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スタンダード(基準)の見定め

前回は長々と前振りを下記ながらその後の記載が遅れてしまいました。前回の記事はこちら↓↓

最近私の中でのトレンドワードなのが「スタンダード(基準)」です。そう思って書き始めた記事でしたが、いよいよ本題に入りたいと思います。

その基準あってます?

仕事柄、年間を通して色々な企業、経営者の方、そして現場の方とお会いします。規模も個店から大手企業まで様々です。業界に対する視点や取組はまさしく十人十色で様々ですが、幅広く会うがゆえに感じるポイントが「基準」です。私たちコンサルティングという仕事は企業がより成長するための情報の提供やスキームの提供をします。自社だけでは不足しがちな他社の取組などをお伝えすることも多くあります。積極的に吸収しようとする企業の特徴は「自社の立ち位置」をよく理解していることだと思います。「強み」「弱み」を把握しているということです。
逆に、そうでない企業の特徴は「強み」「弱み」を把握しきれていない。強みに関しては、よりレベルの高いフィールドを知らず、弱みに関しては弱みを外部環境のせいにしているということでしょうか。

「うちはこんなことをやっている」「これだけの数をやっている」

そんな話は日常茶飯事にききます。
ただその中でのポイントが、「こんなこと」や「これだけ」が本当に強みとして取り上げられるべきレベルに達しているかということだと思います。

よくある例

よくある例をいくつかあげたいと思います。
なかなか信じられないかもしれませんが、地方大学の就職活動の場では

「全店舗電子薬歴を採用」

「最新型自動分包機を導入」

こんなことを売り文句として挙げている企業があります。
紙がいいのか、電子がいいのかという判断はおいておき、採用活動という場において薬局実習にも行っている学生に対し、「全店舗電子薬歴採用」というキーワードに心打たれるかどうかがポイントです。
採用活動を通して感じるのは、熱心な学生は非常に業界研究をしていて、色々な薬局の見学やインターンに言っています。そういう学生からすると、「電子でない薬歴」という存在の方がレアなのかもしれません。
また「最新の調剤機器」についても、最新の情報を追いかけられているのか、そしてそれが注目を浴びるほどレアリティある機器なのかが大事です。
ちょっと前では、ロボット調剤で取り上げられた「V-MAX」、最近では「DrugStation」が、だれが見ても「おっ」と思う近未来をイメージさせる機器と言えるのではないでしょうか。「DimeRo」なんかも小児科では学生にも小児科でも大人気です。

「うちは在宅を〇〇件やっている」

こちらもよく聞くキーワードです。大事なのはこの〇〇に入る数字ですが、在宅医療の推進が進められている中、必然的に取り組む薬局が増えてきています。もちろん大手企業のようなスケールがある薬局ばかりではないので、トータル件数は勝てませんが、地元企業でアピールするには3桁は必要だと思います。私たちのような支援側の企業は「そうなのですね」とひらりと聞きますが、ある程度、取組をしている企業の方からすると、比較対象になります。残念ながら「それくらいなんだね」という評価になりえないです。

(この時の言い方によりますが、強気ということは、その現状に満足している、弱気ということはまだ上を狙っているなんてことを読み取ったりします)

実際問題として、弊社でも在宅患者8000人を受けている地場企業を知っていますし、1店舗で500名以上受けているという企業も数多く知っています。

ここでお伝えしたいことは、批判をしているということではなく、やはり業界は広く、上には上がいてより高みを目指して取り組んでいく必要があるということです。

「うちには出来ない、それは都会モデル」を考える

「うちには出来ない」「それは東京のモデル」なんて言葉もよく聞きます。この言葉、もう一度よく考える必要があるように思います。よく業界誌などでも「中小だから価格が出ない」(価格交渉)なんて記事も出ますが、薬局は医療提供施設であると共に、小売業です。スケールメリットが働くということは当然ですし、大手企業による市場占有率が上がることは目に見えています。そのような経営環境の中で、「出来ない」とあきらめることは、会社の成長をあきらめるということに繋がるのではないでしょうか。
これは薬局業界に限らずいえることですが、「出来ない」と発することは非常に簡単ですがその要因をきちんと因数分解できているのかどうかを考える必要があると思います。「規模」なのか「資本力(お金)」なのか、それとも「スキル」なのか。私たちが提案する中で最も多いい理由は「わからない」「やりたくない」が1番多いように感じるということだけお伝えしておきます。
しかしながら、競争市場にあるなか、生き残るためには「チャレンジ」が必要になります。また大手企業が色々な取り組みをする中、出来ることは同じレベルに持っていくということが非常に重要だと思います。

もう一つは「○○モデル」という考え方です。これは地方部に多いですが、ここについても考えたい要因です。意外と逃げ言葉になってしまっている可能性があります。
ローカルルールのようなものは、あちこちに存在をしますが、自社の生き残りをかけたときに一番の脅威は外部からの参入です。今回の「敷地内薬局」はその最たるものではないでしょうか。「反対」という業界の考えに対し、厚生労働省が認めてしまい、大手企業の参入が相次ぎました。
かつて医薬品の価格交渉などの例もありますが、「その価格は東京だからですよ」みたいなことを経験した人は多いと思います。しかしながら、東京が安く、地方が高いという根拠はどこにもありません。
強いていうなれば購買力を持つ企業が安く、そうでない企業は高くなる。
スケールメリットです。
他にもたくさんありますが、時期尚早と思われる仕組みをどう地元にカスタマイズをして行くのか。そうしなければ大手企業の参入により市場は大きく〇〇モデルに引き上げられます。

その世界は広い

今回お伝えをしたかったのは、「その世界は広い」ということです。これはどの業種、世界においても言えることだと思いますが、一言にプロと言っても様々なレベルがあります。野球で言えば「国内独立リーグ」から「メジャーリーグ」まで同じ野球選手というプロです。いまの医薬分業から45年、薬局業界が大きく市場経済化するなかで、企業の取組も薬剤師の取組も多種多様になってきたのではないでしょうか。
地域支援体制加算が薬局にとって一つのポイントとなりますが、基本料1における「年12回の在宅、服薬情報提供書」はゴールではなく、通過点とよくお伝えしています。
皆さんの知らないところで、大手企業は「8/9項目」という大きなハードルにチャレンジをしています。
無理と言われた課題に対し、11月調べ(当社集計)だと123軒の薬局が要件をクリアし、「対人業務に取り組む薬局」として評価をされています。

今後、より厳しい報酬制度になる中、果たしてどちらの薬局が地域に貢献している薬局と言えるのでしょうか。すでにこの議論は始まっています。

いま皆さんの持っているスタンダード(基準)は果たして本当に現状に即しているでしょうか。もっともっと目指すべき高みはあるのではないでしょうか。

そのためには多くの人と出会い、多くの薬局の取組を知る。そして、刺激をうけチャレンジを忘れない。

シンプルではありますが、そこに行きつくのだと思います。知ることを辞めてしまったら、それこそ「井の中の蛙」で終わってしまいます。


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