衛生管理の実施は大切です。

提供人数

人数にも明らかな違いがあり、大量調理を行う保育園では、施設規模にもより人数は異なります。
多いところでは100人以上へ提供する必要があるので、毎日が時間との勝負になります。

提供時間

各家庭では、ごはんを食べる時間はあらかた決まっていますが、お出かけをしたりしていると食事の時間がずれることもあるかと思います。

家庭料理と比較して大量調理では、「お昼ごはん」「おやつ」など、各施設で毎日決まっているタイミング・時間に食事を提供します。
この時間までに提供するために、下処理や調理、盛り付けを効率よく作業することが必要です。


栄養管理

少量調理では、栄養に気をつけつつも栄養価計算を毎日行うことはほとんどないと思います。
大量調理では、対象者ごとに食事を提供する目的があるため、提供する食事は毎日栄養価計算を行い、必要な栄養を摂れるように調整をします。

献立管理

大量調理では、栄養価調整をする必要があるため、献立も1ヶ月分まとめて作成を行っていきます。
献立を考える際に参考にするレシピにも少し違いがあるので、簡単に記載しておきます。

このような形で比べると、提供に関するところでも違いがあることがわかりますね。
大量調理では決められた時間までに決まっている食事を提供します。
また、提供人数も多いため、事前に調理に使用する食材や調味料は前日までもしくは当日の朝までに用意する必要があります。
発注は場合によってはキロ単位になるので、この量を事前に確保しておかないと当日食事を提供できなくなってしまうこともあるからです。

様々な違いはありますが、大量調理は作成された献立をもとに「準備」や「食事を作ること」が基本になります。

調理担当者に関する違い

それでは調理担当者や作業工程についてはどうでしょうか。
「調理担当者の役割」「作業工程や動線管理」についてみていきましょう。

各家庭では、調理を担当する人は決まっている場合がほとんどかと思います。
役割分担を行うことで日によって担当する人が変わることもあると思いますが、1人で作成することが多いのではないでしょうか。
大量調理では、決められた時間までに多い人数の食事を作るため、1人ではなく複数人で下処理や調理、盛り付けをします。

この作業をわかりやすく表したのが、「作業工程表」です。

出典:合格QUIZ 管理栄養士国家試験過去問クイズ

このようにその日のメニューごとに作成する場合もあれば、ある程度の役割や流れを決めておくような作り方をする場合もあります。

調理担当者にはそれぞれ役割分担がされていることで、迷うことなくスムーズな流れで下処理や調理、盛り付けなどを行うことができるようになります。

「動線管理」では、それぞれ作業している人たちが厨房内をスムーズに移動や作業ができるように記す場合もあります。

調理中の違い

調理中の違いは特に明確に違う点がありますので、「安心安全な食事を提供するための明確なルール」「調理に使用する器具」「調理方法や調理手順」について確認していきましょう。

安心安全な食事を提供するための明確なルール


出典:厚生労働省,HACCP(ハサップ)

各家庭でも「腐った食材は使用しない」などのある程度の基準はあるかもしれませんが、少し賞味期限が切れた調味料を使用したり、前日の残り物を翌日に食べることはよくあることかと思います。

「提供に関する違い」でもお伝えしたように、給食を提供する上で安心安全な食事を提供するために衛生管理を実施することはとても大切になります。
大量調理では、いつでも誰でも同じ対応ができるように「HACCPに基づいた衛生管理」で明確なルールを決めて調理を行います。

調理に使用する器具

【出典】
スチームコンベクション:HOSHIZAKI
ガスフライヤー:fujimak
回転釜:株式会社創研厨房

家庭では一般的に使用されているフライパンや鍋などを使用しますが、大量調理は提供する人数が多いため、時間内で提供するためには、業務用の器具を使用して一回で調理できる量を増やして調理を行います。

調理方法や調理手順


大量調理における調理手順は、少量調理と大きく異なります。
これは「衛生管理の観点」や「火の入り方の観点」など様々な要因から調理手順が異なります。
見比べてみても大量調理では、「調理手順の数」や「包丁を使うタイミング」などが違うのがわかりますね。

大量調理では基本的に「下処理 > 火を入れる > 味付けする」のような流れで、包丁を使うのは基本的に最初だけになるように調整しています。

まとめ

今回は、少量調理の違いから大量調理の特徴についてお伝えしてきました。
大量調理では安心安全な食事を決められた時間までに提供するために「献立内容」や「調理方法」が少量調理とは異なります。
改めてそれぞれの観点で比べてみると違いが明確にあるのがわかりますね。

次回は大量調理を行う上で必要な事前準備についてお伝えしてきますので、お楽しみに!

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