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「高校生になりたい。」 ペルーから来た17歳の望み <後編>

前編後編
*アーカイブ記事(2019年4月初出)

地元に支援のバトンを託す

秋、マユミさんはいよいよ高校受験に向けて具体的な準備に動き出しました。

私たちは、NICOプロジェクトをご紹介くださった支援者の皆さまと連絡を取り合い、入試までの彼女を支えるために連携をとり始めました。

そこで重要だったのは、最後に一番近くで入試の日までマユミさんを支える「ラスト・ワンマイル」を担う存在です。マユミさんのケースでは、地域の高校受験事情に明るい地元の学習支援教室の皆さまにお願いすることができました。

週に4日ほどその教室へ通うことになったマユミさんは、手厚い指導を受けながら受験準備を進める機会に恵まれることになります。

メッセージ・カードに並んだ漢字、そして受験本番

冬になって、マユミさんから、お菓子の贈り物とともに素敵な絵ハガキが届きました。自分の手で描いた母国ペルーの世界遺産「マチュピチュ」の水彩画です。

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そして、裏面には新年の挨拶が書かれていました。

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来日から2年足らずのうちに、ここまで日本語で思いを綴ることができるようになったマユミさんの努力は、並大抵のものではなかったはずです。

受験への追い込みを控えたこの時期にも、周りへの感謝の気持ちを忘れない彼女の人柄が表れているようです。

迎えた高校受験と発表

3月6日、マユミさんは志望校である県立高校の試験日を迎えました。1年間ずっと準備を続けてきた入試の本番です。

地元の支援者や、東京にいるNICOプロジェクトの先生、そしてクラスメートたちが、その背中に向けてエールを送っていました。

そして合格発表の日。

NICOプロジェクトのコーディネーターにLINEでメッセージが送られてきました。

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迎えた高校受験と発表

見事、合格です。

本人は心から安堵しているようですが、周りの私たちも同じ気持ちでした。

4月からの新生活

マユミさんの日本語の力は高校の勉強についていくためにはまだ十分とは言えない状態です。

年齢も周りの子より3つ上の18歳。これからも様々な壁が行く手を阻むかもしれません。

それでも、マユミさんはここに至るまで本当に粘り強い努力を続けてきました。その経験があれば、たとえこれから躓いて転ぶことがあっても、きっとまた起き上がれるはずです。そう信じさせてくれる頑張りを彼女は見せ続けてくれました。

新たな連携に向けて

国際交流協会や学習支援団体、自治体などの皆さまで、マユミさんのような学びの機会に恵まれない子どもをご存知の方は、以下の問合せフォームまでご連絡ください。

NICOプロジェクト問合せフォーム

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なお、マユミさんの物語は、毎日新聞の記事にもなっています。ご関心をお持ちいただいた方はどうぞお読みください。

『NPO 日本語教師オンライン授業 外国人の子向け配信』

昨年4月にペルーから来日した日系ペルー人3世の上野マユミさん(17)=滋賀県長浜市=が、日本語を一から学びながら来春の高校入学を目指し、受験勉強を続けている。母国では中学校を卒業しないままで、義務教育年齢を過ぎたことなどから日本の中学校に編入できず、民間のオンライン授業を自宅で受けている。日本の受験制度は知らないことが多く、学校選びは手探りだ。通訳を夢見て、マユミさんは日々奮闘する。(毎日新聞、2018年3月29日)



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