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1月に観た創作物 感想

1.ナナメの夕暮れ

オードリー若林さんの3作目。
ちなみに1, 2作目はまだ読んでいない。
いつかのあちこちオードリーで、中田敦彦さんとの話の中で、「俺はもう自己分析大体終わった」「今は他人が考えていることに凄く興味がある」と仰っていて、どんな人なんだろうと興味を持ちました。

他者と違う自分という出発点から、自分とはどういう人間なんだろう、何故人と違うのだろうということを考えざるを得なかった、その切実な心境が綴られています。
読んでいく中で、年を取るにつれ、変化していく自分や周囲の環境についての疑問を解消しながら、過去の痛みを肯定して生きていけるようになっていったという風に感じましたが、ここまで考え続けて悩み続けながら生きるという事は相当タフなことだと思います。

自分はここまで傷つきながら、それでも「今回の生で世界を肯定する」ためにわからないことに向き合い続けられるか。考えさせられました。
分かる奴だけ分かればいい状態になってしまわないか。別にそれでもいいのだけど、それでは世界は広がらない。

僕も学生服の第一ボタンを閉めるのは苦痛でしたが、最初だけ付けて教師の目をやり過ごしたら外してました。

2.チーズはどこへ消えた?

ずっと読もうと思っていましたが読んでいませんでした。
ビジネス界ではかなりの名著とされていますが、確かに含蓄の深い本でした。多分まだまだ咀嚼しきれていない気がするので何度か読もうと思います。

自分の欲するものである「チーズ」が失われることを恐れず、新しい「チーズ」を見つけに行くべきであることは中々難しいですが、手放す勇気を手に入れ、新しいことに向かう際の恐怖心に打ち勝つために、新しい「チーズ」を手に入れて幸せな状態になっている自分を明瞭にイメージすることが重要であると語られていて、それはとても共感するところでありました。

どういう状態が自分にとっての幸せなのかを知り、そしてそのイメージの解像度を上げていくことで、新しい自分になれる気がしてきて、一歩踏み出す気力が湧いてくます。
変化が起こるのは確定しているのだから、その変化を楽しめるような考え方で生きろ、というメッセージは納得感がありました。

3.首

微妙との評価も結構多かったらしいですが、北野武監督作品を初めて見たというのもあり、面白かったです。
映画もさることながら、北野武という人間が面白い人なんだろうな、と感じました。

イケイケの時代の秀吉を今の年齢のビートたけしがやるのはどうなの?と予告の時点では思っていましたが、何故か映画を見ているうちにすんなりと受け入れていました。

一応理由を考えてみましょう。

映画全体を通して、登場するほぼ全ての大名たちに、焦ったりダサかったりするシーンがあるのですが、秀吉にはそういったシーンが殆どなかった気がします。あっても自分からふざけに行っているという印象でした。
そういったところから、他の大名たちよりも一つ上の次元というか、違うモノの見方で物事に当たっている人物だ、という印象を受けましたが、そういった格落ち描写が無いかったことは、秀吉こそが「本能寺の変後の勝者」であるため、受け入れやすかったのかなと思います。
そして、役者たちよりも一つ上のレイヤーで映画全体を見る必要がある映画監督としての立場と、その指示に従って動く役者たちという構図が、秀吉とその他の大名たちという構図と少し似ていて、すんなり入ってきたのかもしれないです。

途中からある意味ちょっと雑になったというか、お笑いの比重が大きくなっていった気がして、そのあたりが取っ散らかってまとまりが無いという意見もありましたが、単純にふざけてるなぁ~と笑ってしまった所が多かったので個人的には受け入れられました。

本能寺での蘭丸と弥助の対比的なシーンや、家康の屋敷に娼婦たちが笠をかぶって入っていくシーンが画として印象に残りました。あと曾呂利が竹藪の中に立っているだけのシーンが体に一本芯が通っている人の立ち方に見えてかっこよかった。西島秀俊演じる明智光秀も、武士の中では超一流なんだろうけど、信長家康のように武士の次元を超えては無いんだろうなという人物像が凄く伝わる演技でした(善悪は無く)。

めちゃくちゃ首が落ちまくる映画でしたが、首ってあんな簡単に切れるっけ…とは思いました。

4.アイネクライネナハトムジーク

タイトルの通り、小さな夜伽歌ということで、何というか寝る前に飲むと心地よく眠れるというホットミルクのような印象を受けました。
この本は短編が繋がっている形で構成されているのですが、毎回の読了後のほっこり感が凄い。

何が要因でそう感じるのかはいまいち分からないけれど、とにかく、読みやすいし、情景描写がスッと入ってくる。それでいて、会話や独白が面白い。極めつけにちょっとしたサプライズが入ってくる。短編内で繋がることもあるし、他の短編と繋がることもある。
どれかはあってもどれもを両立しているのは実はすごいことなんじゃないかと感じました。

伊坂幸太郎作品は初めて読みましたが、というか小説を読むのはかなりご無沙汰でしたが、だいぶ前に映画館で予告を見たのを覚えていてふと気になったので読みました。

名前しか知らなかったのですが、普段はミステリ作家だと知って、それでこんなに綺麗に伏線回収していくんだ、と腑に落ちました。
多分一気読みがこの本のベストな読み方だったのですが、毎晩風呂の中で15分ずつ読んでいたので、途中人物関係がごちゃごちゃしてきたことだけが、勿体なかったです。でも面白かった。
また小説読んでみようかなという気にさせてもらいました。

1月は卒論で死にかけていたので後半は殆ど読めませんでしたが、2月はまた読書習慣復活させていきたいです。
でも忙しいときの方が現実逃避で読んだりするんだよなぁ…

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