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「ブランドムービー」制作の舞台裏

こんにちは。PRONI株式会社CEO室の和田です。この度、株式会社ユニラボは2023年9月1日をもって社名を「PRONI株式会社」へ、展開するBtoB受発注プラットフォーム「アイミツ」のサービス名を「PRONIアイミツ」へ変更いたしました。

社名・サービス名変更の背景、ブランドムービー以外のPRONIコンテンツについてはCEO栗山が「リブランディングの決断。PRONIへ。」で綴っておりますので、是非ご覧ください。

私からはPRONI株式会社のコーポレート・タグラインである「プロに出会う。プロになる。」の実現したい世界観をより多くの方に知っていただくために制作した、「ブランドムービー」の制作背景や目的などの舞台裏(苦悩)について、私なりの気づきを交えてご紹介いたします。


ブランドムービーを制作した理由

何かを発注したい企業に対して、プロフェッショナルな企業やサービスを紹介するBtoB受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を運営する、PRONI株式会社。
そのPRONI株式会社のコーポレート・タグラインとなる「プロに出会う。プロになる。」この世界観を発信する方法を模索する過程で、"動画"という1つのコンテンツに着目し、弊社と近しいフェーズのスタートアップで先行する事例はないかと探してはみたものの、その数は少なく、弊社と同じBtoB向けサービスでは尚更でした。
ただ、誰もが知る日本を代表し、企業経営や生活を支えるインフラである企業には、その企業が実現したい世界観が描かれた"ブランドムービー"なるものがありました。
拝見したどれもが何かを訴えかけてくるもので、使ったことがないサービスでありながらも、自分がどこかそのサービスを"好き"になっている不思議な感覚を持ちました。自分の中に"共感"が生まれ、心が動かされたことが一因だと考えています。

同様にして、PRONI株式会社の「プロに出会う。プロになる。」という世界観を利用者であるすべてのビジネスパーソンの皆さまに理解していただき、また共感していただき、そして弊社のブランドを”好き”になってもらうことは、非常に難しいことだと考えており、様々な方法を検討した結果、弊社初の試みであるブランドムービーの制作に至りました。

ブランドムービー「プロって何だろう?」の解説

あらすじ
ショートドラマの舞台は、新潟県のとある米菓製造業。ブランドマーケティング部に勤める藤本郁人(25)は定番商品であるソフトせんべいのパッケージリニューアルを任される。
デザインを少しかじったことがある藤本は社長に対して得意げに提案すると「これ、プロの仕事じゃないね」と厳しく突き返されてしまう。「プロってなんだ?」と悩む藤本は、PRONIアイミツから紹介されたマーケティングの"プロ"後藤章に出会う。
ブランドマーケティングというマルチに業務をこなさなければならない立場、仕事と家庭を両立しながら、時間的にもできることが限られている中で、どのように企画を成功へと導くのか。

解説
物語の冒頭、主人公の藤本は25歳の若さで定番商品のパッケージリニューアルを任されていることから、社長から提案を厳しく突き返されてはいるものの、期待されている状況が伺える。

企画書を読む社長

藤本は「プロってなんだ?」と悩みながらも机に向き合う。すると、PRONIアイミツを発見。「マーケティングリサーチ」で問い合わせる。PRONIコンシェルジュから紹介された、マーケティングの"プロ"である後藤に出会い、ソフトせんべいのニーズ調査を依頼した。定番商品のソフトせんべい、現時点でどのような顧客層から人気なのか調査するべく、専門領域ではない市場調査をその道のプロに頼ったわけだ。前回とは異なり、調査結果をもとに裏付けされた提案、社長は満足げな表情をしている。結果は売上2倍、CM展開にまで漕ぎ着けた。

マーケティングのプロ後藤と打ち合わせをする藤本

1年後、藤本は新商品開発の責任者となり、またもや専門領域ではない業務に追われ、仕事と家庭の両立に悩みを抱えている。「俺の仕事はなんだ?」と過去を振り返る藤本は、後藤を紹介してくれたPRONIコンシェルジュ寺内のことを思い出す。今回はプロに頼ることができていなかった、デザインのプロを探すことにしたのだった。そこから本業の企画に専念、プロジェクトは加速し同僚・後輩・パートナー・あらゆる人達に支えられ、新商品発表イベントを迎える。新商品は大ヒットし、夕方のニュース番組で取り上げられる。2度の大きなプロジェクトをプロに頼ることで、成功を収めた。藤本はブランドマーケターのプロとして成長していく。

上司や同僚、プロジェクト関係者とニュース番組を観る藤本

今の時代においての「プロ」とは?

"プロ意識”や”プロ品質”のような仕事をしていれば誰でも聞いたことがある”プロ”という言葉、そもそも「プロ」とは何なのか、そんな問いが我々の中にもありました。

プロジェクトを進める過程で、社員全員を巻き込み多くの時間をかけたこの問いに対する議論では、弁護士や税理士のような専門家のこと、対価を得て仕事をしている人のこと、お客様に対して想像を超える斜め上の提案をできる人のこと、ハードコアに寝る間も惜しまずコミットする人のこと、など様々な意見・考え方が飛び交いました。この議論の中で言語化された「プロ」はどれも「プロ」と表現できるものだったと振り返っています。

"どんな「プロ」なら自分もこうなりたいと希望を持てるか?"

パートナーや友達、家庭の笑顔は消えたとしても、何時いつも仕事に向かい続け、ひとりの力で結果を出す人。それがプロだと言われれば、今の時代そうはなりたくないと考える方も多いのではないでしょうか。PRONIもそのように考えません。仕事を1人で抱え込むことなく、状況に応じて様々なプロに出会いながら、新しい働き方や慣習を得ることで、自分自身の目指す姿を描き、叶える。そうした気づきや姿勢こそ「プロ」であると定義し、PRONIが寄り添うブランドムービーとして描きました。

制作期間4ヶ月、ブランドムービーの舞台裏(苦悩)を公開

・物語の最重要ポイントである「プロ」の表現方法に悩む

最初に着手したロングシノプシスの制作、「シノプシス」とは物語の概要のことで、この後4ヶ月間のプロジェクトの骨子となるものです。
「プロに出会う。プロになる。」の世界観を表現する最初のコンテンツとなるブランドムービーは、「PRONI」という新しい会社名を決める段階から伴走いただいているNEWPEACE社と企画することになりました。既に約半年ご一緒していることもあり、コミュニケーションコストは最小限に抑えられ、「プロ」に対する共通認識にズレはなく、立ち上がりは順調、ロングシノプシスの初稿は3月下旬に上がってきました。

「プロ」像のブラッシュアップ

滞りなく進むと思われていたこのプロジェクトですが、初稿の段階で大量の修正点が上がることになります。なぜ、「プロ」の共通認識が形成されている中で大量の修正が発生したのか。要点は物語を"どこまで分かりやすく描くのか"。この物語では「共感」を生むことを重要視していたのですが、ブランドムービー制作に初めて取り組む我々は、物語を観た人が個々に考えさせられる初稿の"含み"のある表現により、メッセージが伝わらないものになってしまうのでは、とその場で受け入れることができませんでした。

誰にでも理解できる表現では感情移入できず、冷めた印象になり"共感"を生生むことができない。初稿の含みを持つ表現を活かしつつ、程よく分かりやすくする、このバランス感に苦戦しました。

・原点に立ち返り、ブランドムービーを徹底的に研究する

そもそもブランドムービーとはどのようなものなのか。初の試みということもあり、インプットが足りない自覚がありました。議論を重ねるうちに迷走し始めた我々は原点に立ち返り、他社のブランドムービーを片っ端から集め、Slackで共有し合い、どのようなニュアンスのムービーにしたいのか解像度を上げることにしました。

ブランドムービー調査中のSlack

単なるサービス紹介ではなく、コーポレートアイデンティティをどう表現するかの工夫が企業毎に見られ、非常に勉強になりました。こちらで一部ご紹介させていただきます。
早稲アカブランドムービー「虫好きの少女篇」
タイミー「なりたい自分へ、一歩ずつ」母篇
OBCブランドムービー「企業の屋台骨(経営層編)」
LIFULL VISION 2025「あらゆるLIFEを、FULLに。」

・「落ち」が決まらず、議論を重ねるうちに"普通"のものになっていく

「分かりやすさ」のバランスに苦戦しながらも、NEWPEACE社の尽力もあり概ねfixできる段階になったロングシノプシス。我々が描きたい"家庭も仕事も諦めないで人生を作り上げるプロ"が、この物語でどのような結末を迎えるのか、最も重要なポイントである"落ち"が決まりませんでした。1人の夫として家庭円満で幸せいっぱいの場面とするのか、1人のビジネスパーソンとして成功を掴み喜びを噛み締めている場面とするのか、非常に悩ましいところで何度も議論しました。

ミーティングやSlackでコミュニケーションを取りながら数度の修正を加える中で"議論を重ねる度に普通なものになっていく"感覚が我々にもNEWPEACE社にもありました。今回は大きな分岐点となるリブランディング(社名変更)という意思決定、当然普通のものにはしたくありません。
我々が描きたいのは、"両立している"プロ。最後の数十秒に両方の要素を取り入れるため、再調整を試みました。

・「落ち」が決定、予定ギリギリで合意できたロングシノプシス

3月から取り掛かった撮影に入る前段階のロングシノプシス制作。スケジュールは押したものの、許容範囲の遅れで着地することができました。今回はかなり拘った作品、物語の骨子を作る段階でこれだけ時間を要するのかと、初めて取り組んだ私は動画制作のリアルを体感いたしました。これまで動画制作会社の方々に商談の機会をいただき、サービスのご提案をする機会が何度もありましたが、漸く現場のリアルを知ることができました。

一度立ち止まり、ここまでを振り返ってみたのですが初稿と最終稿の違いに驚きました。この違いの善し悪しが分かるのは、演出が加わり撮影に入った後、演出でどうなるかのイメージがつかない我々は、NEWPEACE社に頼りアドバイスをいただきながら、脚本の制作、撮影の準備に入りました。

修正中のロングシノプシス

・同時並行で進む脚本制作と監督・キャスト・プロデューサーの選択

ロングシノプシスのfix後、直ぐに脚本の制作に入りました。同時並行で監督・プロデューサー、キャストの選定、ロケ地の調整も行います。脚本制作の段階では、より現場のリアルを描く必要がありました。実際に上がっていた検討項目を一部ご紹介させていただきます。ロングシノプシスで構想を固めていた分、この辺りの調整はスムーズに進みました。最初の骨子がいかに重要かを実感いたしました。
・台本で使われている専門用語が難しく、実際の現場では使われないのでは
・上司は部長ではなく、社長の方がリアリティがあるのではないか
・企画書のデータ、"子供に受けている"というようなデータが欲しい
・PRONIアイミツをどの程度出すべきなのか
・主人公「藤本」の役職をどうするか
・主人公「藤本」の服装をスーツにするか、作業着にするか
・マーケティングの"プロ"「後藤」の会社名をどうするか
・映像のトーンを調整したい
・結末直前の点描の中身
etc…

出来上がった脚本の一部

また今回は監督・プロデューサーにも恵まれたとも思っています。脚本制作からjoinいただいた監督の石井さん、プロデューサーのシェイクトーキョー代表取締役汐田さんはPRONIアイミツの利用頻度がもっとも高い顧客層に当てはまる方でした。お二人からは、「自分も当事者としてコンセプトに共感できる、この物語を良いものにしたい」とお言葉をいただき、強固な信頼関係を気付けたことも印象に残っています。

・いざ、撮影。仕上げまで念入りに拘り抜く

オフィス場面の撮影風景

撮影は2日間で行われ、初日の撮影場所は多摩。仕事シーンから入るため、オフィス風のスタジオで撮影を行いました。現場に着くと既に数十名のスタッフの方がスタンバイしており、準備万端の状態で迎えていただきました。我々は9時集合でしたが、スタッフの方々の集合時間は早朝6時台、撮影は21時頃まで行われ、制作現場は過酷なものでした。聞いてみるとよくあることのようです。
撮影が始まると、監督の冴わたる指示のもとスケジュールを巻きながら、脚本通りに進み、我々は近くで傍観しながらモニターで実際に使用される画角から、完成形をイメージしていました。2日目は自宅シーンを阿佐ヶ谷で撮影、こちらも予定よりスムーズに進み、イメージ通りの場面が出来上がりました。

著名な映画でも使用されたスタジオで最終調整

・完成!映画館でお披露目@ユナイテッド・シネマアクアシティお台場

2023年7月21日、ブランドムービーのお披露目はユナイテッド・シネマアクアシティお台場で行いました。
この日の予定はCEO栗山からのリブランディング(社名変更)に関する最終報告の場であるPRONIセレモニーの開催、次にCOO柴田から事業ロードマップの発表、その後は場所を移し社内イベントであるPRONI祭が行われる一大行事でした。社員全員が「PRONI」のロゴがプリントされた新しいTシャツに着替え、新調した団扇やノベルティが配られました。ブランドムービーはPRONIセレモニーの中盤でのお披露目です。

PRONIセレモニーの集合写真

当初の「プロとは?」をディスカッションしてからしばらく時間が経過し、リブランディング(社名変更)まで1ヶ月半を切っている状況。4ヶ月の間、ブランドムービーの内容はプロジェクトメンバー以外に公開されていませんでしたので、進捗状況が気になるタイミングだったと思います。ブランドムービーはお客様に対してはもちろんのこと、社員に対しても目指す世界観の共通認識を持つために重要なコンテンツになります。

この日、初見の社員。今後この物語をご覧いただくお客様とほぼ同じ状態ということもあり、どのような反応が返ってくるのか、プロジェクトメンバーの中には緊張感がありました。私は映画館の映写室に入っていたため、シアター内の詳細は確認できなかったのですが、シアター内にいたプロジェクトメンバーに聞いたところ、反応はまずまず、再生後は拍手をいただけたようで一安心でした。

ブランドムービー上映中のシアター

私個人は映写室にてスクリーンへ資料の投影・ブランドムービーの再生、シアター内の明るさの調整など裏方として動いていたのですが、普通に仕事をしていれば映写室での業務はなかなかできないことでしたので、非常に良い経験となりました。

自分たちが「プロに出会う。プロになる。」を体験した4ヶ月

今回携わっていただいたcreatorの皆様との集合写真

このブランドムービー制作ではここまででご紹介させていただいたNEWPEACE社、シェイクトーキョー代表の汐田さん、監督石井さん、撮影現場のスタッフの皆様の他、映像/スチールともに撮影をしてくださったヤンスさん、新しいWebサイト制作をご担当いただいた小玉さん率いるiumチームの皆様、PRONIロゴ制作をご担当いただいたHi!Design 森田賢吾さん、森田仁美さんと沢山のcreatorの方々にご協力いただきました。4ヶ月という短い期間で予定通り且つ良いものを作り上げられたのはcreatorの方々のご尽力あってのことと思っております。creatorの皆様、ありがとうございました。

PRONIロゴ制作の舞台裏については弊社デザイン室長柿本、PRONIのカルチャーについては執行役員人事部長森が綴っております。是非ご覧ください。

我々はブランドムービーの主人公「藤本」のように、沢山の「プロ」に出会い、頼り、助けられることでプロジェクトを完遂することができました。我々自身が体験したPRONIの世界観をより多くの方に知っていただき、届けられるよう邁進してまいります。


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