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11: 逃げられない国の住人たち B

加藤隆弘(かとう・ たかひろ)
九州大学大学院医学研究院精神病態医学 准教授
(分子細胞研究室・グループ長)
九州大学病院 気分障害ひきこもり外来・主宰
医学博士・精神分析家

『みんなのひきこもり』(木立の文庫, 2020年)
『メンタルヘルスファーストエイド』(編著: 創元社, 2021年)
『精神分析と脳科学が出会ったら?』(日本評論社, 2022年)

いま私は、木立の文庫で刊行予定の原稿を執筆中です。
このnote連載が土台となっています。
題して『逃げるが勝ちの心理学――ポジティブにひきこもるための処方箋』

前著『みんなのひきこもり』で試みた趣向を踏襲して、
巻頭で「にげられない」シーンのバリエーションをお示しします。

今回はその新シリーズの2回目となります!

☆『みんなのひきこもり』に引き続いて
 おがわさとしさん〔京都精華大学マンガ学部教授〕が
 私の原稿を読み込んで「ひとコマ漫画」として描いて下さっています!!

クラス編(友達という絆)

——高校二年の夏休みを終えた Bさん

〇 高校一年の秋の文化祭の準備の際、仲の良かったクラスのリーダー的存在の同級生と演劇の配役を巡り、ちょっとした諍いに。結局、Bさんが希望の役を演じることになり、Bさんは一躍学校のマドンナに。

〇ところが、その直後、Bさんに関する事実無根の陰湿なウワサ話が学校中に拡がりました。昨日までにこやかに挨拶を交わしてクラスメートが急によそよそしくなり、クラスばかりでなく学校の中で孤立した状態がすでに一年近く続いています。

〇孤独感を抱えつつ、教師にも家族にも相談できず二学期を迎え、Bさんは今日も一人、重い鉛を引きずるかのように校舎に向かって歩き続けています。

――なぜBさんは、孤独ななかでも歩き続けているのでしょう?

みなさんもこうした経験がないでしょうか?
一年前とはガラッと変わっての「夏休み明け」の登校… ですね

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